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3/26A代表練習後の選手コメント

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 「東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ がんばろうニッポン!」(29日、長居)に出場する日本代表が26日、大阪府内に集合し、合宿をスタートさせた。キンチョウスタジアムで一般公開で行われた練習前にはアルベルト・ザッケローニ監督らコーチングスタッフと選手全員が入場ゲートでファンを出迎え、募金活動を実施。約8000人のサポーターが駆け付け、254万6378円の募金が集まった。
以下、練習後の選手コメント

●FW本田圭佑(CSKAモスクワ)
―練習前に募金活動をしたが?
「みんなでこうやって力を合わせることは大事というよりも最低条件。1人ではどうにもできないということはだれでも経験があると思うし、そういう支えられた経験があるから俺はしますし、みんなそういう思いがあったと思う」
―日本に帰ってきて、あらためて震災の大きさを実感した?
「実感なんてできない。どうなっているのかなんていまだに想像できないし、『分かる』なんていう言葉が出てくる方がおかしい」
―チャリティーマッチに向けては?
「最高のプレーをするだけ。最高の準備をしたいなと思います」
―試合をしていていいのかという思いもある中での合宿かと思うが?
「正直、サッカーをやっていいのか悪いのか分からない。ただ、大事なのは動くことだと思う。ここにいる選手、スタッフの思いは一緒。何か力になれればと信じて前に進むだけ」

●FW松井大輔(グルノーブル)
―フランスでは原子力事故について報道が多いのでは?
「映像はこちらはあまり流れていなかったけど、向こう(フランス)では流れていて、やはり報道の違いはあります。ただ、本当に被災地の方にできる限り支援をしないといけないという使命がある。サッカーを通じてこういう「活動をできるなら積極的にやっていくし、それが与えられたものだと思います」
―京都でも被災者支援活動をやっていたが?
「そういうことは持続的にできればいいと思うし、やっていったほうがいい」
―フランスメディアからもいろいろ聞かれた?
「このチャリティーマッチの意味すること、帰ってきて危なくなかったのか、リスクがあるのではないかとか。外国人は考え方が違うので、聞かれる質問も違います」
―関心はやはり原子力事故?
「放射能の話は関心を持っていて、そこが一番大きいと思う」
―フランスは原子力発電に関して世界一厳しいのでは?
「そうそう。僕の家の近くにも高速の隣にもあるし、その近くで働いている日本人の方もいる。放射能に対しての知識は多いと思う。日本の放射能のことを受けて、フランスのメディアがセキュリティを呼びかけたり、安全確認を一斉にしていた。世界各国が注目していると思う」
―今回の出場を反対されたのでは?
「『行かないで』という人もいたし、友人も『何で行くの』という人がいたが、僕は帰ることで何かをできればと思った。自分が何かをできるのであれば帰らないといけないし、その思いは行動で示すこと」
―どんな支援を?
「いろんな形で支援活動をしようと思う。今は子供が財産。宝。子供に対して何か支援をしないといけない。地域の方々が家を貸してあげたりしていけば、また違った意味で手助けになると思う。京都市のほうは空き家を貸してあげたりすると聞く」

●FW家長昭博(マジョルカ)
―4年ぶりの代表です。
「初めての監督なので、戦術の話とか新鮮でした。学ぶことも多いです。力に変えていければ」
―久しぶりの代表で気合が入っている? 楽しみなのでは?
「久しぶりに日本でサッカーができるので、そっちのほうが楽しみですね」
―ミーティングでは監督からどんな話を?
「今回の試合の意義と戦術的なことですね」
―本田圭と一緒にできるのは楽しみでは? どんな話をしましたか?
「特に、そういうのはないです。話は、普通に世間話くらいです」
―震災はどういうふうに知りましたか?
「日本からの連絡で地震があったことを聞きました。それで、インターネットで調べましたね」
―被災者のために戦うことはもちろん、生き残りをかけてアピールも大事になるが。
「それも大きいですね。注目も感じる。今回だけが特別というわけじゃないけど(震災のチャリティーマッチでもあり)より一層、身が引き締まる思いです」

●FW乾貴士(C大阪)
―守備の練習が多かった。
「きょうの練習は守備から入った。結構、(指示が)細かかったですね。でも、雰囲気は良かったし、いい感じでできました」
―攻撃面の指示は?
「ポジション的にある程度、攻撃は任せてもらえてます」
―家長昭博と久々に練習した。
「やりやすかったですね。コンビネーションが楽しみ? 協力してやっていけたら」
―チャリティーマッチへ向けて。
「いい準備をしてやりたいです。被災者を元気づけられたらと思う。サッカーをすることで伝えていきたい」

