[総体]大会最注目FWが35分間出場で仕事、「力を出し切る」山梨学院が大阪王者突破
平成23年度全国高校総合体育大会「2011熱戦再来 北東北総体」サッカー競技(秋田)
[7・28 全国高校総体1回戦 桃山学院0-1山梨学院 八橋運動公園健康広場]
今大会最注目のFW白崎凌兵(3年)擁する山梨学院(山梨)が大阪王者を撃破した。28日に開幕した平成23年度全国高校総合体育大会「2011熱戦再来 北東北総体」サッカー競技は1回戦23試合を行い、秋田市の八橋運動公園健康広場では09年度高校選手権優勝の山梨学院と大阪1位の初出場校、桃山学院が激突。2年生FW名嘉真朝季の決勝ゴールにより、1-0で勝った山梨学院が金沢桜丘(石川)と対戦する2回戦(29日)へ進出した。
U-18日本代表候補の10番投入とともに流れが変わった。山梨学院は股関節痛の影響で万全の状態ではない白崎をベンチスタートさせる選択。それでもMF荒木克仁のゲームメークと両サイドの突破力を活かして主導権を握り、前半半ばから主導権を握って試合を進める。だが、相手ディフェンスラインの背後を狙ったパスの意図が合わず、ラストパスのタイミングもわずかにずれるなど攻めてはいたものの、ゴールを挙げることができていなかった。逆にMF西嶋一やFW福田宜史(ともに3年)のスピードを活かしてカウンターを繰り出す桃山学院に危ないシーンをつくられてしまう。31分にはPA外のこぼれ球に反応した福田の右足シュートが枠を捉える。山梨学院はU-18日本代表GK山田修平(3年)の好守で失点しなかったものの、攻め切れていないことを要因として隙を見せてしまっていた。
吉永一明監督は後半開始からケガ明けでまだ“時間限定出場”の白崎をピッチに送り出す。「チームは立ち上がりから悪くて蹴ってしまっていた。だから自分が起点をつくって周りを活かそうとした」という白崎の投入後もしばらくはロングボールを選択する場面が目立っていたが、徐々にボールが入りだした注目FWはピッチで他との違いを示す。8分には山田からのフィードで相手CBに競り勝つと、これでディフェンスラインの背後に抜け出した名嘉真がGKと1対1に。白崎はその後も相手のわずかなミスを逃さずにボールを奪い取るセンスの高さとフィジカルの強さで攻守のポイントとなると、チームは白崎の個人技で得たCKから待望の先制点を生み出した。
23分だ。右サイドでボールを持った白崎は相手DF2人をドリブルで外してラストパス。「2人くらいなら問題ないです」と個人で打開したこの場面はDFにゴール前でクリアされたが、直後の右CKを荒木が正確な左足でゴール前に上げると、中央の名嘉真が頭で千金ゴールを押し込んだ。
ベストにはまだ程遠い。「まだ自分の半分も出せていない」と首を振るようにそれは白崎自身が一番よくわかっている。ただ「今はどの段階から入っても自分が入ることで流れを変えられている。今自分のできることはこれ。自分が出ることで相手が嫌がっていることが分かるし、今できることを徹底してやりたい」と言葉を強めた。
この日、桃山学院は阪口博哉(3年)と片岡大基(1年)の両CBが根気強く山梨学院の攻撃を跳ね返していたが、白崎は相手のストロングポイントである空中戦で上回り、その良さを消すことでも貢献。この日好セーブでチームを救った山田も「彼が入ることで違う。守備もしっかりやってくれる」と信頼するエースが、この日は“時間限定”の中でも最大限力を発揮し、チームを勝利へと導いた。
総体初優勝を狙うチームは山田に加えて新潟谷勇人と藤原光晴(ともに3年)の両CBの好守などで相手を封じきった。吉永監督は「苦しいときに崩れなかったところを評価したい」と賞賛。その指揮官は今年チームに「力を出し切ること」を要求している。「出し切るというのは難しいテーマ。でも最後倒れるまで自分の力を惜しみなく出し切ることができるかどうか。きょうは精神面では出し切った選手もいたと思う。でもまだ走れたはず。60パーセントしかできていない。まだやり切れていないですね」。
ベンチメンバーも多彩で白崎投入とともにスイッチの入ったチームは難しい初戦を制した。十分に優勝争いをする力はある。だがそれを実現するためには、どの試合でも一人ひとりがこの日以上に力を出していくこと。そして「昨年は悔しい思いをしている。みんなでタイトルを取りにいく。自分は決勝にピークの頂点を。決勝でマン・オブ・ザ・マッチを取って、ゲキサカに載せてもらえるように頑張ります」と意気込む白崎のさらなる復調が、総体初Vへのポイントになりそうだ。
[写真]勝利を喜ぶ白崎ら山梨学院イレブン
