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[プレミアリーグイースト]今年も勝負強さ健在、F東京U-18が浦和ユースに逆転勝ち

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高円宮杯U-18サッカーリーグ2011 プレミアリーグ イースト
[4.17 プレミアリーグイースト第2節 F東京U-18 3-1浦和ユース 深川]

 今年新設された高校年代の全国トップリーグ、高円宮杯U-18サッカーリーグ2011プレミアリーグイーストは17日、第2節を行い、FC東京U-18(東京)はMF岩木慎也の1得点1アシストの活躍などにより、浦和レッズユース(埼玉)戦を3-1で制した。

「後半必ず落ちてくると思った」。逆転勝ちでプレミアリーグ初戦(第1節延期のため)を勝利したF東京の倉又寿雄監督は確信に満ちた表情で振り返った。圧倒的な運動量から繰り出す攻守と勝負強さにより、昨年はプリンスリーグ関東1部を無敗で制し、全日本ユース(U-18)選手権とJユースカップでともに決勝進出するなど強さを発揮したF東京だが、新チームは昨年から先発8人が入れ替わったのに加え、大黒柱でトップ帯同中のMF橋本拳人がU-18日本代表アメリカ遠征に招集されて不在。前半は鮮やかな身のこなしとスピードで左サイドを切り裂く左MF岩木の突破を除くと攻め手がなく、相手を崩すことができなかった。

 逆に浦和は強烈なボールを難なくトラップし、またスペースへ絶妙な配球を見せる技巧派の10番MF矢島慎也とアンカー役のMF野崎雅也を起点に、前線で力強いキープと鋭い突破を見せるFW高田拓弥やFW鈴木悠太が鋭くゴールへ迫る。14分には相手MFを振り切って前進した高田のドリブルから矢島が左足シュート。30分には矢島が左サイドへスルーパスを送ると、鈴木の折り返しを受けた矢島が絶妙なトラップからDFを外して強烈な右足シュートを放った。

 2トップを中心に前線から激しいプレッシャーでパスコースを切ってくるF東京ディフェンスをかいくぐる様にボールを動かす浦和は37分、矢島の右アーリークロスをPAで胸トラップしようとした高田が後方から相手DFに押し倒されてPKを獲得。これを高田が自ら右足でゴール左隅へ流し込み、先制に成功した。

 ただCB小林聖弥が「サポーターの中でもレッズ、ヴェルディに負けたくないというのがある。自分も負けたくない」と浦和へのライバル心を語ったF東京は後半に試合をひっくり返す。ベンチスタートとなっていたU-17日本代表のボランチ、MF野沢英之を後半開始から投入すると5分、セットプレーのこぼれ球からMF福森健太が左サイドへ開く岩木へ展開。ボールを受けて一旦減速した岩木が、再び鋭い加速でマークを外して中央へラストパスを送ると、後方から走り込んできた野沢が右足でゴールへと押し込んだ。

 前半チャンスらしいチャンスをつくることができなかったF東京の同点ゴール。「ホーム」東京ガス深川グラウンドのサポーターたちのボルテージが一気に上がる。畳みかけるF東京はさらに9分、鮮やかなパスワークで勝ち越しに成功した。野沢がグラウンダーの鋭いパスを左前方の岩木へ通すと、背番号7はダイレクトでのワンツーを敢行。FW岩田拓也が折り返したボールを受けた岩木は、左サイド角度のほとんどない位置から逆サイドのゴールネットへと左足で沈めるファインゴール。劣勢を9分間でひっくり返した。

 こうなるとF東京の強さは群を抜く。15分に浦和MF繁田秀斗の決定的な右足シュートをGK谷俊勲がビッグセーブ。難を逃れると、その後は右SB吉田一彦が攻撃力を発揮し、積極的な攻め上がりから浦和に決定的なダメージを負わせようとする。倉又監督の指摘通り、F東京の激しいディフェンスによって体力を削り取られたか、浦和は前半リードの立て役者たちがインパクトを欠く状態に。それでも後半30分から交代カードを立て続けに3枚切って前線をテコ入れした浦和は、右サイドからの崩しなどで決定的なシュートにまで持ち込んでくる。

 だが、41分からの繁田、矢島の右足シュートがともにゴール左外へと外れると、43分、最終ラインで痛恨のミスパス。これをF東京の岩田にインターセプトされると、1対1を阻止しようとPAを飛び出したGK三上綾太がファウルで止めてしまい、一発退場。ロスタイムにも岩田の独走を許した浦和はMF冷岡幸輝にゴールへと押し込まれて1-3で敗れた。

 強豪対決を制したF東京の倉又監督は「(トップチーム登録された)橋本が抜けたことでひとつにまとまってきた。試合の中で成長できたと思う」。また小林は「F東京は何かが欠けているとき、まとまるんです。みんな危機感を感じるとまとまる。それがいいか悪いのか分からないけれど(笑)。けが人が出てもF東京のサッカーがしたい」と想いを語った。

 昨年の全日本ユース選手権準決勝では、主力3人を大学受験などで欠きながらも三菱養和SCユースに勝利。またJユースカップでは主力を故障で欠きながらも決勝へ進んだ。この日エース不在で全国リーグのスタートを切ったチームだが、昨年まで同様の強さを発揮。ライバルチームたちにとって「勝負強い」F東京を止めるのは今年も至難の業となりそうだ。

[写真]後半9分、F東京U-18MF岩木が勝ち越しゴール
(取材・文 吉田太郎)
特設:2011 プレミアリーグ

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