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河井&風間がゴール!!慶應義塾大が王者・明治大を下して白星発進

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[5.5 第85回関東大学サッカーリーグ戦・前期1部リーグ第1節 明治大0-2慶應義塾大 麻溝]

 第85回関東大学サッカーリーグ戦・前期リーグの第1節が5日に行われた。第2試合では昨季王者の明治大と慶應義塾大が対戦。慶應義塾大が来季の清水エスパルス加入が内定しているFW河井陽介(4年=藤枝東高)とFW風間荘志(4年=暁星高)のゴールで2-0で勝利した。

 昨年のリーグ戦では結果を残せず、シーズンを7位で終えた慶應義塾大。今季は新たに須田芳正監督を迎えた。主力のDF田中奏一(4年=F東京U-18)が開幕前の練習試合で前歯を4本折ってしまったため、この日は欠場。これまではボランチを務めていた全日本大学選抜のMF藤田息吹(3年=藤枝東高)が右SBに入り、ボランチには新入生のMF増田湧介(1年=清水東高)が入った。また、4-2-3-1の2列目右では、注目ルーキーMF武藤嘉紀(1年=F東京U-18)が先発を果たした。

 戦い方は明確だった。中盤での早いプレッシングからボールを奪い、サイド攻撃を展開。河井や武藤、風間が前線でポジションを入れ替わり、次々にゴール前へ顔を出す。カウンター攻撃を仕掛け、たとえミスで終わっても、中盤でボールを奪い返し、ミスをミスで終わらせない。皆が足を止めず、各々の役割を全うした。

 待望の先制点が生まれたのは前半26分、河井の右クロスをDF笠松亮太が浮き球のパス。最後は風間が右足でシュートを放ち、ゴールネットへ突き刺した。今季初ゴールは最上級生3人が絡んでのゴール。4年生の“意地”をみせての得点に、一気にチームは勢いづいた。その後も武藤が個人技で相手DFを交わしてはゴール前に攻め込むなどチャンスを演出。1点のリードで前半を折り返した。

 後半も立ち上がりから果敢に仕掛けた。後半6分、藤田のパスに抜け出した武藤が右クロス。河井が頭で合わせたが、惜しくもクロスバー上方へ外れた。しかし同8分、相手DFのわずかなミスを見逃さず、風間がボールをかっさらうとドリブルで駆け上がる。PA内左から右足で放ったシュートはGKに止められたが、こぼれを河井が右足で蹴り入れて追加点。決めるべき選手が仕事を果たし、2点差にリードを広げた。その後、セットプレーからピンチを招くも、守備陣が奮闘。ミドルシュートを枠内へ打たれたがGK中川翔太(4年=國學院久我山高)が難なくセーブ。慶應義塾大が2-0で明治大を下し、勝ち点3を手に入れた。

 試合後、須田監督は「チャンピオン相手でしたが、まずは我々のサッカーをしようと選手たちには伝えた。お互いにいいゲームができたのではないか」と試合を振り返り、主将の笠松も「勝ち点3を取れたのは試合に出ている選手もベンチもスタンドもチームが一丸となって戦えたのが勝因だと思う」と勝利を喜んだ。

 一方、敗れた明治大の神川明彦監督は試合後「チョイスミスです」と語った。先発にMF田中翔大(4年=川崎F U-18)ではなく、1年生のMF矢島倫太郎(1年=浦和ユース)を起用したが、「矢島が悪いわけではない。むしろかわいそうなことをしてしまった。開幕戦でこういう戦いになるなら、序盤は田中で前からぶつかっていって、途中で切り札として矢島を出せば良かった」と悔やんでいた。練習試合でほとんどの攻撃に絡んでいたルーキーをスタメン起用したことが裏目に出てしまった。

 昨季の主力であるMF山田大記(磐田)やMF小林裕紀(磐田)、FW久保裕一(千葉)が抜け、前線の選手の内、先発経験者がほとんどいないという状況。ポゼッションで上回り、早くに試合の主導権を握りたいところだったが、なかなか理想どおりの攻撃パターンに持ち込めず、時間だけが過ぎていった。相手の早いプレッシングに上手くボールを回すことができず、ゴールへ向かっての攻撃ができない。DF丸山祐市(4年=國學院久我山高)が前線に攻め上がり、幾度かクロスを上げたが味方に合わず。MF矢田旭(2年=名古屋U-18)のミドルシュートはGKに止められた。相手のペースに翻弄されると、足が止まり始め、セカンドボールも拾えなかった。2失点目のシーンでは、運にも見放された。DF楠木啓介(4年=鹿児島実業高)のわずかなミスでこぼれたボールが、偶然にも相手FWの足元へ。これが失点につながった。

 しかし、敗戦にも指揮官は「ここ最近のJチーム相手の練習試合では負けていなかったし、準備はできていた。ただ、(格上相手の試合が続いて)挑んでくる相手との練習試合はできていなかった。リーグ戦はこういうものだと教わった。下手に引き分けで終わるよりも、はっきり負けた方が反省のしがいがありますから」と前を向いた。次節は中2日で行われるため、調整期間は無に等しいが連覇をめざす上でも、負けは許されない。GK高木駿(4年=東京Vユース)は「攻撃でリズムをつくれない時間を自分たちでどう打ち破っていくかだと思う」と厳しい表情で語っていた。

(取材・文 片岡涼)

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