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JFL事務局長が松田選手の訃報を受け状況報告、週末のJFL全試合で半旗、喪章

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 松本山雅FCの元日本代表DF松田直樹氏の訃報を受け、日本フットボールリーグ(JFL)の加藤桂三事務局長は4日、松田選手への追悼の意を込め、週末の6、7日に行われるJFL後期第6節の全9試合の会場で半旗を掲げるほか、試合前に黙とうを捧げ、選手が喪章を付けてプレーすることを明らかにした。

 試合は通常通り開催され、松本山雅は7日にホームでSAGAWA SHIGA FCと対戦する。「松田選手がマリノスから我々のリーグに来て、何をしようとしていたのかを考えれば、今やれることは松本山雅が向かっているところに向かって全力でやることだと思う。松田選手本人の意志もそうではないかと思っている。やらないといけないことをしっかりやらないといけない」と、試合延期などを見合わせた理由を説明した。

 松田選手の訃報は午後1時半ごろに連絡があったという。「突然ではなく、朝から徐々に体調が崩れ、呼吸が弱まるなどして、午後1時すぎに亡くなったと聞いている」と説明した。

「以前から選手の健康管理について、リーグとしてできることはしてきたつもりだったが、正直まだ足りないところがあったのかもしれない。こういうことがあって反省するのは問題だが、リーグ、クラブがどうしていかないといけないのか、あらためて取り組んでいきたい」

 加藤事務局長によると、松田選手は今年1月25日にメディカルチェックを受けた。「昨日チームから書類をもらって関係機関に提出した。特別、異常はなかったと聞いている」。Jリーグではシーズン前のメディカルチェックが強制となっているが、JFLでは同様の趣旨が規約に書かれているものの、「Jリーグではチェックした書類をリーグに提出しないと試合に出られないが、JFLではメディカルチェックを受けてもらっているだけ」という。

「プロ、アマチュア、企業チームなど雇用形態がそれぞれ違う。プロとアマの違いをどう考えるのか。あらためて考えさせられるところはある」と、規約改定なども視野に入れる考えを明らかにした。

 また、松田選手が練習中に倒れた松本市内の練習場に自動体外式除細動器(AED)が設置されていなかったことも問題視された。加藤事務局長は「試合会場はほとんどの会場に設置されていると聞いているが、本当にそういう状況なのかチェックするよう指示した」と指摘。「練習会場については、クブラハウスも持っているようなクラブでは設置されている。どちらかというと企業チームの方がしっかりしているところがある。ただ、練習場を転々としているクラブもあり、今回はそういうケースだった」。JFLでは各チームにAED設置を指示しているが、義務付けてはいない。経済的な事情によって所有できないクラブもあるのが現実だ。

「チームとして(AEDを)持ってもらうように話をさせていただいていたつもりだったが、今回こういうことがあって、徹底されていなかったのはこちらの管理不足だと思う。優先順位が高いものだが、しっかりとした指導ができていたのか。アナウンス不足もあったかもしれない。今後、各チームにいろいろ話をさせていただかないといけない」。加藤事務局長は沈痛な表情で話したが、リーグとしての援助なども必要になってくるだろう。「こうしたことで気づくことになったのは残念だが、こういうことがあったのに、準備できないということがあってはならない」。2度とこうした悲劇が起きないためにも、日本サッカー協会、Jリーグ、JFL、各クラブすべてが一体となって取り組んでいかなければならない。

(取材・文 西山紘平)

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