beacon

[アジア大会]「あの瞬間ダニエウ・アウベスになっていた」SB實藤が優勝ゴール!!

このエントリーをはてなブックマークに追加

[11・25 第16回アジア競技大会決勝 日本 1-0 UAE 中国・広州]

 全国的には無名だった大学生DFが、一撃でアジア制覇の立役者となった。0-0で迎えた後半29分、日本は左ショートコーナーで東慶悟(大分)とパス交換したMF水沼宏太(栃木)が「UAEは意外にボールウォッチャーになるので、速くできるときは先ずファーサイドを狙う、と言うチームコンセプトがありました」とファーサイドへクロスを放り込む。

 大外で待ち構えていたのは右SBの實藤友紀(高知大)。右足での冷静なトラップでコントロールすると、周囲に目をやることなくそのまま右足を振りぬく。豪快な一撃は、弾丸ライナーでゴール左サイドネットへ突き刺さった。
 “DFらしくない”完璧なシュート。正確なクロスでゴールを演出した水沼も「狙い通りにサネに渡ってサネのトラップもシュートも完璧で、珍しく自分で鳥肌が立ちました。メチャ嬉しかったです」と絶賛したゴールが決勝点となった。

 殊勲の實藤は「ちょっと前にバルセロナのビデオを見ていて、ダニエウ・アウべスがサイドから中に入ってすごいシュート決めたのを見て、今大会はサイドやし、『チャンスあったらあの感じで打ってやろう』と思ってました。(水沼)宏太のボールが(鈴木)大輔の頭を超えるのがわかって、あの瞬間、ダニエウ・アウべスになってました。いい所に決まったでしょう」と自画自賛。エースFW永井謙佑(福岡大)が「お前調子にのってるんじゃねえよ!」と冷やかしたが、實藤は「これは決めたもん勝ち、言ったもん勝ちでしょう」と自らが決めたV弾に酔いしれていた。

 徳島・城南高時代にU-17日本代表へ選出されていたものの、全国高校選手権などの出場歴はなく、全国的にも無名だった實藤。ただ09年総理大臣杯全日本大学トーナメントで高知大を初の決勝へ導くなどその強靭なフィジカルと守備能力の高さで注目を集めたCBは11年の川崎フロンターレ入りを勝ち取った。

 そして抜擢されたアジア大会日本代表。今大会は慣れない右SBでの起用だったが、高知大の野地監督から「練習試合とかではSBをやれと言われていた」と取り組んでいた成果が出たのか、集中した守りで大会通じて1失点で終えた堅守に大きく貢献。そして自らの一撃で歴史を塗り替えたDFは将来へ向けて大きな、大きな自信をつかんで大会を終えた。

(協力=FAR EAST PRESS、文=吉田太郎)
第16回アジア競技大会特設

TOP