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ポンテが今季限りで退団へ、「裏でこそこそするのはよくない」

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[11.14 J1第30節 浦和2-0京都 埼玉]

 怒りと涙の一撃だった。1-0の後半ロスタイムにダメ押しの2点目を決めた浦和レッズのMFポンテは試合後のヒーローインタビューで感極まって号泣した。

 「すべてのサポーターの後押しに感謝している。もしかすると、今年の数試合がレッズでの最後の試合になるかもしれない。だから今年は最後まで、このユニフォームに誇りを持って戦いたい。サポーターの声しか聞こえてなかった。この素晴らしいサポーターを愛している」

 自ら今季限りで退団する可能性を示唆した。今季限りで契約の切れるポンテだが、いまだ契約更新の打診はない。クラブ側と来季の契約についての話し合いもなく、一方でフロントはポンテの後継者としてアルビレックス新潟のMFマルシオ・リシャルデスの獲得に動いている。

 これにポンテの怒りが爆発した。「他の選手と接触しているのは知っている。他の選手とは接触しているのに、自分とはしていない」とフロントの対応を糾弾した。

 「自分のサポーターに対するリスペクトは高いけど、残念ながらクラブの中で自分にリスペクトを持ってない人がいる。自分は契約するとき、男として契約したし、契約しないときも面と向かってやってもらいたかった。裏でこそこそするのはよくない。大事なのは自分へのリスペクト。今まで自分がレッズの中でやってきたことは、それぐらいには値しているのではないかと思っている」

 05年7月、レバークーゼンから浦和に加入したポンテは攻撃の中心としてチームを引っ張ってきた。06年のJリーグ、07年のACL、05、06年度には天皇杯制覇と、クラブの黄金時代を築いてきた自負がある。今月6日で34歳になったとはいえ、今季もここまで24試合出場6得点。世代交代を進め、若手選手を重宝するフィンケ監督の評価は決して高いものではなかったが、この日も再三の決定機を生かせないチームの中、8分間の出場で結果を残したポンテの能力は際立っていた。

 「残念なのは自分に対する扱い」と不信感を口にするポンテは「自分はレッズを出たくなかったが、残念ながらそうなりそうなので」と退団も受け入れるつもりだ。今後については「自分は日本に残る」と、他のJクラブへの移籍を模索していく。「サポーターの自分への愛情は特別なものだった。自分もサポーターに愛情を持っていた。でも、上手くいかないこともある」。背番号10が浦和に別れを告げる日は近い。

[写真]サポーターにゴールをアピールするポンテ

(取材・文 西山紘平)

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