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本田がモヤモヤ晴らす弾丸ミドル、「W杯予選は勝って当たり前」

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 うっ憤を晴らすような豪快ミドルだった。5日の練習を締めくくったハーフコートでのミニゲーム。3-4-3の右FWに入ったFW本田圭佑(CSKAモスクワ)はドリブルから左足を振り抜き、ゴールネットに突き刺した。

 3-4-3の戦術練習に多くの時間を割いている今合宿。ザッケローニ監督は攻撃面でも細かく指示を出す。約束事も多く、その教えを忠実にこなそうとするあまり、動きが遅くなり、思い切ったプレーが影を潜めていた。そんな閉塞感を打ち破るような本田の弾丸ミドル。ゴールが決まると、ミニゲームにもかかわらず、MF長谷部誠がハイタッチを求めるなど、練習の雰囲気もがらりと一変した。

「新しいことをやり始めたばかりで、難しいところはたくさんある。でも、ポジティブに考えている。今はまだ準備期間。いろいろトライしていい」

 1日のペルー戦(0-0)翌日には「システムに固執しすぎている。数字の話をしていても前へ進めない」と話した本田だが、指揮官が理想とする3-4-3の完成度を高めようと今は前向きに取り組んでいる。

「チグハグした部分もあるけど、いいところもある。いいところをどんどん出していきたい。いいときと悪いときがあるのは、どのシステムでも同じ。でもいいところがあまりに少ないし、悪いときがあまりに多い」。現状の課題が明確だからこそ、やりがいもある。

 試合を決める部分では最終的に個の力も重要だが、その前提としてチームが機能していないことには勝負にならない。「個の力は1週間、2週間で上がらない。あさっての試合に関して言えば、それまでに個が伸びるわけがない。連係の部分を高めたい。たまにしか集まれない代表だから、ちょっとしたところを詰めていく必要がある」と連係面の向上に力を注いでいる。

 CSKAモスクワでチームメイトのFWネチドとも対戦することになる7日のチェコ戦(日産ス)に向け「圧勝したいというのが個人的な思い」と話した本田。9月に開幕するW杯アジア3次予選まで残り2試合となった重要なテストマッチの1試合だが、その視線はもっと先を見据えている。

「なめているわけじゃないけど、W杯予選は勝てるのが当たり前。その先のことを考えるべき。W杯予選できちっと勝つのと、W杯で勝つサッカーはちょっと違った。そこは応用していく必要がある」

 頭にあるのは14年のブラジルW杯。ベスト16という志半ばで終わった南アフリカW杯以上の成績を残すためにも、個人として、チームとして成長を続けていくしかない。アジアから世界へ。そのための武器の一つが3-4-3でもある。チームが4-2-3-1と3-4-3を自在に使い分け、そこに本田という「個」が加わったとき、ザックジャパンはさらなる高みに到達する。

[写真]FW本田圭佑(左)とザッケローニ監督(5月31日撮影)

(取材・文 西山紘平)

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