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名門復活へ、磐田が5-3の打ち合い制し12年ぶり制覇!!2G2Aの前田がMVP!

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[11.3 ナビスコ杯決勝 磐田5-3(延長)広島 国立]

 名門復活を告げる戴冠だ。ナビスコ杯決勝が3日、国立競技場で開催され、98年以来12年ぶり2度目の優勝を狙うジュビロ磐田と、初の決勝進出で初優勝を目指すサンフレッチェ広島が激突。延長戦にもつれ込む死闘は、磐田が5-3の打ち合いを制し、頂点に立った。12年ぶりのナビスコ杯制覇。03年度の天皇杯以来、7シーズンぶりのタイトル獲得となった。
 磐田は前半36分、MF船谷圭祐が先制点を決めると、広島も同43分にFW李忠成、後半3分にMF山岸智のゴールで一時は逆転したが、磐田は後半44分にFW前田遼一が起死回生の同点弾。2-2のまま延長戦に突入すると、延長前半12分にMF菅沼実、同14分にFW山崎亮平がゴールを奪い、磐田が4-2と突き放す。広島も同ロスタイムにDF槙野智章が直接FKを沈め、1点差に追い上げたが、延長後半4分に前田がこの日2点目でダメを押し、磐田が5-3の激闘を制した。

 磐田は30日の川崎F戦からボランチが変わり、MF上田康太が公式戦4試合ぶりに先発。前線はFW前田遼一とFWジウシーニョの好調2トップとなった。
 広島はMFミキッチが9月11日のC大阪戦以来、公式戦10試合ぶりに先発復帰。31日の横浜FM戦は右MFに入ったDF森脇良太が3バックの右ストッパーに下がった。
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 試合は静かな立ち上がりとなった。広島がわずかにボール支配率では上回るが、磐田も高い位置からプレッシャーをかけ、広島のパス回しを封じる。広島はなかなか前線で起点をつくれず、磐田の粘り守備を攻めあぐね、こう着した展開が続いた。

 磐田は前半16分、ゴールほぼ正面の絶好の位置でFKを獲得すると、上田が左足で直接狙ったが、ゴールのわずか上へ。広島は同22分、ミキッチの右クロスからDF森脇良太がヘディングシュートを狙うと、同32分にはMF森崎浩司がミドルシュート。しかし、いずれも枠を捉え切れなかった。

 ゲームは突然、動き出す。前半36分、最終ラインでボールを持っていたDF中島浩司に対しFWジウシーニョが猛然とプレッシャーをかけ、中島がGKにバックパス。GK西川周作のクリアをMF船谷圭祐が拾い、右サイドに展開すると、前田の右クロスに逆サイドから船谷がフリーで飛び込む。下に叩き付けたヘディングシュートは西川の股間を抜き、ゴールネットへ。相手のミスを逃さず、磐田が先制に成功した。

 しかし、広島もすぐさま反撃する。前半終了間際の43分、ミキッチがDF2人をかわして右サイドを突破し、ゴール前に低いクロスを送ると、走り込んだFW李忠成が左足ワンタッチでゴール右隅に流し込む同点弾。得点後はGKの西川を含む全員で弓矢パフォーマンス。最後は輪の中央で李が立ち上がって両手を広げ、“花”を咲かせた。

 1-1で折り返した後半開始から広島はMF高柳一誠に代わってFW山崎雅人を投入。すると、開始わずか3分で広島が逆転に成功する。後方からのロングフィード1本にMF山岸智が抜け出すと、GK川口能活との1対1で落ち着いて右足でGKの股間を抜き、2-1と勝ち越した。

 磐田は直後の後半4分、前半終了間際に足を痛めたDFイ・ガンジンに代わってDF大井健太郎がピッチに入る。同6分にはMF那須大亮の縦パスを受けたMF西紀寛がドリブルでDFをかわしてPA内に切れ込み、右足でシュート。決定的な形だったが、シュートはわずかにゴール左にそれた。

 広島は後半11分に森崎浩に代わってMF青山敏弘、磐田は同15分に船谷に代わってMF菅沼実を投入し、互いに2枚目のカードを切る。

 1点ビハインドの磐田が攻勢を強め、徐々に広島を押し込んでいく。後半18分、那須の左クロスにジウシーニョが頭で合わせるもGK西川がキャッチ。同27分には西の右クロスに菅沼がボレーシュートを放つも森脇のクリアに阻まれ、同31分、那須のミドルシュートもGKの正面を突いた。

 同点ゴールを目指す磐田は後半32分、ジウシーニョに代えてFW山崎亮平を投入し、交代枠を使い切る。逃げ切りたい広島は同33分、ミキッチに代わってDF横竹翔が入り、森脇が中盤の右サイドにポジションを上げた。

 怒涛の猛攻を仕掛ける磐田。その執念が実ったのは後半終了間際の44分だった。上田の右CKに那須が打点の高いヘディングシュート。GKの弾いたボールを素早く前田が押し込み、土壇場で同点に追い付いた。

 2-2のまま90分間で決着が付かなかった激闘は延長戦に突入。広島は延長前半4分、MF高萩洋次郎の左足ミドルがクロスバーを直撃すると、磐田も同9分、上田の直接FKがGKの手をかすめ、クロスバーに弾かれた。

 そして延長前半12分、磐田は上田の左CKをニアサイドで那須が頭でそらすと、菅沼が左足ボレーでゴールを破り、ついに3-2と勝ち越す。さらに同14分、高い位置でボールを奪った山崎がそのままドリブルで駆け上がり、前田とワンツーの形で抜け出し、右足でフィニッシュ。4-2と突き放した。

 しかし、広島も諦めない。延長前半ロスタイム、ゴールまで約25mの距離でFKを獲得すると、槙野が直接狙う。右足から放たされた弾丸シュートはゴール左隅に吸い込まれ、3-4と1点差に迫った。

 広島も驚異的な粘りを見せたが、最後はやはりこの男だった。延長後半4分、DF古賀正紘の縦パスを胸トラップした前田がDFのマークをかいくぐり、ゴール前に進入。左サイド角度のない位置から左足で流し込み、5-3と試合を決定付けた。

 広島は延長後半ロスタイム、PA内にドリブルで仕掛けた槙野が倒される。PKのチャンスに槙野が自ら狙ったが、GK川口が横っ跳びで見事にセーブ。その直後に試合終了のホイッスルが鳴り響き、壮絶な打ち合いを制した磐田が栄冠に輝いた。MVPには2得点2アシストの前田が選ばれた。

(取材・文 西山紘平)

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