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権田がPKセーブで“リベンジ”。「この勝ち点1を意味あるものに」

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[10.23 J1第27節 F東京1-1新潟 味スタ]

 誰もが目を覆いたくなるような崖っぷちから、守護神が救い出した。FC東京の日本代表GK権田修一が後半ロスタイム、PKをセーブして1-1の引き分けに持ち込んだ。残留争いを演じるチームに、貴重な勝ち点1をもたらした。

 3分のロスタイムも終了間際だった。PA内でMFリカルジーニョが新潟DF西大伍を倒してしまいPKを献上した。キッカーは名手MFマルシオ・リシャルデス。だが権田はひるむことなく、自分を信じて右に飛んだ。これがズバリ当たり、ファインセーブにつながった。

 「PKは相手のカウンターからだけど、最初は僕のキックからだった。1-1で終われて良かった。自分の中でうまく見て、思い切り飛んだ。読んでいた? キックのうまい選手なんで、どちらもあるかなと思っていた。何となくですね」

 値千金のセーブにも、笑顔はなかった。権田は、この新潟の攻撃の“起点”となったのが自分のキックからだと自らを責めた。何とか1点を奪い勝ち点3をつかみたいという思いから、権田は最前線目掛けてまるでアシストするかのような絶妙キックを蹴り込んだ。しかし、味方には収まらずカウンターを食らった。そしてPK献上。実際、権田のせいとは言えないが「自分のキックミスからだったから、自分で止めないといけないと思っていた」と強い責任感をのぞかせた。

 前半45分にマルシオの直接FKで失点したが、この責任も背負い込んでいた。正面から左隅に決められたものだが「僕のサイドからだった。壁の間を抜いてきたけど、自分が止めないといけなかった」とこちらも反省を口にした。

 マルシオのキックが素晴らしく、壁側のコースだったこともあり、そうそう止められるものではなかった。だが、A代表にも選ばれ、ロンドン五輪を目指すU-21代表でも“エース守護神”と思われる男だけに、追求しているレベルも高い。そもそも前節の仙台戦の後半41分、相手のFKを目測を誤って飛び出してしまい、2-2の同点弾を決められるというミスを犯しており、その“リベンジ”を果たしたい思いが強かった。

 「勝ち点1の重み? そうとう重いもの。この(勝ち点)1を意味あるものにするためには、勝たないといけない。みなさんは残留が目標だと思っているかもしれませんが、僕は勝ち点1でも多く積み上げたい。ギリギリ(で残留)というのは違うと思っている」

 権田は力強く言い切った。試合が劇的な終わり方だったため、スタジアムは大盛り上がりを見せていたが、たしかに勝ち点1を積み上げて同25にしただけ。まだまだ激しい残留争いは続く。今後、清水、G大阪、横浜FMと強敵との対戦が続くが、守護神は最後尾で奮闘し勝利につなげていく。

<写真>ロスタイムにPKを止めたF東京GK権田

(取材・文 近藤安弘)

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