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サブ組からチームの中心へ、山本「今までにないプレーができた」

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[6.8 練習試合 U-22日本代表5-0湘南 保土ヶ谷]

 目標はレギュラーではなく、チームの中心としてロンドン五輪へ行くこと。1日のU-22オーストラリア戦では後半43分からの出場となるなど、最近はU-22日本代表の控え組でプレーをすることの多かったMF山本康裕が中心的存在としてチームを勝利へ導いた。

 所属チームの事情により欠場した主将のMF山村和也に代わり、MF山口螢とダブルボランチを組んで先発。局面の至るところに顔を出してはワンタッチでのリターンパスやサイドチェンジなど、周囲を活かすプレーを徹底していた。守備面では身体の強さを活かしてボール奪取。そしてチャンスと見るや、中盤の底の位置から長い距離を走って最前線まで駆け上がった。自らにボールが出てこなくても、チームのためにフリーランニングを繰り返した。

 そのMFは前半23分、カウンターから自らドリブルで持ち込み、DF間を射抜く絶妙なラストパスでMF清武弘嗣のゴールをアシスト。“潤滑油”として周囲を活かすだけでなく、自ら決定的な仕事もしてのけた山本に対し、関塚隆監督も「いつも(磐田で)はもっと前のポジションだけど。(ボランチで)技術力、展開力を見せてくれた」と賞賛していた。
 
 ボランチだけでなく右SBなど複数のポジションを務める山本は今季、磐田で不動の右MF。個人技で局面を打開する技術、ミドルシュートなど得点力も兼ね備える主力選手だ。だがU-22代表では先発として評価を得ることができず、ポジションをつかむことができていない。出番のほとんどなかったオーストラリア戦ではチームメイトたちを鼓舞し、勝利を喜ぶ一方で悔しさをかみ締めていた。ただ「自分が(他の中盤の選手に比べて)劣っているとは思わないし、自分が中心になってやらないといけないと思っている」と力をこめたMFは、訪れたチャンスで自らの存在価値を示した。

 代表では納得のいくプレーのできていなかった山本だったが、この日の試合後には「前半の45分は今までにないくらいのプレーができた。山村や、(山口)螢にしかないいいものがあるように、ボクにしかないいいものがある。自分の持っているパスして前へ出て行くところやフリーランニング。自分にしかないものを出せたと思う」。19日と23日のクウェート戦で先発を獲得することができるかどうかはまだ微妙。ただ、5-0で快勝した試合の中心にいた山本は、もしもチームが苦境に立たされたとき、それを救うことができる存在であることを実証した。

(取材・文 吉田太郎)

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