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「期待超えたい」U-20W杯へ風間、田鍋らU-18日本代表候補が始動!

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 2013年のU-20W杯を目指すU-18日本代表が始動! 1993年生まれ以降の選手たちによるU-18日本代表の第1回候補合宿が、12日から静岡県御殿場市内で行われている。

 かつて7大会連続でU-20W杯(旧ワールドユース時代含む)に出場してきた日本だが、09年、そして今年行われる11年大会と2大会連続でアジア予選敗退。世界大会へ進むことができていない。それだけに日本の近未来を背負う選手たち、そしてコーチングスタッフは、早くも今秋に1次予選の始まるアジア突破と世界切符獲得を誓っていた。

 今回、始動するに当たって候補54選手を2グループに分けて(第1グループ=12日~15日組、第2グループ=15日~18日)招集。Jクラブへ加入した選手や、同キャンプへ参加する選手たち、また負傷組なども選出されていないが、現時点で最も代表戦士に近い位置にいる選手たちが合宿に呼ばれている。

 12日に始まった第1グループの合宿には元日本代表MF風間八宏氏(現筑波大監督)の二男、MF風間宏矢(清水商高)とヴィッセル神戸の和田昌裕監督を父に持つMF和田篤紀(神戸U-18)、名古屋グランパスやジェフユナイテッド千葉などが注目する快足MF田鍋陵太(三菱養和SCユース)、すでに愛媛FCでJリーグのベンチ入りを経験しているMF近藤貫太(愛媛ユース)らが名を連ねている。13日は合宿2日目の練習が行われたが、この後15日から開催される第2グループの合宿にはすでにJ2でゴールを決めているFW南秀仁(東京ヴェルディユース)やMF熊谷アンドリュー(横浜F・マリノスユース)ら代表入りへのライバルが参加予定のため、第1グループの選手たちは少しでも差をつけようと必死。午前中に実施されたフィジカルテストでは、片足5段跳びで田鍋が別格の14mを超える記録を出して周囲を驚かせたほか、15m往復のシャトルランでは広島ユースのDF柳川剛輝がトップ記録をたたき出すなどそれぞれがアピールし、さらに午後の紅白戦(30分ハーフ)では時間が進むにつれて激しさを増していった。

 その紅白戦(メンバーはこちら)ではFW久保裕也(京都U-18)が躍動。ビブス赤チームの1トップとして出場すると、開始1分にDFの背後へのパスを引き出し先制ゴール。ビブス緑チームは風間のミドルシュートのこぼれ球をMF桑島昂平(徳島ユース)が押し込んで同点に追いつくが1本目25分、和田のスルーパスに反応した久保は強靭なフィジカルを生かして相手ディフェンスを振り切り勝ち越しゴール。2本目11分には巧みなドリブルでDFを2人、3人と難なくかわしてハットトリックを達成した。

 ビブス赤チームは直後にも左サイドから切れ込んだMF廣田隆治(神戸U-18)が右足シュートを決めて加点。ビブス緑チームは20分に風間が“ゴラッソ”な左足ミドルを叩き込んで追撃したものの、和田と原川力(京都U-18)が中盤をコントロールし、CB西野貴治(G大阪ユース)が好守を見せるなどしたビブス赤チームが4-2で勝利した。

 2013年のU-20W杯を目指すため、ユース年代代表の再興のため、チームの指揮を託されているのは吉田靖氏。07年U-20W杯では準優勝したチェコにPK戦の末敗れたものの、高評価されたチームをつくり出し、“調子乗り世代”と評された日本代表を世界ベスト16へ導いている指揮官だ。世界を知る指揮官は13日午後に行われた30分ハーフの紅白戦では前半途中に試合を止め「ボールに対してもっと強くいかないとダメだ! 取られた瞬間、ボーっとしている奴が多い!」などと厳しく指摘していたほか、「世界」という言葉を繰り返し使い、選手たちの士気と意欲を高めていた。

 今や日本代表の10番を背負うMF香川真司、DF内田篤人、DF槙野智章、DF安田理大らが「第1次吉田ジャパン」から世界へ飛び出している。「(彼らの活躍には)びっくりしているくらいです」と目を丸くする吉田監督だが「自信を付けることでどんどん良くなっている。世界大会は大きな経験になる。(現在のユース世代の選手たちも)経験して財産にしてほしい。(彼らのように)きっかけにしてほしい」と才能たちに期待した。

 目標は世界。「この年代で世界に出ることが近未来の日本サッカーにつながる。世界に出てその経験を五輪、A代表につなげていかなければいけない」と吉田監督。日本が2大会連続でU-20W杯出場を逃していることについては「7回連続で出られたけれど、ボクらの時もその前もいつ負けてもおかしくなかった。(アジアを突破することは)簡単ではない」と世界切符をつかむことの難しさを説明した。

 ただもうアジアで負ける訳にはいかない。「(プレッシャーがかかるが)ドイツだってアルゼンチンだって(メディアなど)周囲からの厳しいプレッシャーを乗り越えて強くなっていく。期待されることはいいこと。(周囲の)期待を超えようと思う」と続けた。前回好結果を出しているだけに“吉田ジャパン”への期待は大きいが、その「期待」を超えるため一歩一歩前進していく。

紅白戦メンバーは以下のとおり
GKは
田尻健(G大阪ユース)
杉本大地(京都U-18)
村下将梧(東海大仰星高)
の3人

[ビブス赤]
▽DF
免田朋己(神戸U-18)
西野貴治(G大阪ユース)
木下高彰(浜松開誠館高)
山千代大斗(G大阪ユース)
▽MF
和田篤紀(神戸U-18)
原川力(京都U-18)
越後雄太(仙台ユース)
近藤貫太(愛媛ユース)
廣田隆治(神戸U-18)
柏瀬暁(清水ユース)
▽FW
久保裕也(京都U-18)
※近藤、広田、久保、柏瀬が交代出場

[ビブス緑]
▽DF
柳川剛輝(広島ユース)
高橋祐治(京都U-18)
真辺博也(明徳義塾高)
山中亮輔(柏ユース)
▽MF
風間宏矢(清水商高)
小谷光毅(G大阪ユース)
川森有真(広島ユース)
桑島昂平(徳島ユース)
田口光樹(九州国際大付高)
▽FW
三根和起(京都U-18)

※紅白戦欠場
DF玉城嵐士(日章学園高)
MF田鍋陵太(三菱養和ユース)

[写真]始動したU-18代表の候補合宿。左から川森、和田、田鍋、風間、小谷、越後
(取材・文 吉田太郎)

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