[1.3 全国高校選手権3回戦 前橋育英1-1(PK1-3)流通経済大柏 フクアリ]

　無情にもクロスバーの上へ消えた。PK戦。先攻1人目のキッカーを務めた前橋育英(群馬)のMF小島秀仁主将(3年)が「思い切り蹴ろうと、GKを見ずに蹴った」ボールはゴール上に浮いた。2人目のMF湯川純平(3年)、4人目のFW小牟田洋佑(3年)のキックもGKに阻まれる。PK1-3。2大会前の4強越えを目指したタイガー軍団の戦いが終わった。

　1-1で迎えた後半ロスタイムにはゴールほぼ正面の絶好の位置でFKを獲得した。しかし、右足でカーブをかけた小島のキックは曲がり切らず、ゴール右へ。「あそこで決め切れないのは自分に足りないところがあるから。自分が決めていれば、勝っていた」と唇をかんだ。

　「自分の責任だから、みんな顔を上げてほしい」。試合後、チームメイトにそう声をかけたという。「全員が全力を尽くした。最後の負け方が悔しくて、悔いは残るけど、みんなで戦えた、いい大会だった」。卒業後は浦和入団が内定している。「パスだけではやっていけない。運動量も足りないし、苦しいところでリーダーシップも取れなかった。ああいう苦しい場面でチームに貢献できて、最後まで走り切って、気持ちで戦える選手になりたい」。大会を通じて見つかった課題をひとつひとつ消化して、プロの世界へ羽ばたいていく。

[写真]PKを失敗し、うつむくMF小島秀仁

(取材・文　西山紘平)

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【特設】高校選手権2010