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2度の骨折&病気を乗り越えた山崎、プロ初ゴールが決勝弾! 「ここまで長かった」

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[10.10 ナビスコ杯準決勝第2戦 川崎F1-3磐田 等々力]

 苦難を味わった若きストライカーが、2001年以来となる9年ぶりの決勝進出に導いた。1-1の後半33分、MF那須大亮がこぼれ球から右足で浮き球パス。これに左から走り込んだのが途中出場のFW山崎亮平だ。持ち味のスピードを活かしてDFラインを切り裂き右足を一閃。この試合2-1、2戦合計2-2でアウェーゴールルールにより決勝進出という値千金弾を沈めた。

 「目があって、那須さんがいいボールをくれました。試合に出たら得点してアピールしようと思っていたけど、きょうは少しはアピールできました。プロ初ゴール? ここまで長かったです。これがスタートだと思って、毎日やっていきたい」

 実はこれがプロ初ゴールだった。八千代高を高校選手権4強に導いたエースとして2007年に磐田に入団。U-18代表などでもエース格に君臨し、クラブでも期待されていた。だが、2度の左足骨折のほか、甲状腺機能亢進症という病気にもかかり、満足にサッカーが出来ない苦難の日々を味わった。今季はトップコンディションを取り戻し、夏場にはベンチ入りするところまで成長した。

 だが、リーグ戦はここまで1試合に途中出場、ナビスコ杯も予選リーグを入れて3試合に途中出場と出番に恵まれなかった。それでもこの日、日本代表FW前田遼一が不在とFWのコマが少なく、1-1の後半23分から途中出場。1点が欲しい中で結果を残してみせた。

 チームを決勝に導いただけでなく、自らの飛躍にもつながりそうなゴールとなった。山崎はまだ21歳でロンドン五輪世代。2012年の本大会を目指すU-21日本代表にも選出されており、11月12日からは同代表で参加するアジア大会に参加する。チームで出番をつかみ、ロンドン五輪へ-。これが山崎の目前の目標だ。このゴールでチームでの自身の立場を上げ、その勢いを持って代表でもエースに君臨したいところだ。

 ただ、本人は冷静だ。「チームで結果を残してこその代表。まずはジュビロでしっかりとやりたい。まずはチームの試合でしっかりと結果を出したいです」と足下をしっかりと見ている。

 ナビスコ杯の優勝は1998年までさかのぼり、タイトル自体も2003年の天皇杯以来となるかつての名門。決勝はFW前田遼一、DF駒野友一の日本代表勢、そしてGK川口能活も合流するが、タイトルには“ラッキーボーイ”の存在が重要となる。「まだ決勝がある。まだ何も成し遂げていない」と山崎は言い切る。“ニューヒーロー”が決勝でも勝利貢献を狙う。

<写真>プロ初ゴールを決めた磐田FW山崎
(取材・文 近藤安弘)

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