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浦和の米国生まれDF濱田「ゴールの匂いを感じて走り込んだ」

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Text alert@豊田市
 フィールダー最長身、185cmの体でニアサイドに思い切り飛び込んでいった。前半37分。DF濱田水輝(浦和)はMF清武弘嗣(C大阪)の右CKに合わせ、相手DFの上から頭を突き出し、豪快なヘディングシュートを決めた。

「来た!という感じだった。うれしかった」という濱田の公式戦初得点で、関塚ジャパンは2-0とリードを広げる。「大事な試合で決められて良かった」。背番号12は笑みをたたえた。

 序盤から何度も訪れていたCKの場面で、相手守備の甘さを見抜いていた。

「最初の1、2本のCKで、1人目が走ったらニアポストの辺りが空くことを感じていた。そこに勢いよく走っていけば狙えると、ゴールの匂いを感じて走った。相手は体を寄せてこないので、先にジャンプすればいけるなと思った」。試合の中で相手の弱点を見つけるクレバーさも魅力だ。

 生まれは米ニュージャージー州。父の仕事の関係で埼玉県とニュージャージー州で数年ずつ過ごし、U-15米国代表に選ばれたこともある。米国籍も持っているため、米国代表を目指す道もあったが、高1から浦和ユースに入り、日本代表を目指す道を選んだ。

 08年には高円宮杯全日本ユース(U-18)選手権で全国優勝を果たし、09年に浦和とプロ契約。ところがプロ入り後はなかなか芽が出ず、同期の山田直輝、高橋峻希や1歳下の原口元気にも遅れを取った。やっとつかんだ昨年12月のJリーグ最終節・神戸戦での先発出場のチャンスでは失点に相次いで絡み、途中交代を余儀なくされる悔しさを味わった。今季はまだベンチ入りすらない。

 けれども「五輪代表チームで出ていることが重要なモチベーションになっている。今は五輪を目指すことが現実的な夢になっている」と青いユニフォームに活路を見いだした。日々の鍛錬を重ね、今では関塚ジャパンで不動のセンターバックに定着している。

 1失点したことについては「ミスからの失点なのでもったいないけど、次に勝てばいいだけなので」と強気を崩さない。高さと強さとクレバーさを併せ持つ大型DFは、クウェート撃破に欠かせない存在となっている。

[写真]打点の高いヘッドでゴールを決めた濱田

(取材・文 矢内由美子)

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