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[選手権]「兵庫の高校生に夢を」滝川二、兵庫県勢72年ぶりV獲る!

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 第89回全国高校サッカー選手権はあす10日、東京・国立競技場でともに初優勝を狙う久御山(京都)と滝川二(兵庫)による決勝を行う。

 決勝を翌日に控えた9日、滝川二は午後1時から東京都の西が丘サッカー場で最終調整を行った。昨日行われた準決勝のサブ組が4対2などを行っていた一方、先発したメンバーは完全別メニュー調整。当初はランニングのみの予定だったが、FW浜口孝太主将(3年)が「滝二のグラウンドはボコボコでこんないいグラウンドで練習したことなかった。テンションが上がってPKとかしちゃいました」と説明したように予定外のPK練習など、選手たちはグラウンド使用予定時間の1時間30分をフルに使い、笑顔で天然芝グラウンドを満喫していた。
 
 負傷が心配される“ダブル・ブルドーザー”こと浜口主将とFW樋口寛規の2トップはともに練習に参加。右足を複数個所負傷している樋口はランニングも回避する状態だったが「あとひとつなんでやるだけ」と話し、「(トレーナーの話では)動くこともあまりよくないという。本来ならば休ませないといけない」という栫裕保監督も「本人はやる気あるので」と起用する意向を示した。

 夏叶えなかったあと1勝を果たす。夏の全国高校総体は同校史上初となる決勝進出。当時は「ポン、ポン。ポンと勝ててしまって」と本人たちも驚く勢いがあった。だが決勝では後半14分に市立船橋から先制しながら、後半25分に追いつかれ、延長戦の3失点で敗戦。だが今回、04年度の市立船橋以来となる総体と選手権での決勝進出を果たしたチームは勝って“高校生活”最終戦を終えるつもりだ。

 浜口主将は「インハイとは『勝ちたい』という気持ちでも違いがある。負けても勝っても引退試合。残れたことだけでも幸せだけどあと1勝。楽しみで仕方ないです」。普段土のグラウンドで練習している滝川二はJリーグも開催される西が丘で3年生にとって最後の練習を行なえたことで、テンションはさらに高くなっている。

 勝てば兵庫県勢では戦前の1938年に優勝した神戸一中(現神戸)以来72年ぶりの選手権全国制覇。栫監督は「兵庫県が優勝したのはボクが生まれる前のかなり昔。初優勝に近い。でも勝って兵庫の高校生に夢を与えられたら」。半世紀以上の沈黙を破り、滝川二が兵庫県に選手権全国タイトルをもたらす。

(取材・文 吉田太郎)
【特設】高校選手権2010

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