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“ドロー地獄”のあとの完敗、浦和は「ひどい試合」で9戦未勝利

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[6.18 J1第16節 浦和1-3清水 埼玉]

 “ドロー地獄”の先にあったのは屈辱的な大敗だった。5試合連続引き分け中だった浦和レッズはホームで1-3の完敗。9試合白星なし(5分4敗)となり、試合後はゴール裏のサポーターから大ブーイングが選手に浴びせられた。

「ひどい内容、勝ちにふさわしくない内容で、何もできなかった。ひどい試合、浦和レッズにふさわしくない試合をしてしまった」。ペトロヴィッチ監督は力なくうなだれた。前節の広島戦は0-0とはいえ、試合内容には手応えを感じていただけに、この日のショックは大きかった。

 3失点のうち2失点は直接FKを叩き込まれた。DF高橋峻希は「スーパーなゴールで流れが相手にいって……。運が悪いというか、普通はあんなところから入らない。ツイてない」と唇をかむ。前半24分の先制点は約35mの距離から弾丸FKを突き刺した清水DFボスナーのキックをほめるべきかもしれない。

 それでも、壁の下を通されたことについてDF永田充は「1点目は(壁の選手が)飛ばなきゃいいことで、あんなの普通は入らない。壁に入った選手が隣との距離を縮めないといけないし、下は通しちゃいけない。壁に入った選手が自覚してやらないといけない」と指摘した。自分自身がファウルを与えたことを反省しつつ、チームメイトにも苦言を呈した。

 深刻なのは攻撃面だろう。中盤でパスが回る場面はあったが、足元足元でつなぐばかりで、スペースに走り込む選手がいない。清水の選手がインターセプトするシーンが目立ったのは、それだけ読みやすいボール回しだったからだろう。

 永田は「連動したスムーズな攻撃ができなかった。個人の能力に頼ったような攻め方だった。それじゃ崩せない。みんなも動いて、ボールも動いてというサッカーをしないと。全然、動きがない。そこを変えないといけない」と厳しい口調で言った。サポートやフォローが遅いため、個人個人でボールを持つ時間が長くなり、攻撃のスピードも落ちる。「持ちすぎというより、出すところがない。ボールを持っている選手の周りで、動き出してあげる選手がいない」。次々と攻撃的なカードを切り、選手の配置を変え、フォーメーションを変更した。手を変え品を変え、ゴールを目指したが、ピッチ上は混乱するばかりで、有効な手立てにはならなかった。

 降格圏の16位に沈むチームは17位・山形にも勝ち点で並ばれた。まだまだシーズン序盤とはいえ、「降格」の2文字も脳裏をよぎる。この日、スタンドから試合を見守った日本代表MF長谷部誠(ボルフスブルク)は古巣の敗戦に「結果が出なくて苦しいと思うけど、僕も昨シーズン、同じ思いをしたので……。頑張ってほしいです」とエールを送った。所属するボルフスブルクは昨季、熾烈な残留争いに巻き込まれ、最終節で何とか1部残留を果たした。同じ経験をかつてのチームメイトにしてほしくない。浦和の黄金時代を支えた日本代表キャプテンの目に今のチームはどう映ったか……。

[写真]ベンチから戦況を見守るペトロヴィッチ監督

(取材・文 西山紘平)

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