●MF長谷部誠(ボルフスブルク)
「たくさんの方に来てもらって、本当にうれしかったし、ファン・サポーターの方たちが『一緒に頑張りましょう』と言いながら募金してくれたので、その言葉が非常にうれしかったです」
―被災者のために何をやろうという思いがある?
「被災者のためにサッカーで何をしようとあまり考えすぎると、かえって伝わらないということもある。僕たちが本気で全力でプレーすることで、何か少しでも感じてくれれば、それが一番いいと思う。今日の試合(紅白戦)もみんな激しく、球際とかぶつかり合いをやって気迫を感じたので、それができれば一番いいと思います」
―帰国してから、あらためて感じたことは?
「もちろんまだ被災者の方は苦しい状況が続いているし、原発も厳しい状況が続いている。僕は東京までしか行っていないけど、東京の街がいつも帰ってきている時ときより暗い。みんなが節電しようとしている。みんなの気持ちを、帰って来て感じることができた。そういった意味では帰って来て、そういったことを感じられて良かったと思う」
―Aマッチからチャリティーマッチになったにも関わらず、ベストメンバーがそろったことについては?
「それを拒否するクラブはないと思うし、それに加えて、選手全員とコンタクトを取ったんですけど、全員が最初から行きたいと言っていたし、だれ一人迷いなく日本のためにという思いを持って帰国しています。僕らからしたらそれは当たり前と思っています。全員とコンタクトを取ったのはヨーロッパでです。意思確認じゃないけど、みんなに気持ちを聞きました」
―監督が「みんなの心意気がうれしかった」と言っていたが?
「それは練習前のミーティングで監督から言われました」
―いつもの試合と違う特別な試合になる?
「みんながアジア杯優勝を経験して、いい意味で自信を持ってやっているし、相手がJリーグ選抜なので、意地と意地のぶつかり合いになる。そこは僕らも見てほしいところだと思っています」
―実際にいつもの練習と違って集中するのが難しかった?
「そういうのはなかったです。たくさんの人が来てくれて、あれだけの人が見てくれればモチベーションが上がりますし、いい相乗効果のある練習だった」
―3バックにもまた着手した。強化の意味でも貴重な合宿になる?
「監督はいろんなオプションをやりたいのかなと思う。元々は10日間あった代表合宿だし、2試合あったのが短くなったのは強化としては難しい部分がある。でも、対戦相手としてはモンテネグロやニュージーランドより強いと思う。そういった意味で楽しみにしています。見てくれる方々は面白いゲームになると思います」
―相手の顔ぶれを見てどう感じた?
「実力はもちろんあるんですけど、気持ちや精神面の強い選手なので、絶対強い気持ちで向かってくる選手たちばかり。そういった意味で、僕らも代表選手としての誇りがあるので負けないようにしたいです」
―強化日程にも大きく影響が出ている中、日本のサッカーが試されるときを迎えた?
「そういうものもあると思うし、こういう状況になってサッカー界、協会と選手が一つになってどういうアクションを起こせるかというところでも、自分たちが試されている気がします」

●MF遠藤保仁(G大阪)
―練習前に募金活動をしたが?
「代表としてやれることをやるだけ。たくさんの方が来てくれたことはよかった」
―練習ではボールを使わずにポジショニングを確認していたが?
「フォーメーションの確認と選手の動き方の確認」
―ミニゲームも3-4-3のシステムだったが?
「本番でどうなるかは分からない。アジア杯は4-2-3-1で上手く機能していたけど、ひとつにこだわらず、状況に応じて使い分けられる方がいい。チャレンジすることに価値がある」
―今日の練習には約8000人が集まった。
「注目される試合だと思うし、精一杯いいプレーを見せて、少しでも元気になってくれればと思う」

●MF阿部勇樹(レスター・シティ)
―練習前に募金活動をしたが?
「たくさんの人が興味を持って来てくれたことはうれしいけど、現地(被災地)の人のことを考えると、こうやって練習を見ることもできないし、たくさんの人が来て募金してくれてよかったと思うけど、複雑は複雑です」
―代表は久しぶりだが?
「久々だけど、やろうとしていることは前回と一緒だと思う。ただ、チームとは違うので、頭を整理しないといけない」
―チャリティーマッチに向けては?
「向こうにいて、映像で見ているしかなかった。この状況で試合をしていいのか分からないけど、一歩一歩進んでいくきっかけになればと思う。今後につながると信じてみんな帰ってきたし、各クラブもOKしてくれた。少しでも被災地の方にパワーを与えられればと思う」

