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アジア杯メンバー発表、ザッケローニ監督会見要旨

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 日本サッカー協会は24日、来年1月7日にカタールで開幕するアジア杯の日本代表メンバー23人を発表した。FW李忠成(広島)がA代表に初選出されたほか、DF吉田麻也(VVV)、MF柏木陽介(浦和)らが復帰した。
以下、ザッケローニ監督会見要旨

アルベルト・ザッケローニ監督
―アジア杯はカタールで中東のチームが相手になるが?
「アジアのサッカーは世界的に見ても伸びてきている。南米と欧州が引っ張ってきたが、最近はアフリカのチームがクローズアップされるようになり、これからはアジアだなと思っている。アジア杯の結果は大切だが、2010年から続いている成長を止めてはいけない。最終的な目標は2014年のW杯で主役を演じること。若い選手を入れながら強化していきたい。アジア杯は手ごわい相手がそろっている。オーストラリアと韓国を筆頭に、カタールで開催されることで中東のチームも準備を進めてきているだろう。大変な大会になると思うが、結果と成長が大切なテーマ。個人の成長だけでなく、チームとして積極的なサッカーを展開していきたい」

―メンバー選考の基準は?
「選考基準は選手の才能やタレント性、チームとしてプレーできること、そしてフィジカルコンディション。フィジカルコンディションは難しい。Jリーグが終わった選手もいれば、天皇杯に向けて準備している選手、海外でプレーしている選手もいる。そこのコーディネイトは難しいと思っている。選考基準のもうひとつのポイントとしては、若い選手、伸びしろのある選手を入れた。無理に招集したとは思っていない。国内合宿から全員がそろってくれれば、フィジカル的にもいい準備ができるが、他のカレンダーもあるので、それはしょうがない」

―2011年の1年間の戦術面のテーマは?
「アジア杯の結果に大きな期待が懸かっているのは感じている。素晴らしいW杯があり、アジア大会では男女ともに優勝した。アジア杯でもサッカー界全体のいい流れを継続させたい。戦術的には、どんな相手にも攻守のバランスを崩さないチームをつくっていきたい」

―勝利給など代表選手の待遇をめぐって選手と協会が対立しているが?
「先週、イタリアの新聞を通じて知った。アジア杯の前ということで、私も選手も大会に集中している。そういうことについて話すタイミングではないと思っている。前回呼んだ選手のことは私も知っているが、アジア杯に向けてモチベーションが下がるようなことはないと思っている」

―招集した23人については?
「アジア杯に来てくれるすべてのクラブの選手に感謝したい。また、23人からは漏れたが、代表に入るのに値するパフォーマンスを見せてくれた選手はたくさんいる。その選手にもお礼を言いたい。イレギュラーな時期の大会ということで、W杯から休んでいない選手もいるし、タフな日程の選手がたくさんいる。W杯のメンバーで今回漏れた選手もいるが、彼らは実力もあって計算できる選手なので、今回は思い切って若い選手を呼んだ。1ヵ月という長い期間、一緒に活動できるので、そこで若い選手に私の考えを伝えていきたい。アジア杯は結果も大切だが、日本のサッカーがアジア杯で終わるわけではない。2014年のW杯に向けて、いい準備をするためにも、若い選手を抜擢し、若返りを図って、若い選手がもっといい選手になるように成長を促したい。もちろん相手をリスペクトするが、このメンバーで臨むにあたって、どこも怖がる相手はいないなと感じている」

―森本が左ひざを手術したということで代表から外れたが? また初招集の李忠成の評価は?
「森本が手術をしたことは、協会にとっても私にとっても驚きだった。それを知ったのも、おそらく記者さんと同じタイミングではないかと思う。李忠成については、代表の座をJリーグのパフォーマンスで見事にもぎ取ったと思う。このチャンスに挑戦するに値する選手だと思う。他にもいいFWはいるが、23人の枠は少ない。少ない人数の選手を喜ばせることはできるが、たくさんの選手にはうれしくない結果になってしまって残念に思っている」

―W杯でレギュラーだった中澤、闘莉王がいない中でディフェンスをどう構築していくのか?
「中澤、闘莉王だけでなく、駒野、栗原とDF4人がケガで参加できない。守備陣への打撃は大きいと思っている。新しい選手を発掘するか、今いる選手の意識の共有をさらに強めて、ディフェンスの強化を図っていきたい。しかし、今回呼ばれたメンバーがアジア杯できっと素晴らしい活躍をしてくれると思っている」

―アジア杯の目標は?
「目標は当然、上を目指すこと。フィジカルコンディションや相手によっても変わってくるが、いかなる状況でも上を目指すことを忘れないようにしないといけない。日本サッカーは伸びてきているので、この成長を止めないように、この大会に臨みたい。唯一、残念なのは、カレンダーの影響で、すべての選手が国内合宿から自分の手元にいないこと。チームをつくり上げる大事な時期なので残念。ただ、どんなチームが相手でもチームとしてのバランス、勇気を持って戦ってほしい」

―韓国、オーストラリアの印象は? またJ2に降格したF東京からも招集しているが?
「韓国とオーストラリアは日本とともにアジアを代表するチーム。ただ、アジア杯は中東のチームもホームに近い環境で戦えるので、かなり手ごわい相手になると思っている。F東京はJ2に落ちたが、J2でも代表に入れる可能性のある選手はいるし、私もスタッフもJ2も見に行こうと思っている。すでにJ2でも代表に入れる可能性のある選手は我々の方でも調査している」

―若い選手に期待するプレーは?
「若い選手にそんなに負担はかけたくない。Jリーグでこれまでやってきた実力を出してほしい。国際経験豊富な選手たちの近くでいろいろ学んで、成長を早めてもらいたい。才能はJリーグで十分に発揮しているし、そこに疑問はない。しかし、真のサッカー選手になるためには経験も必要。こういう大会を経験することで成長してほしい」

―3月に行われるキリンチャレンジ杯については?
「2010年の日本サッカーはいい流れて来ている。この流れを止めることなく、2011年も飛躍に年になればいいなと思っている。3月の2試合はW杯に向けてチームを強化するのに大事な試合となる。3月25日に静岡で対戦するモンテネグロは若くて才能ある選手が数多くいる。旧ユーゴの国は若くていい選手を輩出するアカデミーができている。厳しい相手という印象がある。29日に東京で対戦するニュージーランドはモンテネグロとは違い、フィジカルを前面に押し出すサッカーをしてくる。異なるタイプのチームと試合ができるのは成長につながる。ニュージーランドについては個人的によく知っている。2010年のW杯でイタリアと同じグループだったので注目していた」

(取材・文 西山紘平)

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