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日本vsペルー 試合後のザッケローニ監督会見要旨

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[6.1 キリン杯 日本0-0ペルー 東北電ス]

 日本代表は1日、キリン杯第1戦でペルー代表と対戦し、0-0で引き分けた。前半は3-4-3、後半は4-2-3-1で戦ったが、90分間を通して決定的なチャンスはほとんどなく、終盤のピンチはGK川島永嗣が再三の好セーブでゴールを守った。
以下、試合後のザッケローニ監督会見要旨

アルベルト・ザッケローニ監督
「3月11日の震災以降、初めて代表チームとの試合に臨むことになった。この試合は、新しいシステムがどこまで機能するか、今回初めて招集した選手が試合の中でどこまでできるかをチェックするのが目的だった。W杯予選まで残り時間が少なくなってきている中で、こうした試合を通じてできるだけ選手の情報を収集したり、いろんなデータを収集するのに役立てようと思っていた。
 2日間しか練習できない中、3人の選手は1日前に到着した状況だったが、そんな中でも3-4-3のシステムを試してみたいと思っていたが、個人的にこの試合を通じて私が欲しかった情報は収集することができた。当然、配置されている選手が違ってくるので、思ったよりはうまくいかなかったかもしれないが、新しい選手が入ったこと、新しいシステムだったことを考えれば、うまくいかないのも想定内だったと思う。
 自分たちがボールをポゼッションしているときに問題が顕著に表れた。守備はまあまあの出来だったと思うが、攻撃でサイドにスペースがあるときに中、中に入っていってしまったことが問題だったと思う。両チームとも中盤のところでスペースを消す戦いになり、試合終了間際にはシュートを打たれたが、全体的にはあまり打たれない展開だったと思う。後半になって、慣れているシステムに戻してからはポゼッションも高まったし、試合を通して見ればボールポゼッションは五分五分だったと思う。ペルーの選手がいいコンディションで来ているなと感じた。南米選手権に向けて準備してきていると聞いていたし、試合終了間際までフィジカルコンディションを保っていた印象を持っている」

―チェコ戦でも3-4-3を試すのか?
「チーム状況、選手の状況を把握して、決めていく。現時点でまた3バックでやるのはリスクを背負い過ぎると考えられるかもしれないが、このチームの引き出しを増やすのが私の仕事。皆さんもご存じのように、ケガからやむを得ずカードを切らざるを得なかった。チェコ戦までまだ数日あるので、可能性があれば、そのあたりも踏まえて考えようと思う。何度も言うが、欲しかった情報、反応はそれ相応に見て取ることができた」

―就任以来まだ負けていないことについては?
「できれば本当は今日も勝ちたかった。自分のチームの目指すところは常に自分たちのサッカーを展開すること。今日に関しては他の試合よりは少しできなかったかなという印象がある。もう少しうまくやればスペースがもっと見つかったと思うが、相手は中盤に5枚を配置していて、ピッチ中央に人が密集してしまった。サイドにスペースがあった印象はあるが、慣れていないので今日はできなかったのかなと思う。当然、ペルーも称賛に値するチームで、ペルーの出来も称えないといけない。ピッチの中央でスペースを消してきた。選手の状況については、海外組はバカンスに入ってからの合宿だったし、Jの選手はタイトな日程で、ACLもやっているということで、ある程度ペルーの方がフィジカルコンディションが上だというのは想定内としてあった」

―西に対して怒っているようなシーンが何回かあったが、もっと多くのものを期待していたのか?
「西に怒っていたわけではなく、たまたま自分のサイドにいたので、そう映ったのかもしれない。他の選手への指示も、一番近い西に伝えていたのでそう見えたのかもしれない。彼にとって今日が代表デビューとなったが、少し緊張していたかなと思うが、それは当たり前だと思う。彼の魅力、クォリティーは走力にある。今日も前にスペースがあって、そこにもっともっと走り込むことできたかなと思うが、もともと(3-4-3に)慣れていないし、トレーニングも重ねていないので、できないのも理解できる。ペルーの中盤の5枚のラインを越すことができれば、関口、岡崎、西で相手のSBに対し数的優位をつくれるはずだったが、今日はできなかった。私としてはこのシステムが機能するようにしていきたいと思っている。このようなシステムにも対応できる選手を招集している。慣れの問題だと思う」

―5バックになっているシーンもあったが?
「「(最終ラインが)5枚になるのはいい傾向ではない。(相手の攻撃が)うちのPA付近まで来れば、5枚になるのはいいが、基本的にはそうなってはいけない。しかし、練習も重ねていないし、ある程度はしょうがない。後ろが5枚になってしまうと、前に3枚残しているので、中盤は2人になる。中盤で勝負は決まるが、そこで負けてしまう。FWを下げる選択肢もあるが、私はそういうことはしたくない」

―関口がいいプレーをしていたが? 岡崎と関口がポジションチェンジしたのは?
「関口の出来はよかったと思うし、チームに貢献したと思う。岡崎と関口のポジションを変えたのは、基本的にサイドのFWが変わるのは普通だし、もともとあってもいいが、今回変えた最大の目的は右サイドに西と関口がいて、ほぼデビューに近い、ほぼ新人に近い選手が2人並んでいたので、代表ではベテランと言える、代表に慣れている岡崎を持ってこようと思った」

―今回の合宿で宇佐美を見てきての感想は?
「何度も言ってきたが、彼を呼んだのは手元に置いて観察して、彼と直接対話をしたかったのが最大の理由。認識してほしいのは彼は五輪代表の選手で、まだまだA代表の選手ではない。彼には明るい未来が待っていると思うが、良くも悪くも彼次第だと思う」

―3バックの距離感が近すぎて、逆サイドにスペースが空いていたように見えたが?
「というよりは慣れの問題だと思っている。(両サイドハーフの)西も安田も自分たちがDFラインに入ってプレーすることに慣れている選手で、そういった問題は練習の積み重ねでしか解決できない。もちろん私が理想としていることができないのは私の責任になってくると思う。守備はまあまあよかったと言ったが、本質のところは、うまく守れたというより、点を取られなかったところにある。守れたが、あのままでは攻撃のところはダメ。当然、5人になれば4人で守るよりさらに簡単になるわけですから」

―監督が考えている3-4-3は攻撃的で、リスキーなものでは?
「他のシステムと同様、短所と長所がそれぞれある。絶対的なシステムは存在しないと思っている。システムの問題ではなく、いかにそのシステムを理解するか、活用するかにかかってくる。バルセロナはあのシステム(4-3-3)だから勝っているわけではなく、あのシステムを最大限に理解し、うまく活用することで違いを見せている。バルセロナも最初からうまくいったわけではないので、我々もこれから向上していかなければならない。3バックに関しても、特に強いこだわりがあるわけではない。今後、代表チームが常に使っていくわけではなく、どこかの試合でこれを出したり、試合中のある状況でこれを持っていればいいなと思って、試している。日本のサッカーというのはサイドアタッカーを多く配置していると思うし、サイドでの攻撃が得意な選手を数多く輩出している印象を持っている」

[写真]日本代表ザッケローニ監督

(取材・文 西山紘平)

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