(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
【特設ページ】高校総体2011
[7・28 全国高校総体1回戦 桃山学院0-1山梨学院 八橋運動公園健康広場]
今大会最注目のFW白崎凌兵(3年)擁する山梨学院(山梨)が大阪王者を撃破した。28日に開幕した平成23年度全国高校総合体育大会「2011熱戦再来 北東北総体」サッカー競技は1回戦23試合を行い、秋田市の八橋運動公園健康広場では09年度高校選手権優勝の山梨学院と大阪1位の初出場校、桃山学院が激突。2年生FW名嘉真朝季の決勝ゴールにより、1-0で勝った山梨学院が金沢桜丘(石川)と対戦する2回戦(29日)へ進出した。
U-18日本代表候補の10番投入とともに流れが変わった。山梨学院は股関節痛の影響で万全の状態ではない白崎をベンチスタートさせる選択。それでもMF荒木克仁のゲームメークと両サイドの突破力を活かして主導権を握り、前半半ばから主導権を握って試合を進める。だが、相手ディフェンスラインの背後を狙ったパスの意図が合わず、ラストパスのタイミングもわずかにずれるなど攻めてはいたものの、ゴールを挙げることができていなかった。逆にMF西嶋一やFW福田宜史(ともに3年)のスピードを活かしてカウンターを繰り出す桃山学院に危ないシーンをつくられてしまう。31分にはPA外のこぼれ球に反応した福田の右足シュートが枠を捉える。山梨学院はU-18日本代表GK山田修平(3年)の好守で失点しなかったものの、攻め切れていないことを要因として隙を見せてしまっていた。
吉永一明監督は後半開始からケガ明けでまだ“時間限定出場”の白崎をピッチに送り出す。「チームは立ち上がりから悪くて蹴ってしまっていた。だから自分が起点をつくって周りを活かそうとした」という白崎の投入後もしばらくはロングボールを選択する場面が目立っていたが、徐々にボールが入りだした注目FWはピッチで他との違いを示す。8分には山田からのフィードで相手CBに競り勝つと、これでディフェンスラインの背後に抜け出した名嘉真がGKと1対1に。白崎はその後も相手のわずかなミスを逃さずにボールを奪い取るセンスの高さとフィジカルの強さで攻守のポイントとなると、チームは白崎の個人技で得たCKから待望の先制点を生み出した。
23分だ。右サイドでボールを持った白崎は相手DF2人をドリブルで外してラストパス。「2人くらいなら問題ないです」と個人で打開したこの場面はDFにゴール前でクリアされたが、直後の右CKを荒木が正確な左足でゴール前に上げると、中央の名嘉真が頭で千金ゴールを押し込んだ。
ベストにはまだ程遠い。「まだ自分の半分も出せていない」と首を振るようにそれは白崎自身が一番よくわかっている。ただ「今はどの段階から入っても自分が入ることで流れを変えられている。今自分のできることはこれ。自分が出ることで相手が嫌がっていることが分かるし、今できることを徹底してやりたい」と言葉を強めた。
この日、桃山学院は阪口博哉(3年)と片岡大基(1年)の両CBが根気強く山梨学院の攻撃を跳ね返していたが、白崎は相手のストロングポイントである空中戦で上回り、その良さを消すことでも貢献。この日好セーブでチームを救った山田も「彼が入ることで違う。守備もしっかりやってくれる」と信頼するエースが、この日は“時間限定”の中でも最大限力を発揮し、チームを勝利へと導いた。
総体初優勝を狙うチームは山田に加えて新潟谷勇人と藤原光晴(ともに3年)の両CBの好守などで相手を封じきった。吉永監督は「苦しいときに崩れなかったところを評価したい」と賞賛。その指揮官は今年チームに「力を出し切ること」を要求している。「出し切るというのは難しいテーマ。でも最後倒れるまで自分の力を惜しみなく出し切ることができるかどうか。きょうは精神面では出し切った選手もいたと思う。でもまだ走れたはず。60パーセントしかできていない。まだやり切れていないですね」。
ベンチメンバーも多彩で白崎投入とともにスイッチの入ったチームは難しい初戦を制した。十分に優勝争いをする力はある。だがそれを実現するためには、どの試合でも一人ひとりがこの日以上に力を出していくこと。そして「昨年は悔しい思いをしている。みんなでタイトルを取りにいく。自分は決勝にピークの頂点を。決勝でマン・オブ・ザ・マッチを取って、ゲキサカに載せてもらえるように頑張ります」と意気込む白崎のさらなる復調が、総体初Vへのポイントになりそうだ。
[写真]勝利を喜ぶ白崎ら山梨学院イレブン
(取材・文 吉田太郎)
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