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94分の劇弾!吉田の決勝点でザックジャパンがブラジルW杯へ白星発進!!

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[9.2 W杯アジア3次予選 日本1-0北朝鮮 埼玉]

 ザックジャパンが劇的勝利で白星発進!! 日本代表は2日、埼玉スタジアムで北朝鮮代表と対戦し、1-0で競り勝った。0-0で迎えた後半49分にDF吉田麻也(VVV)が劇的な決勝点。W杯アジア3次予選初戦で勝ち点3を手にし、14年のブラジルW杯に向け、まずは上々のスタートを切った。
 昨年10月8日のアルゼンチン戦(1-0)で初陣を飾ったザッケローニ監督は、就任からの国際Aマッチ連続無敗記録を12に更新。さらに岡田武史前監督が指揮していた昨年6月24日の南アフリカW杯・デンマーク戦(3-1)以降、国際Aマッチ16試合連続無敗(10勝6分、PK戦は引き分け扱い)となり、代表史上歴代1位の記録をさらに更新した。

 日本はFW本田圭佑が負傷離脱したため、MF柏木陽介が4-2-3-1のトップ下で先発。それ以外は8月10日の韓国戦(3-0)と同じメンバーで臨んだ。
 北朝鮮も4-2-3-1のシステムで、MF安英学はダブルボランチの一角、MF梁勇基は2列目の左サイドに入り、FW鄭大世が1トップを務めた。
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 立ち上がりの前半2分、日本はFW岡崎慎司が倒され、いきなりセットプレーのチャンスを獲得する。右45度の角度から柏木が左足インスイングで入れたボールにDF吉田麻也がフリーで走り込むが、わずかに届かず、GKが正面で抑えた。

 前半10分ごろからは台風12号の影響で激しい横殴りの雨がピッチ上を打ちつけた。視界もさえぎる大雨と強風は選手のプレーにも影響し、その後はこう着状態となった。前半20分ごろから雨は止み、依然、ピッチ上空では強風が吹き荒れたものの、徐々に日本の選手も落ち着いてパスを回し、チャンスをつくり出していった。

 前半20分、DF内田篤人が右サイドをオーバーラップし、ゴール前にクロス。ファーサイドのFW李忠成が頭で落としたボールが柏木の足元に流れたが、コントロールできず、こぼれ球を拾ったFW香川真司もシュートを打ち切れなかった。同21分にはDF駒野友一の左クロスを岡崎が頭で落とし、柏木がクロスバー直撃のシュート。これは岡崎のプレーがファウルを取られた。

 徐々に圧力を強める日本は前半24分、MF遠藤保仁のくさびを李が落とし、柏木が右足ミドルを狙うも、シュートはゴール上へ。同32分には柏木が右後方から上げたクロスボールに李がバックヘッドで狙ったが、GKの正面だった。同33分、遠藤が再び鋭い縦パスを入れ、岡崎がワンタッチでスペースに落とす。走り込んだ香川がドリブルで持ち込み、PA手前から右足で狙い澄ましたシュート。しかし、これもゴールのわずか右へ外れた。

 チャンスはつくるもののフィニッシュの精度を欠き、1点が取れない日本。前半ロスタイムにはこぼれ球を拾った岡崎がPA内にドリブルで切れ込み、DFをかわして横に流す。フリーで待っていた柏木は右足を振り抜いたが、シュートは大きく浮いてしまい、前半は0-0のまま折り返した。

 後半最初のチャンスも日本。後半1分、岡崎からの横パスを受けたMF長谷部誠が右足で強烈なミドルシュートを放つが、GKが身をていしてキャッチした。前半の45分間は北朝鮮にチャンスらしいチャンスを与えなかった日本だが、同3分、自陣で香川がパスミス。ボールを奪った鄭大世はそのまま自ら持ち込み、シュートを狙ったが、DFが体を張ってブロックした。

 0-0の展開が続く中、北朝鮮が先に動いた。後半11分、トップ下に入っていたFWパク・ナムチョルに代えて18歳のFWパク・クァンリョンを投入。186cmの長身ストライカーは前線で鄭大世と2トップを組み、システムも4-4-2に変更した。

 日本は後半15分に最初のカードを切った。柏木に代えてFW清武弘嗣を投入。清武は右サイドに入り、香川がトップ下、岡崎が左サイドにポジションを移した。

 選手交代で攻撃のリズムに変化を付ける日本は立て続けに決定機を迎えた。後半19分、香川が清武とのワンツーでPA内に進入。こぼれ球を拾った長谷部が右サイドをえぐって折り返すと、DFのクリアボールを清武がPA外から左足で狙ったが、ゴール前でDFが体に当て、何とかCKに逃れた。さらにその直後にも香川がドリブルで右サイドの深い位置まで持ち込み、マイナスのクロス。再び清武が右足でシュートを打ったが、大きく浮いてしまった。

 一方的に攻め込む日本に対し、北朝鮮は後半20分過ぎにDFチョン・グァンイク、MFリ・チョルミョンが足をつるなど疲労の色も見え始める。何とか1点が欲しい日本は後半25分、李に代えてFWハーフナー・マイクを投入。前日1日に追加招集されたばかりの194cmの大型FWがW杯予選本番で国際Aマッチデビューを果たした。

 後半26分、ゴールほぼ正面の位置でFKを獲得。しかし、遠藤が右足で狙ったキックはゴール左に外れる。同28分には内田のアーリークロスにハーフナーが頭で合わせるもゴール上へ。同29分には最大の決定機が訪れた。長谷部がドリブルで切れ込み、横にはたく。香川は触れなかったが、流れてきたボールをハーフナーが右足でシュート。しかし、これは惜しくもクロスバーを直撃し、先制点とはならなかった。

 1点が遠い日本は攻め手を緩めず、ゴールを目指す。後半36分にはショートコーナーから香川の右クロスを岡崎がヘディングシュート。決定的な場面だったが、GKリ・ミョングッが横っ跳びのスーパーセーブを見せ、ゴールを許さない。

 北朝鮮は後半39分、パク・クァンリョンが遠藤に対して足の裏を見せたスライディングタックルで一発退場。残り時間、数的優位に立った日本は最後の猛攻を見せた。しかし、後半42分、長谷部のアーリークロスに飛び込んだ岡崎はわずかに届かない。

 ロスタイムは5分。勝ち点3を目指す日本は立て続けにCKを獲得する。後半48分、遠藤の左CKが流れたボールをDF今野泰幸が左足でシュート。これはまたしてもクロスバーに阻まれたが、日本のゴールへの執念が最後の最後に実った。

 後半49分、右CKから清武がショートコーナーで長谷部に預ける。長谷部からリターンパスを受けた清武は狙い澄ましてゴール前にクロス。これに飛び込んだのが吉田だ。打点の高いヘディングシュートをゴールネットに突き刺し、決勝点。ザックジャパンが1-0の劇的勝利で勝ち点3を手にし、W杯予選初戦を白星で飾った。

(取材・文 西山紘平)

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