●DF栗原勇蔵(横浜FM)
―みっちり練習をやっていたが?
「どこまで練習をやるのかと思ったら11対11までやって……。結構きつかった」
―3バックの守備の確認が多かった?
「守備9、攻撃1ぐらい。サイドは挟むやり方。特別なことではないし、どこでプレッシャーに行くかとかそういうこと」
―練習前のミーティングは?
「最初にやった練習(選手を3-4-3に配置しポジショニングを確認)をホワイトボードで説明してからこっちに来た」
―チャリティーマッチに関する話は?
「そういうことに関する話は特になかった。強化合宿のつもりでやっていると思う」
―昨年10月に呼ばれたときとの違いは?
「アジア杯に行ったメンバーはすごいまとまったと思うし、自分はそこにいなかった。またその輪に加われるようにしたい」

●DF内田篤人(シャルケ04)
―3-4-3を練習した。
「日本で(の合宿で)やりましたよね。ボールの追い方とかですね。見てもらった通りです。(4バックと)両方というか、いろんなシステムができたら幅が広がるんで。僕らはいろいろ学ぶことがある」
―特別注意したことはある?
「ウォーミングアップを兼ねてポジショニングのことをやっていた。集合して初日、ちょっと対人も入れながらポジショニングを頭に入れた。1日そこらではできないけど、少しでも、せっかく集まったので、それぞれの意識が合うか大事になる。考え方としては一緒のなので、難しくはないです」
―震災の日は? どういうふうに知りましたか?
「最初はニュースで見ただけで、そんなに(被害は)大きくないのかなと思ったけど、(練習のために)クラブハウスにいったら、いろんな国の選手から『日本は大丈夫か?』と聞かれて……。家に帰ってテレビをみたらすごい映像しか流れていなかったショックというか、驚きました。ドイツにいるときは何もできずに、無力さというか、何ができるのか、何をしたらいいのかと。結局、考えるだけで、何もできなかった。情けないなと思った」
―メッセージシャツを試合で披露した。
「本当に被害を受けた人には伝わらないかなとは思ったんですが、あれでシャルケも協力してくれて、チャリティーマッチをドルトムントとボーフムとやってくれることになった。ファンのひとからシャルケに連絡が入って、募金をしてくれたり、シャツをオークションで買ってくれたりと、やって少しは影響があったのかなと思う。でも、ほんとに難しかった。なんて言えばいいのか分からなかった」
―鹿嶋市など茨城も被害があった。
「自分の関係してるとこも被害を受けた。最初、親に連絡したけど取れなくて。でも、メールで大丈夫だと分かった。鹿島の選手のことが心配で連絡した。(岩手県盛岡市出身の)ミツオさん(小笠原満男)や仙台出身の遠藤ヤス(遠藤康)とかに連絡した」
―きょうも募金活動をしたが、改めて今回のチャリティーマッチでファンに何かありますか?
「この時期にサッカーをやるのかというふうに受け止める人がいるのか、この試合を見て、何かできるんじゃないかって、きょうも募金に来てくれた人がいたけど、行動に移してくれる人が増えるのか、見る人の受け止め方でかなり変わってくると思う。僕らは一生懸命やることしかできないけど、(試合を)見てもらう人にも協力してもらわないと、これは成功しない。見てる人も一緒に何か出来ることを考えてもらえたら」

●GK川島永嗣(リールス)
―チャリティーマッチに向けて。
「練習前に募金活動をやりましたけど、選手も(キリンチャレンジ杯の)2試合がキャンセルになって、被災した人たちに何ができるかというのを考えた。少しでも力になれればと、こういう試合ができることになった。試合以外でも何かできること、きょうみたいなことができたらなと思う。みんな気持ちは一緒で、海外の選手も日本にいる選手も、何かできることはないかと、代表チームと話をして、試合だけでなくて、募金活動をしたというのがある。何か力になりたいという気持ちは一緒。一人ひとり個人じゃなくて、そういうのをみんながチームとして出していくことで、少しでも力になれればと思う」
―ベルギーでも支援活動が行われている聞きました。
「チームがサイトに募金のページを作ってくれたり、ベルギーにいる日本人の方々もいろいろイベントをしてくれています」
―20日の1部残留を決めたリーグ戦、ブルージュ戦はモチベーション高くプレーしていた?
「国旗をみんなが掲げてくれて、試合をやれた。その前の試合も、自分としてもサッカーをやるのが難しかったし、そういう中で、みんな(日本を)サポートしてくれているといのがモチベーションになった。自分だけでなくて、日本のみなさんにとどいてくれたらとおもった。それと残留したいという気持ちと違う、モチベーションになった。いい形につながった」
―きょうは守備を練習していたが、代表の強化において、今回の試合をつなげたい?
「守備? ベースは同じです。でも、新しいことにチャレンジしないといけない。僕らは進化しないといけないんで。今回はチャリティーマッチですけど、自分たちは時間が限られている。一試合一試合、自分たちにはかけがいのない時間。チームとしての完成度というか、ひとつひとつ進んでいかないといけない」

(取材・文 西山紘平、近藤安弘、矢内由美子)

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