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李忠成がA代表初選出。「みんなに希望や力を与えたい」

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 再び日の丸のユニホームに袖を通す時が来た。2008年の北京五輪代表だったFW李忠成(広島)がA代表に初選出された。待ちに待った吉報に、李は自身のブログで「日本を代表して戦う誇りを胸に…みんなの期待に応えられるよう…僕の力がチームの勝利に貢献できるように…そして、みんなに希望や力を与えられるように活躍できるように頑張ってきたいと思います!」と思いを綴った。

 選出についてアルベルト・ザッケローニ監督はこの日の会見で「李は代表の座をJリーグでのパフォーマンスで、見事にもぎ取ったなという印象。このチャンスに、挑戦するのに値する選手だと感じている」と説明したが、まさに猛アピールが実った。

 今季開幕当初はエース・佐藤寿人の控えに回っていたが、9月8日のナビスコ杯準々決勝第2戦・G大阪戦(万博)で佐藤が右肩を負傷、手術を行ったため長期離脱した。そこでチャンスを得た李は、ゴールを量産した。9月18日の神戸戦(広島ビ)で今季初ゴールを決めると、そこから5戦連続ゴール。佐藤が復帰後も先発をキープし、シーズン終盤の12試合だけで自己最多のリーグ戦11得点と大爆発した。その間、ナビスコ杯でも活躍し3試合2得点。準優勝に大きく貢献した。

 当然、まずは広島のために戦ったが、本人も代表入りを強烈に意識していた。「ザックさんが見に来てるというので、ドリブルからのシュートを意識してゴールを決めました」と語った11月20日の新潟戦(広島ビ)など、ザッケローニ監督が視察に訪れた複数の試合でゴールを決めて『李忠成』を強烈に印象付けた。そんな“デモンストレーション”が花開いた。

 ザッケローニ監督は、李忠成ら今回招集した若手選手について、アジア杯での試合出場だけでなく、海外組ら日本代表の“先輩”と一緒に行う練習も含めて経験の場にして欲しいと“育成選手”であることを示唆したが、李は“即戦力”として期待される。

 これまでの代表戦で、ザッケローニ監督は4-2-3-1(4-3-3)システムを基本にしているが、今回1トップタイプのFWは李忠成の他はFW前田遼一(磐田)のみ。イタリア・セリエAでプレーするFW森本貴幸(カターニア)は、19日のブレシア戦後に左膝半月板の手術を行ったため招集が見送られた。

 ザッケローニ監督が「彼が手術をしたということは、日本協会にとっても私にとっても、非常に驚きだった。そのニュースを私たちが知ったのは、記者の人と同じようなタイミング」と明かしたほどの緊急事態。そもそもFW登録の選手は3人だけで、李忠成の存在がクローズアップされる。

 李忠成は2007年に日本国籍を取得し、2008年の北京五輪に出場したが、A代表入りはこれまで叶わなかった。アンダー世代の韓国代表候補としてトレーニングキャンプに招集された経験もある中、悩みに悩み抜き、さまざまな思いから日本代表を選択しただけに、日の丸への思いは特別だ。アジア杯で結果を残して代表定着、そして2014年のブラジルW杯へ。“魂のストライカー”の挑戦が始まる。

[写真]2007年11月、北京五輪アジア最終予選・サウジアラビア戦の李忠成

(取材・文 近藤安弘)

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