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故郷のために……3バック中央で先発濃厚の今野「自分は宮城出身。少しでも力になりたい」

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 津波被害など多数の犠牲者が出た仙台市出身のDF今野泰幸(F東京)が27日、被災者を勇気づけるプレーを見せることを誓った。多くの知人が被害に遭うなど故郷の悲惨な状況に心を痛め、気持ちをうまく整理できない日々が続いていたが、「日本代表で集ったら日本代表の誇りを持ってプレーするべきだし、責任感あるプレーが求められる。まだ向こうに行っていなくて、電話では状況もわからないし、なんとも言いようがないけど、やるしかない。グラウンドに立ったら、プロとしてちゃんとやるべきことをやるべき」と強い決意を明かした。

 今回のチャリティーマッチにおいては、仙台の友人から逆に激励されたという。「自分がサッカーを頑張っている、いつもと同じ姿を見せてくれれば勇気になる。それでいいんじゃないかと言ってくれた。自分は宮城出身。少しでも力になりたいと思う。頑張りたいです」と今野。勇気づける方法は、自分が持てる力をすべて発揮し、Jリーグ選抜に勝利することだと分かっている。相手の攻撃陣には、FW三浦知良、FW佐藤寿人、FW大久保嘉人、MF中村俊輔、MF小笠原満男、MF小野伸二、MF中村憲剛らそうそうたるメンバーがおり、今野は「相手は凄いメンバー。名前がある選手が多いし、力のある選手がそろってる」と敬意を払うが、代表としての意地を見せるつもりだ。

 今回、3-4-3のシステムを採用する可能性が高く、今野は3バックの中央で先発する可能性が高い。この日の戦術練習でもザッケローニ監督の指示を熱心に聞き、新しい守備組織の習得に努めた。細かい決まりごとがあり、まだまだ完ぺきではないが、そんなことは言い訳にしない。「代表は(結果と内容の)両方を求められる。高いレベルを求められるのは当たり前。監督も高いところを求めている。超えられるように努力したい。うまくいったときは、どうなるのかと、凄く楽しみです」と意気込んだ。

 必死のプレーでカズや小野、俊輔らを封じる姿を見せられれば、きっと被災者の方に勇気を与えられるはず。今野は“東北代表”の一人として、愛する故郷の人たちが少しでも元気になるよう、心を込めてプレーする。

(取材・文 近藤安弘)

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