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悲願の世界へ-。U-22に初招集の権田、「オリンピックでメダルを取るための第一歩の合宿になる」

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 ロンドン五輪を目指すU-22日本代表に初選出されたFC東京のGK権田修一が21日、関塚ジャパン合流を目前に控え、その意気込みを語った。今季開幕の鳥栖戦(味スタ)は左第五指PIP関節開放性脱臼のために欠場したが、この日の東京学芸大との練習試合でレギュラー組の1本目に復帰。35分間を2-0の無失点で切り抜け、復調をアピールした。
 すでにアジア杯などA代表を経験している権田だが、実は世界大会には縁がない。試合後、U-22のウズベキスタン遠征のために集合先の広島に移動する直前、ロンドン五輪にかける熱い思いを明かしてくれた。なお、U-22日本代表イレブンは本日、広島県内に集合。22日に韓国経由でウズベキスタンに向かい、26日と29日にU-22ウズベキスタン代表と強化試合を行う。
以下、権田コメント
-練習試合を行いました。患部の具合はどうですか?
「問題があったら逆に試合には出られないし、練習もできないですからね。患部が大丈夫だから、いまからウズベキに行きます(笑)。大丈夫です」
-U-22は初めての参加になります。他の選手から事前に情報収集をしたりとかは?
「誰かに聞いた情報よりも、自分で見た情報の方が確かだと思うので、聞いてないですね。まして、うち(FC東京)からアジア大会にしてもバーレーン遠征にしても、行っている選手がいないので。“初めまして”の選手が多いので、実際に行って選手の特徴とかチームの雰囲気を自分で感じないといけないと思う。人から聞いたものを先入観として見ちゃうのは、いいことがない気がするので。自分で見てから、という感じですね」
-試合のVTRは見ましたか?
「アジア大会はテレビでやってたので見ましたね。バーレーン遠征とかは見てないです。(見たのは)3試合くらいですね」
-どんな印象? こうしたら良くなるとか、自分が入ったらこうするというイメージはある?
「アジア大会と今回とではメンバーが変わってますから、ないですね。アジア大会を見て感じたことを今回のチームで言っていいのか、というのがあるんで。僕が見たのはアジア大会だけなので。今回行って、思ったことをみんなに言えたらいいかなと思ってます」
-U-20ではキャプテンも務めました。クラブとA代表で多くの経験を積み、ある意味、満を持しての参加になります。どういう意気込みですか?
「6月にオリンピック予選があるので、まずはそこに向けて準備したい。僕は個人的にU-17(W杯)もアジアで負けて、U-20(W杯)もアジアで負けた。世界大会に出たことがないんです。日本の歴史を考えたときに、オリンピックにサッカーが出ないのは、あまり良くない気がする。ましてこの年代(ロンドン世代)は、僕の印象ですけど、面白い選手がたくさんいる。このメンバーが世界でどれくらいできるんだろうという楽しみがある。もちろん、世界世界と見ているだけでなく、まずは予選を突破しないと世界には行けない。その予選が6月にあるんで、そこを意識しないといけない。サッカーはどこでやっても一緒だけど、今日からはU-22というチームで活動するので、チームのために普段の行動とか練習中とか、ベストの行動をしたい」
-初参戦ですが、経験はある。積極的にやって引っ張っていく?
「初めて来た人で、積極的じゃない人がいたら、逆に帰ってもらったほうがいいと思う。初めてだから“いやちょっと、まだ”というレベルじゃない。みんなプロなんで。大学生が2人いるけど、いろんなチームの練習に行っているし、前から代表にも入ってる。高校生ならアマチュアだから、緊張してできませんでした、というのはしようがないと思うけど、みんなある程度プロでやっているので分かっているはず。自分を主張しないと試合に出られないというは分かっている。僕を含めて、このタイミングで初めて行った選手が、初めてだからと遠慮していてはいけないと思う。
 初めて呼ばれた選手は、何かを期待されているから呼ばれているわけだから、責任を持ってやらないと。関さん(関塚隆監督)やスタッフが“ここ(がいい)”と見てくれたところ、良さを出さないとチームのプラスにならないと思う。ヨネ(F東京で同じく関塚ジャパン初参戦の米本拓司)も今回が初めてなんですけど、新聞の取材に“ポジションを取る”とか言ってましたけど、軽い気持ちで行くんじゃなくて“行くからには”という気持ちで行かないと意味がない。僕も、引っ張るとかいうんじゃないですけど、キーパーですし、ポジションがら声を出すのが当たり前のポジションなんで、いろいろ周りを見ながらやっていきたい」
-GKのライバルには守田達弥(京都)や安藤駿介(川崎F)がいますが?
