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[大学選手権]中京大が夏に続いて決勝へ、風上の後半に“狙い通り”の逆転勝ち

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[12.26 全日本大学選手権準決勝 高知大1-2中京大 平塚]

 第59回全日本大学サッカー選手権は26日、準決勝を行い、中京大(東海2)は高知大(四国)に2-1で逆転勝ちし、優勝した00年度以来となる決勝に駒を進めた。今夏の総理大臣杯に続く決勝進出。10年ぶり2回目の優勝を懸け、11年1月5日の決勝で関西大(関西2)と国立競技場で激突する。

 準々決勝で駒澤大を下し総理大臣杯決勝のリベンジを果たした中京大と、同じく準々決勝で前回王者・明治大を破った高知大の一戦。前半は、王者撃破で勢いに乗る高知大がペースを握った。

 強風が吹くコンディションの中、前半、風上に立ったのは高知大だった。前半11分、MF芝野創太(4年)が左足ループシュートを狙うと、同21分にはMF西山巧真(3年)の左CKにDF山部晃(2年)が合わせるもGKがキャッチ。同26分にはDF赤木俊秀(2年)の右クロスのこぼれ球を西山が狙ったが、惜しくもGKの好守に阻まれた。

 追い風も味方に付け、果敢に攻め込む高知大は前半27分、PA内でこぼれ球を拾った芝野が横パス。FW福本圭(2年)のシュートは当たり損ねとなったが、これがゴール前でフリーの西山へ絶好のラストパスとなり、西山が右足ワンタッチで押し込んだ。

 高知大の野地照樹監督は「先手必勝の気持ちで、風上を取って、前半はうちらしいサッカーが上手くできた」と振り返る。コイントスで勝った高知大は風上のエンドを選択。狙い通りの展開でゲームを支配し、先制後も積極的に追加点を狙った。しかし、前半41分、芝野の左クロスに合わせた福本のヘディングシュートはゴール上に外れ、同42分の右CKのチャンスもDF實藤友紀のヘディングはゴールライン上でDFにクリアされた。

 結局、前半は高知大の1点リードで終了。しかし、これは中京大にとっても想定の範囲内の点差だった。西ヶ谷隆之監督は「前半は我慢して、後半勝負だと思っていた。1点は取られたが、2点目を取られなかったことで、選手には“いける”という自信があったと思う」と言う。

 実は試合前のコイントスで勝った場合も、自分たちで風下のエンドを取るつもりだった。DF平山照晃主将(4年)は「後半、苦しい時間帯に長いボールを放り込まれると、ラインが下がって、アクシデントも起きる。風上なら前からいけるし、ラインを高く保てる。苦しいときに風上に立つのが狙いだった」と明かした。前半に1失点なら許容範囲。「相手が決めるところで決めていれば3点ぐらい取られていたかもしれない。そこで1点で抑えられたのは大きかった」(平山)と、手応えを持って後半に臨めた。

 後半はまったく異なる試合展開になった。立ち上がりの3分、MF佐藤和弘(2年)の右CKがファーサイドに流れてきたボールをDF中田智久(3年)が右足で蹴り込む。1-1の同点。後半12分には佐藤の右CKからFW藤牧祥吾(3年)がヘディングシュートを放つなど一気に攻勢を強めた。

 そして後半23分、相手からボールを奪った佐藤からのパスに反応した藤牧がPA外から右足を一閃。GKの頭上を越えたボールはゴール前で急激に落下し、ゴールマウスへ。藤牧の3試合連続となるゴールで、中京大がついに試合をひっくり返した。

 逆転を許した高知大も必死の反撃を試みるが、なかなか決定機をつくれない。前半33分、赤木のFKに合わせた西山のヘディングシュートは枠を捉えられず、同37分には實藤が直接FKを狙うも、ゴール上に外れた。

 終盤は實藤を前線に上げてパワープレーを仕掛けたが、中京大守備陣も集中を切らすことなく、体を張って跳ね返す。2-1の逆転勝ち。夏の総理大臣杯に続いて決勝への切符をもぎ取った。

 西ヶ谷監督は夏のチームと比べ、「選手自身でゲームをコントロールできるようになった。判断を含め、少しずつ大人のサッカーに近づいている。相手によって、試合展開に応じて自分たちで対応して、そこからさらに自分たちのストロングポイントを出せるようになった」と、選手たちの成長ぶりに手応えを深めている。

 総理大臣杯決勝は駒澤大に延長戦の末、2-3の惜敗。日本一まであと一歩のところで届かなかった。今度こそ頂点へ。中田は「このチームで戦える最後の試合。チーム一丸となって戦いたい」と力強く誓った。

[写真]後半23分、決勝点を決めたFW藤牧祥吾が飛び跳ねて喜ぶ

(取材・文 西山紘平)

第59回大学選手権特集

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