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横浜FM・小野が17歳9カ月25日、J1歴代6位の最年少ゴール!

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[10.17 J1第26節 横浜FM1-0神戸 日産ス]
 待ちに待った瞬間だった。ついに若きストライカーにゴールが生まれた。横浜F・マリノスの17歳FW小野裕二が神戸戦の後半19分、縦パスからMF兵藤慎剛とのワンツーで抜け出し右足一閃。しっかりとゴールネットを揺らし、リーグ戦初ゴールとなる決勝弾を叩き込んだ。
 「やっと入ったなという気持ち。凄く嬉しいです。ホームで決められた? 見に来てくれる人がたくさんいるので、決められて良かったです」
 ワンツーはトラップミスが結果的にうまくはまったようだが、ゴールへの執念と持ち味である前へ前への意識がプラスに作用した。まさに“らしさ”を発揮した一発で、兵藤ら先輩選手は小野を褒めちぎった。
 17歳9カ月25日でのJ1初ゴール。この日CBで先発していたDF松田直樹を抜いてクラブ史上最年少得点記録を樹立した。J1全体でも、15歳11カ月28日の森本貴幸(当時東京V)、17歳7カ月1日の稲本潤一(当時G大阪)、17歳7カ月4日の阿部勇樹(当時市原)、17歳7カ月27日の宮吉拓実(京都)、17歳9カ月14日のロドリゴ(当時横浜F)に次ぐ歴代6位の若さ。日本人だけでは歴代5位。そうそうたるメンバーの中に『小野裕二』の名を並べた。
 リーグ戦9試合目で待望の記念弾となった。ユース所属の2種登録選手ながら7月18日の広島戦で、17歳208日でJ1デビューを果たした。栃木にレンタル移籍中のMF水沼宏太の17歳247日を更新し、クラブの最年少出場記録を作った。瞬く間に才能が評価され、今では主力級に成長。9月5日の天皇杯V・ファーレン長崎でプロ公式戦初ゴールを決めた。10月9日の天皇杯鳥栖戦でもゴールを決め、そろそろリーグ戦でもと期待されたが、その次の公式戦で決めた。
 ゴールだけでなく、前線からの献身的な守備、そして神戸FW大久保嘉人を退場させるなど、あらゆる面で勝利に貢献した。後半39分、大久保は守備の際、勢いあまって小野の足を踏んで倒してしまい、一発レッドカードに。「笛が鳴るとは思わなかった」と小野が振り返ったように、退場させようと“誘った”わけでない。一生懸命なプレーがもたらしたものだが、これで神戸は後半14分に2枚目の警告で退場したDF河本裕之についで2人目の退場者となった。横浜FMは圧倒的な数的優位となり、試合運びが楽になった。
 まだ高校3年生で、授業のためにトップの練習に出られない日もあるが、着実に成長している。この日もDF北本久仁衛ら神戸守備陣に徹底マークされた。しかし、北本のマークについて「(すでに対戦した)闘莉王さんの方がもっと強かった。(体を当てる)タイミングが合えば、しっかりやれた。FWなので、後ろからガツガツ来られるのは当たり前。そこは大丈夫です」と言ってのけた。
 小野の決勝弾で横浜FMは4試合ぶりの白星で6位に浮上した。小野の目標は今後、先発に定着して勝利につながるゴールを取り続けることだ。そして、ロンドン五輪の“飛び級選出”も視野にある。
 この日は日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督が視察に訪れたが、小野は「アピールできた部分もあるけど、課題が多い。(A)代表とかはあまり考えていない」とA代表にはほとんど興味を示さなかった。だが、「(自身が選ばれなかったU-19代表がアジアで敗れたため)ワールドユース(U-20W杯)にはいけないので、あとはJリーグで頑張って、上のカテゴリー(U-21代表)に入れたらなと思います」とU-21日本代表への思いははっきりと口にした。
 「今日はあと2つくらい決定的なチャンスがあった。そういうのを決められるようにしないといけない。あと、苦しい時間帯に自分がキープして、チームを助けられるようにしたい」と課題を挙げた小野。その表情には満足感はない。「これを機会にどんどん点を入れられるようにしたい」。ストライカーとしての飽くなき執念をのぞかせた17歳。これからゴール量産し、J1初ゴールなど過去のことにしてしまう-。小野の瞳からは、そんな強い決意があふれ出ていた。
<写真>横浜FM・FW小野
(取材・文 近藤安弘)

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