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[関東1部]“黄金世代”流通経済大が青山学院大振り切る

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[5.21 関東大学1部リーグ第4節 流通経済大2-0青山学院大 江戸川]

 21日、第85回関東大学サッカーリーグ1部前期第4節第1日の4試合が行われ、東京都江戸川区の江戸川区陸上競技場の第1試合ではDF山村和也(4年=国見高)、DF比嘉祐介(4年=流通経済大柏高)、GK増田卓也(4年=広島皆実高)とU-22日本代表選手3人を擁する首位・流通経済大と昇格組ながら3位につける青山学院大が激突。流経大がMF椎名伸志(2年=青森山田高)と山村のゴールにより2-0で勝利し、無敗と首位を守った。

 “黄金世代”流経大が好守で食い下がる青学大を振り切った。左利きのゲームメーカー、MF中里崇宏(4年=流通経済大柏高)をはじめ、MF村瀬勇太(4年=流通経済大柏高)、MF大貫彰悟(3年=F東京U-18)、そして椎名らミドルレンジで正確にボールを動かせる選手の揃う流経大は、立ち上がりから相手DF間にグラウンダーのショートパスをつないで攻めるが、仕掛けのパスがことごとく青学大にカットされ、カウンターから15m~20mのドリブルや縦パスを何度も許してしまう展開。前半13分には自陣でボールをインターセプトされ、青学大FW忰山翔(4年=鹿島ユース)にドリブルシュートを放たれた。

 注目の山村が局面でひとり、ふたりとマークを外してラストパスを試みる場面もあったが、青学大は危険なゾーンへ送り込まれるボールを的確に阻止するCB阿部悠紀(4年=湘南ユース)主将中心に守り、流経大が綺麗な形でPA、バイタルエリアへボールを通す場面はほとんどなかった。流経大は左右への大きな展開を交えて圧力を強めるも、ここまで順天堂大、慶應義塾大を無失点で沈めている青学大の砦は簡単には攻略されない。逆に後半6分にも敵陣でのインターセプトからFW奈良林賢治(4年=玉野光南高)が一気にゴールへ迫り強引なシュート。11分には交代出場のMF関隼平(4年=國學院久我山高)が食いついてきた山村を鋭い反転でかわし、決定的な左足シュートへと持ち込んだ。

 隙もあった流経大だったが、まさかの9位に沈んだ昨年から王座奪還を目指すV候補は揺るがなかった。前半にはほとんど見られなかった長い距離のランニングが加わり、青学大との差をつけると後半23分だ。カウンターから右サイドを駆け上がった山村がファーサイドの村瀬へとクロスボール。村瀬のシュートはヒットしなかったものの、右サイドゴールライン付近で拾った山村から攻撃を仕切りなおすと、PAへ走りこんだ大貫の折り返しのこぼれを椎名が左足でゴールへと押し込んだ。

 ようやく先制に成功した流経大は39分にも右中間で得たFKから交代出場のMF中山雄登(2年=広島ユース)がクイックリスタート。PAで強引に相手DFの前に身体をねじ込んだ椎名がPKを獲得すると、これを山村がゴール左隅へと突き刺し、勝敗の行方を決定付けた。

 今年の流経大は、07年に系列校の流通経済大柏高が全国2冠を獲得した時のメンバーである比嘉、中里、村瀬、DF天野健太、FW上條宏晃、MF保戸田春彦らが最上級生に。また4年生には山村、増田といった世代を代表するタレントや、FW征矢智和(4年=東京Vユース)、MF関戸健二(4年=旭高)らJ注目の好選手たちの名が並ぶ。比嘉は「選手権で優勝したメンバーが上がってきて、また優勝したいと思ってやっている。今年は4年生ということでみんなこれまで以上に気持ちを入れてやっている」。中野雄二監督も「流経の歴史の中で一番揃っている」と口にする“黄金世代”。加えて下級生にも実力、実績のある選手たちが控えているだけに、この大型チームを止めるのは他チームにとって簡単なノルマではなさそうだ。

 ただ、現4年生が3年生だった昨年は9位。入学以来初めて無冠で終え、勝つことの難しさを知った。山村は言う。「あれがいいように勉強になったと思う。運も悪くて、『なんでこんなシュートが入るんだ』という感じだった。ただ今年こそは恩返しというか最後にタイトルとって終わりたい。年代別代表や大学選抜に呼ばれている選手もいる。名前負けしないようにしたい」。主将の増田も「去年の経験がプラスになっていかないと意味がない。ここぞというときに力を発揮するチームにする。監督やスタッフたちに恩返ししたい」。

 スペインのバルセロナのように攻めるだけでなく、敵陣でボールを奪い返して相手を敵陣に釘付けにするようなサッカーが理想。2-0からでも点を奪いにいけなければ、指揮官からはさらなる要求が突きつけられる。超大学級のチームをつくり上げ、他を圧倒してタイトルへ。“黄金世代”の4年生を中心に流経大が初のインカレ(全日本大学選手権)制覇へ突っ走る。

(取材・文 吉田太郎)

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