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“凱旋”鄭大世は不発「きょうはどうしようもない」

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[9・2 W杯アジア3次予選 日本1-0北朝鮮 埼玉]
 
「勝ち点1取れなかったのは残念」。北朝鮮代表FW鄭大世は試合後無念さを滲ませながら敗戦の弁を口にした。夢見てきた北朝鮮代表として、育った国の日本で、日本代表との対戦。試合前の国歌斉唱では目に涙を浮かばせて決戦に臨んだ鄭だったが、“凱旋試合”は本人にとってあまりにも悔しい試合となった。

「チャンスがないのは分かっていた。レベルの差を見せ付けられた。チャンスの前(の部分)もできなかった。中盤が支配されてボールを奪う位置も下がりすぎていた」と振り返ったとおり、押し込まれたチームは全くボールをつなぐことができず、鄭までボールが届くことなく失ってしまう場面の連続。鄭へのロングボールが入ってきても、“分かりきった”攻撃でDFに距離を詰められた状態では、そのフィジカルでJを震撼させたストライカーでもなかなかキープすることができない。

 初めて日本代表と対戦した08年東アジア選手権ではGK川島永嗣の守るゴールを破った。当然この日もゴールを狙っていたが、シュートは後半20分の右足ミドルと43分に放った約40mの右足FKの2本だけ。「カウンターを狙っていた。(相手)ボランチが一度くらいはイージーミスをすると思っていた。(でも)それがなかった。きょうはどうしようもない」。

 ただどんなに一方的に攻められていても引き分けてしまえば勝ち点1。そのために鄭は走り、身体を張った。0-0の後半45分に交代を告げられても「守らないといけない。フレッシュな選手が出るべき」と受け入れた。そして祈るような視線でチームの勝ち点1奪取を期待していた鄭だったが、思い通りの結果とはならなかった。

 敗戦を悔しがった鄭だが、2大会連続W杯へ向けたアジア3次予選は始まったばかりだ。「(6日の)タジキスタン戦は点差を広げて勝たなければならない。(11月15日の日本戦は)ホームであろうがこういう試合になる。でもホームの雰囲気は違うし、簡単には負けません」。今後の結果次第では11月15日の再戦(北朝鮮)では熾烈な順位争いの中でぶつかる可能性もある。エース・鄭は最終予選進出のため、より脅威となって日本の前に立ちはだかる。

(取材・文 吉田太郎)

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