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FIFA、八百長対策の組織委員会設立か

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 スイスのゾンタークス・ツァイトゥング紙は今年1月、国際サッカー連盟(FIFA)のゼップ・ブラッター会長へのインタビュー記事を掲載した。

 記事の中でブラッターは、サッカーにおける八百長対策として、FIFAに反汚職委員会を設置する考えを発表した。ブラッターは、反汚職委員会にはスポーツ界に限らず、政治、金融、ビジネス、文化の世界から選んだ7〜9人の委員を選び、今年6月にスイスのチューリッヒで予定されているFIFAの議会でこの委員会の設置を提起すると同紙にも語っている。

 八百長フィクサーたちを追ったノンフィクション『黒いワールドカップ』(原題『THE FIX SOCCER AND ORGANIZED CRIME』)の著者で、ジャーナリストのデクラン・ヒル氏は、「すばらしいアイデアだ」と言う。
 だがヒル氏いわく、「自分の見方が間違っていることを望むが、委員会設置はスポーツ界を粛正するというよりも宣伝的な要素が強い」。その上で、ヒル氏は委員会設置に対して、注意すべきいくつかの課題を投げかけている。

●捜査担当者
スポーツ界からの人材に限る必要はないとブラッターは言うが、元警察といったプロの捜査官が絶対不可欠だ。

●予算
どんな優れた捜査員でも予算が少なければ捜査はできない。誰がどこから予算を出すのか。

●運営
八百長が発覚するまで待つのか、捜査によって予防する意図はあるか。

●独立性
FIFAから独立していなければ、利害の衝突が起きる。上司にあたる人物を捜査するのは容易ではない。

●自浄努力
FIFAの幹部がテレビ放映権などに関して賄賂を受け取っていたケースもあった。そういう部分にもメスを入れられるのか。
(スイスで行なわれたスポーツマーケティングの会社、ISL社の社員による資金乱用の裁判によれば、90年代のW杯のテレビ放映権をめぐり、ISL社がFIFAの幹部たちに賄賂を渡していたことが判明。英BBCは幹部3人の名前を報じたが、実際にはほかにも賄賂を受け取っていた幹部がいた可能性があるとも報じている。つまり「曖昧になっているこうした問題にも切り込めるのか」という意味)

 現在、日本でも大問題になっている大相撲の八百長問題においても、こうした「課題」は参考になるのではないだろうか。

▼関連リンク
『黒いワールドカップ』

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