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[選手権]米子北のJ入りコンビは初戦で涙「いつか日の丸を背負って」

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[12.31 全国高校選手権1回戦 静岡学園 2-0 米子北 等々力]

 この2年間米子北(鳥取)の躍進を支えてきたU-19日本代表候補CB昌子源(3年、鹿島アントラーズ加入内定)とFW谷尾昂也(3年、川崎フロンターレ加入内定)の全国高校選手権はわずか1試合80分間で幕を閉じた。

 試合開始から米子北はボールを奪うと常に前線の谷尾を探し、正確なボールを放り込んできた。相手ボランチとDFに挟み込まれながらもボールをキープしようとする谷尾。わずかでも隙があれば強引に体をねじ込んでシュートエリアにまで持ち込んでいた。だが「体を上手く入れられてボールを取られてしまった。自分の形でもらえたのは1、2回だけ」と振り返る背番号10はまさかのシュートゼロ。2011年からホームスタジアムとなる等々力陸上競技場には川崎Fの公式HPを通して谷尾と同じく川崎F入りが内定している静岡学園MF大島僚太から「応援要請」が出されたことにより、多数の川崎Fサポーターも来場していたが、ゴールという期待にこたえることはできなかった。

 一方、昌子はこの日、その右足で等々力をどよめかせた。前半23分、約35mの距離から放たれた得意の右足FKは弾丸ライナーでゴール右ポストを直撃。普段Jリーグ、日本代表の取材を行っている記者席からも「オォー」「何?あのシュート」という驚きの声が飛んでいた。
 高校ラストイヤーでようやくたどり着いた選手権の舞台。見せ場はつくったがやはり1試合だけで終わりたくなかった。2点を追う後半25分過ぎから昌子は前線に入りパワープレーへスイッチ。空中戦での奮闘に加え、精度の高いクロスボールも攻撃に活力を加えた。だが、最後まで1点を奪うことはできなかった。

 昨年の全国高校総体で鳥取県勢としては初の決勝進出。そして同年の全日本ユース選手権では静岡学園、浦和レッズユースを下すなど「地方でもできるんだ」という姿を見せた。そして今年の全国高校総体でも優勝候補筆頭の流通経済大柏(千葉)を撃破するなど8強入り。だが自分たちにとって初めてとなる選手権で勝ち上がることは簡単ではなかった。

 これで高校サッカーからは卒業。昌子と谷尾はこれからチームメートたちと別の世界へ飛び込む。昌子は「いつか日の丸を背負って、2人でまた努力していきたい」。Jクラブの春季キャンプは1、2月にスタート。この日涙した2人だったが、1ヵ月後には切り替えて新たな目標へ走り出した姿を見ることができるはずだ。

[写真]米子北DF昌子源(写真協力 『高校サッカー年鑑』)

(文 吉田太郎)
【特設】高校選手権2010

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