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"世界王者"を破る金星発進、ザッケローニ監督「確信に変わった」

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[10.8 キリンチャレンジ杯 日本1-0アルゼンチン 埼玉]

 ザックジャパンが最高の形で船出した。過去6戦6敗のアルゼンチン相手に歴史的な初勝利。9月の親善試合でW杯王者のスペインを4-1で下した“世界王者”を撃破する大金星は、イタリア人指揮官らしい「1-0」のスコアだった。

 アルベルト・ザッケローニ監督は「私にとってのデビュー戦ということで、この結果には非常に満足している。アルゼンチンは世界の中でスペインと同じ位置にいるチームだと思っている。選手たちはゴールに向かう姿勢を見せてくれたし、精神面でもアルゼンチン相手に臆することなく積極的にやってくれた」と満足げに語った。

 特に強調したのが、攻撃陣の献身的なプレーだった。「香川、岡崎、森本、本田圭佑という前線の選手が犠牲心を持って、普段慣れていないポジションで代表のために頑張ってくれて、守備陣を助けてくれた」。約20分間の会見でゴールについては一度も言及せず、驚異的な運動量で上下動を繰り返し、ピンチを未然に防いだ攻撃陣を絶賛したのはイタリア人らしい。

 「今回の合宿、試合を通じて、私が以前から抱いていたものが確信に変わった。非常にいいクオリティーを持っている選手が多く、一方でそのクオリティーに気付いていない選手も多い。自分たちの持っている力に自信を持ってもらいたい。まだまだ伸びしろのある選手も多いし、チーム自体も伸びしろがある。チームと一緒に成長して、14年のW杯を最終目標にして常に成長していきたい」

 ザッケローニ監督は選手の練習に取り組む姿勢、戦術理解度を高く評価する。今後、自分の描く理想のチームに近付けるための手応えを深めることができたのは間違いない。一方で、「今日の試合はたくさんある仕事のほんの一部にしか過ぎない」とも言う。大事な初戦だったが、ブラジルW杯に向けた4年間の中の1試合にしか過ぎない。最も大事なのは、チームが着実に成長を続けていくことだ。

 「この勝利で選手が自分たちをもっと信じて、自信を深めていってもらえればと思う。我々の目的はアルゼンチンに勝つことではなくて、成長していくこと。数日後には韓国戦もあるので、しっかり準備していきたい」と、12日に迫るアウェーでの韓国戦を見据えた。

 ゲームキャプテンを務めたMF長谷部誠も「試合をやっていて、アルゼンチンは本気でやっているのかなという感じもした。これで満足しちゃいけない」と強調する。「次の韓国戦の方が間違いなく厳しい試合になる。それにも勝てたら、自信を付けていい」。歴史的な大金星に浮かれることなく、指揮官も選手も視線を前に向けていた。

<写真>初陣を勝利で飾ったザッケローニ監督
(取材・文 西山紘平)

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