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[選手権]柴崎、涙の高校最終戦

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[1.3 全国高校選手権3回戦 滝川二2-0青森山田 西が丘]

 高校サッカー生活の終わりを告げるホイッスルが鳴り響くと青森山田のMF柴崎岳主将(3年)は静かに腰を落とした。準優勝だった昨年度越えを誓って臨んだ全国大会は3回戦で滝川二の前に敗戦。09年のU-17W杯で日本代表の10番を背負い、鹿島アントラーズ入りを決めている大会最注目MFは「忘れ物をした」国立に舞い戻ることなく大会から姿を消した。

 前半22分には左サイドから弾道の低い右足FK。ゴール前で誰か触れば1点という素晴らしいボールだったが、誰も合わせることができずボールはポスト右外へ外れた。1点を追うチームの中で得意のパスだけでなく、中盤からの鋭いドリブル、シュートでも相手の守備を打開しようと試みた。だが38分に放った右足FKはGKの手中におさまり後半31分のドリブルシュートも枠を捉えることはできない。そして後半ロスタイムに痛すぎる2失点目。「チームとしてチャンスがあったとき、ボクも決められなかった責任はある。ああいうところを決めきれないと試合を落とすことになる。決めるところで決めきれる選手になりたい」。その目は涙で赤く染まっていた。

 自分を信じて応援してくれた地元・青森、そして中高をすごした青森山田への感謝は簡単に語りつくすことができない。特に高校の3年間については「いろいろな楽しいことも悔しいこともあって18年の(人生)中で一番充実していた3年間だった」と振り返った。その集大成として全国の頂点に立ちたかった。日本一になって感謝の思いを表現したかった。だが望みはかなわなかった。

 悔し涙を流したこの日は新しい日々へのスタートだ。「やっぱり期待に応えられるようにもっともっと成長しなければならない。もっともっと地道にコツコツとやっていきたい」。高校ナンバー1MFはこの日、予定よりも一週間早くプロ生活へのスタートを迎えた。

(写真協力 『高校サッカー年鑑』)
 
(取材・文 吉田太郎)
【特設】高校選手権2010

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