「個人的に、あの2人には興味がある。守田君は若い力、ま、ぼくも若いんですけどね、だから、オリンピック(U-22)に入ってるんですけど、守田君は僕よりも1年早くJリーグに出ている。その歳(20歳)で試合に出られるのは、何かを持っているからだと思う。安藤君もアジア大会で、あんだけ大会を通して良いパフォーマンスを出してチームを優勝に導いた。絶対、何か持っているからできる。2人がどういうことを考えているのか、練習中どういう感じなのか、すごく興味があります」
-A代表を経験してからU-22に行くというのは、感覚として違う部分がありますか?
「あんま気にしないですね。A代表に行ってから、チームに帰ったときに、A代表だからすごいというわけではないんで。たまたまA代表に選んでもらったことがある選手が、オリンピック(U-22)に行くという感じ。チームが違うので。オリンピックにはオリンピックのやり方があるし、A代表にはA代表のやりかたがある。チームチームで色があるし、そのチームの強みがある。A代表を経験した選手がオリンピックに行くというのではなくて、普通に、オリンピックに初めて入った選手、と思われたほうが僕にとっては楽。へんに遠慮されても困るんで。
 遠慮する時間があったら、普通に話す時間を長くしたほうがいい。さっきヨネ(米本)と話したんですけど“どういうキャラでいこうかな、怖いキャラでいこうかな、年下も多いし”と冗談で話してたんですけど。まあたぶん山崎(山崎亮平)とか山本康裕とか青木(青木拓矢)とか、昔から一緒にやってる選手がいるので、(怖いキャラを演じても)そんなヤツじゃないと言われそうだから、普通にしようかなと(笑)。もし(他の選手が)遠慮してたら、なんで遠慮してんの? という感じでいこうかなと思ってます。オリンピックチームはあまり時間がない。集まれる時間もそんなにない。今回、日本協会が頑張ってくれてウズベキスタンでやれる機会を与えてくれた。これを無駄にしてはいけない。日本が(震災で)大変な時期に行くというのもある。予選開始まで時間がない中で日本協会が用意してくれた舞台なので、何も取り残すことがないように、持ち帰られるものは全部持ち帰られるようにやってきたい」
-日本がこういう状況と話されましたが、ロンドン五輪に出場すれば、日本も盛り上がり、被災者に勇気を与えたり、元気づけることにもつながります。
「オリンピックはどのスポーツでも見てて楽しいですよね。僕はけっこう柔道とか好きで、金メダルを取るとすごくうれしい気持ちになる。僕は今までオリンピックは遠い存在で、自分が出るなんて考えたことがなかった。アテネのときも、北京のときもそうでした。今回、まだ行けるとは決まっていないけど、みんなに(五輪という舞台でプレーを)見てもらえるかもしれない立場にいる。予選に勝てばオリンピックに行ける。僕自身、オリンピックにすごく出たい。A代表を見ても、オリンピック経験者が多い。
 僕はU-20のときも思ってましたけど、今のU-22の選手はみんなうまいし、面白い選手がたくさんいる。このメンバーで五輪を戦ってどこまで行けるか、すごく楽しみなんです。まだ合流はしてないけど、自分のイメージとしては“メダルを狙います”と、それくらい大きいことを言ってもいいんじゃないかなと思えるチーム。力があるメンバーばかりなので。チームはすでにアジア大会をやったりしてるけど、僕自身はオリンピックでメダルを取るための第一歩の合宿になる。とにかく時間がないんで、一日一日を大事にやってきたい」
[写真]練習試合で復活をアピールした権田。U-22でも経験を生かしてレギュラーを奪うつもりだ
(取材・文 近藤安弘)

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