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新潟、ボール回すも決定機少なく……。相手の戦術“深読み”

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[10.23 J1第27節 F東京1-1新潟 味スタ]

 アルビレックス新潟は前節に首位の名古屋を4-1で下した勢いを継続させ、約2カ月ぶりの2連勝を狙ったが、惜しくも失敗した。MFマルシオ・リシャルデスがPKを外したことがクローズアップされるが、相手の戦術を“深読み”してしまい決定機が作れなかった。

 前半は新潟が圧倒的にボールを支配し、サイドと中をうまく使って攻め込んでいた。だが、黒崎久志監督が「相手が予想以上に引いてカウンターを狙うような形だった。引っかかってカウンターから何度か危ない場面を作られた」と振り返るとおり、いつも以上に狭くなっていたバイタルエリアの攻略に苦しみ、パスミスから逆にカウンターを受ける場面が多かった。

 前日本代表DF永田充も「あんなに引くとは思わなかった。向こうも勝たないといけないのに何で、前に出てこないのかなと思った」と驚くほどF東京のラインは後退していた。中盤を支配しながらも何人かの選手が「相手に回させられてた」と証言したが、結果、カウンターを恐れてリスクを冒した縦パスが入れられなかった。

 それでも前半45分にマルシオの直接FKで先制に成功した。だが後半、F東京が新潟のパス回しに慣れてきた。そして後半15分、PA内で永田が競り合いからFW平山相太を倒してしまいPKを献上。これを同16分にMF梶山陽平に決められ、さらに流れが悪くなった。永田は「そんなに激しく行っていない。倒れかけて、相手の方に手が当たったが、手で押したように判断されたと思う」と悔しがった。

 その後もボールをつなぐ時間はあったが、カウンターを浴びる。それでも何とかしのいで1-1の同点に終わった。永田は「あの1点から、向こうもたたみかけようと前から来た。うちもクリアできていたけど、中途半端になった」と悔しがり、マルシオも「もう少しうまく落ち着いてボールを回せれば、ゲームの展開は違っていたと思う。ただ、サッカーとはそういうもの」と嘆いた。

 とはいえ、F東京の元日本代表MF石川直宏は取材陣の、チーム戦術として後ろに引いて相手にボールを回させたのかという問いに、「相手がサイドに振って、なかなか前に行くことができなかった。(サイドを使われる)プレッシャーで前にいける場面がなかった。新潟に良い戦い方をされた」と説明した。

 石川によると、戦術として後ろに引いていたわけではなく、新潟のサイド攻撃に押し込まれ、苦しんだ結果、引かざるおえなかったという。新潟としてはカウンター戦術を恐れていたようだが、少し“誤解”もあったとみられる。サイドをうまく使って、リスクを冒していたら……。敵地で勝ち点3をつかめたかもしれない。

<写真>引き分けに終わった新潟

(取材・文 近藤安弘)

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