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クラブへの恩返し、千葉時代に連覇の山岸、中島が3度目V狙う

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 初の決勝進出で初優勝を狙うサンフレッチェ広島にとって、優勝経験を持つ選手の存在は心強いだろう。千葉時代の05年、06年にナビスコ杯連覇を達成しているMF山岸智、DF中島浩司、DFストヤノフ。ストヤノフはベンチスタートとなりそうだが、山岸は中盤の左サイド、中島は3バックのリベロでの先発が濃厚だ。

 3人の優勝経験が持つ意味は大きい。山岸は「千葉のときとそんなに変わることはないと思うけど、ナビスコの決勝は独特だし、いい雰囲気の中でサッカーができる。それを幸せに思ってプレーしたい」と淡々と話しながらも、すでに国立での戦いはイメージできている。

 クラブへの恩返しという思いも強い。08年に千葉から川崎Fに移籍した山岸だが、新天地では思うような出番に恵まれず、今季、広島に期限付きで加入した。昨季はリーグ戦16試合で無得点に終わったが、今季は負傷もありながら、すでに18試合に出場し3得点。10月10日のナビスコ杯準決勝第2戦・清水戦(1-1)では貴重なアウェーゴールを決め、チームを初の決勝進出に導いた。

 今年で33歳となったベテランの中島は08年オフに千葉から戦力外通告を受け、昨季から広島に加入した。ボランチ、リベロの両方をこなし、今季リーグ戦は28節終了時点で26試合出場2得点。「人間は歳を取ると、動きの面は衰えるけど、若いときよりアイデアは増える。今は考える力が運動量を上回っているんだと思う」。いぶし銀のプレーは、いまやチームに欠かせない存在となった。

 「決勝は3回目だけど、ずっと試合に出ながらの決勝は初めて。この歳になっても、またこういう舞台に立てることを楽しみたい」。そう語った中島は「3回目の優勝? 自分よりはチームとして。チームにチャンスを与えてもらったので、優勝という結果でチームに還元できたらと思っている」と誓っていた。

 千葉時代の07年、当時のアマル・オシム監督との確執でシーズン途中に契約を解除され、広島に“拾われた”格好となったストヤノフを含め、いずれの選手も苦しい状況をクラブに救ってもらってきた。今回の決勝が、その恩返しの舞台だ。若手選手が多く、経験不足を指摘される広島だが、初優勝のカギは彼らが握っているのかもしれない。

[写真]千葉時代の連覇に続き3度目の優勝を狙う中島浩司

(取材・文 西山紘平)

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