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U-17W杯に臨む“94JAPAN”吉武監督「ファイナリストになる」

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 今月18日に開幕するU-17W杯メキシコ大会を戦うU-17日本代表は現地時間16日、初戦・ジャマイカ戦(日本時間19日)と第2戦・フランス戦(日本時間22日)の会場となる「Estadio Universitario」で公式練習を行い、2日後に控えている開幕戦へ向けて士気を高めた。

 日本代表がU-17W杯に出場するのは、これが3大会連続6度目だが、これまでU-17日本代表が決勝トーナメントに進出したことは日本開催だった93年大会の一度だけとなる。

 日本サッカー協会によると同代表を率いる吉武博文監督は「初戦がすごく大事だと思っていますが、初戦のジャマイカはラテン系の典型で、波に乗せるとどこまでも行くという感じです。いかに相手の歯車をかみ合わせないようにするかがポイントでしょう。そうできれば我々にも勝機はある」とコメントした。

以下、JFA公式サイト発表の吉武監督インタビュー

吉武博文監督
―高地での大会になりますが、高地対策はどのようにしたのでしょう?
「高地対策としては、少し前から高地(の酸素状態)に慣れるために、低酸素マスクを選手に配って、1日1時間の着用を1週間ほど続けて準備させています。標高2600メートルという、(直前合宿地の)トルーカに早く順化できるようにと。初戦と2戦目は平地ですが、3戦目が高地で行われるし、勝ち進めばほとんど高地だということなので、高地の準備をしておけば、どこに行っても大丈夫だと考えてのことです。

 4月にシミュレーション遠征としてメキシコに行って、そこでボールの伸びや、どれくらいの疲労が残るかということを選手も体験しています。遠征では、選手たちも4~5日すれば慣れたようでした。慣れることが大切だと思うので、1週間はそういうところ(高地)でやってから、試合会場に入ります。A代表の2010年W杯でのことも参考になっていて、当時のメディカルスタッフと情報交換もしました」

―グループステージで対戦する相手を、それぞれどう捉えていますか?
「初戦がすごく大事だと思っていますが、初戦のジャマイカはラテン系の典型で、波に乗せるとどこまでも行くという感じです。いかに相手の歯車をかみ合わせないようにするかがポイントでしょう。そうできれば我々にも勝機はある。でも3戦とも、いままでやってきたことの質をいかに上げられるかで、新しいことをするつもりはありません。

 フランスは、育成年代で定評がありますし、過去のU-17大会でも敗けて、すごく悔しい思いをしている相手です。なので、日本サッカーの17歳の代表としては、是非リベンジしたいという強い気持ちが、選手にも、我々スタッフにもすごくあります。 ヨーロッパのチームなので、がっちり守備もしてくるし、攻めも組織的にやってくる。がっぷり四つに組んでどんなゲームができるのか。これまで2年間、我々がやってきたことが通用するかということを試したいですね」

―では、アルゼンチンは?
「アルゼンチンは、昨年8月の豊田国際で対戦して、0-0で引分けてPK戦で負けています。その時出ていた選手も多いですし、1年間でどのぐらい変わったのか、心身共にどれくらい我々が伸びたのかを見たいと思っています。ただ、その試合前までの勝ち負けによって、3戦目の雰囲気がすごく違ってくる。先を考えないで1戦1戦ということで、まずはジャマイカ戦に集中することが一番大切なことだと考えています」

―突破の目安はありますか?
「決勝トーナメントへ行けば一発勝負で、いろんな雰囲気もあって、どう転がるかわからないという内容になると思いますが、まずはグループステージでの3戦を通じて、勝ち点3、得失点差プラスマイナス0以上。過去の例を見ていると、それがボーダーラインで、勝ち点4をとれば、多分、次へ行けるだろうと見ています。

 でもそんな計算ではなく、初戦に全部を集中する。その結果によって、2戦目をどう組み立てるかだと思います。高地ではないですが、平地では40度近い暑さがあるので、そこをどうするかですね。我々スタッフとしては、心身共に環境をいかに整えられるか、選手たちが気持ちよくサッカーに集中できるように努めたい。もちろん、選手も専念できるように自分のリズムを整えて、この2年間の全てをぶつける。これまでのサッカー人生のすべてをぶつけるというぐらいの気持ちでやりたいと思っています」

―この2年間のチーム作りで、最も気を配ってきた部分はどこでしょう?
「技術的に突出した選手はいないので、日本の良さである協調性、一人ひとりの力を合わせて1+1が3や4になるように、21人全員で戦っていくことです。チームにとってなにが有益かを一番に考えて、取り組んできたつもりです。ピッチの中のみならず、「誰が何をしたら自分は何をする」というように、チームで共鳴することをコンセプトにやってきました。

 例えば、試合中になにが起きているのかはベンチが分かってもしょうがない。相手のチームがどこを守ろうとしているのか。(そこを判断して)そうでないところをみんなが一体感を持って、みんなが感じて同じところを攻めて行く。逆に、相手がどこを攻めてきているかを感じて、そこをしっかり守っていく。それはその時ピッチに立っている選手でないと分からないので、ピッチの中で問題解決を自分たちで、一人ではなくチームでできれば、ということです」

―大会の目標設定はどこに置いていますか?
「2年前から言っていることですが『ファイナリストになる』ことです。そこには、決勝という意味だけでなく、A代表までの道や人生全体でみて最後までやり抜くという意味もあります。大会が1ヵ月あるのであれば、最後までケガせずに、全てを賭けてファイナリストになる。成長著しい選手たちなので、体験値を上げるためにも、できるだけ多くの試合をということでファイナルまで行って、7試合できたらなと考えています。

 ただ、過去の大会では1度しか決勝トーナメントに行っていないので、『ちょっと目標が高すぎるのでは』という見方もあるかもしれない。でも、決して手の届かないところにあるわけではない。確かに、実力的には100回やって90回ファイナルに行けるというところまではないですが、確率的に1%でも2%でもあるのであれば、諦めずにやって、その確率を10%、20%、30%にしたいと思っています。そういう思いを含めて、ファイナリストになるのが我々の目標です」

(文 片岡涼)
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