beacon

[選手権予選]PK戦13人目で決着!1、2年生先発9人の修徳がプリンス関東1部の成立学園撃破!!:東京A

このエントリーをはてなブックマークに追加

[9・25 第90回全国高校選手権東京都Aブロック2回戦 修徳1-1(PK13-12)成立学園 東久留米総合高G]

 25日に行われた第90回全国高校サッカー選手権東京都Aブロック2回戦、プリンスリーグ関東1部のシード校・成立学園と8度目の全国選手権出場を狙う修徳との注目対決は、1-1でもつれ込んだPK戦13人目で決着。13-12で死闘を制した修徳が東京実と対戦する準々決勝(10月16日)へ進出した。

 勝者と敗者との明暗がくっきりと分かれた。成立学園が退場者を出したため、10人ずつで行われたPK戦は1人目から両チームの1年生GKがキッカーを務めた10人目まで全員が成功。互いの選手が確実にゴールを破り、ガッツポーズを繰り返していく。決着がついたのは13人目。先行・成立学園はチームのプレースキッカーを務めるDF上村昴平(3年)が左足を振り抜くが、左へ跳んだGK高橋太郎(1年)がついにストップする。直後、決めれば勝利の決まるキックを修徳FW間島朋之(3年)が冷静にシュートをゴール左へ沈めると、一斉に走り出した修徳イレブンは左コーナー後方に陣取った応援団と喜びを大爆発。一方、まさかの初戦敗退となった成立学園は顔を覆い、ピッチに崩れ落ちた。

 1、2年生9人が先発した修徳の執念の勝利だった。序盤から試合の主導権を握ったのは強豪集うプリンスリーグで揉まれ、横浜FMユースと千葉U-18というJクラブユース勢から勝利もしている成立学園。圧倒的な技術で違いを示すJ注目MF飯田涼主将(3年)がピッチの至るところへ顔を出して攻撃をコントロール。また抜群のスピードを持つMF山口紘範(3年)が鋭くゴールへ迫るなど押し気味に試合を進めると前半27分、上村の左FKにMF関根章人(3年)が飛び込むと、ファーサイドにこぼれたボールをCB黒坂悠生(3年)が左足でゴールへとねじ込んで先制した。

 リードを奪った成立学園は、山口が決定的なシュートを連発し、後半2分には黒坂のヘディングシュートがゴールを捉える。そして22分にはワンツーから飯田が左足の弾丸ミドル。ただ修徳は、この日ビッグセーブを連発していた高橋が鉄壁の守りで追加点を許さない。また21日のプリンスリーグで市立船橋(千葉)との激闘を終えたばかりの成立学園は後半徐々に運動量を減らし、足を攣らせる選手が続出。成立学園の森岡幸太監督は「将来、(彼らがサッカーを続けていけばOBの)大津(祐樹)のように(代表などで)海外から帰国してすぐにリーグ戦を戦うこともある。スケジュールを理由にしたくはない」と語ったが、疲労は明らかだった。

 そして5泊6日の夏合宿では午前6時30分開始の6km走、朝食後のシャトルランなど連日4部練を行い、走力に絶対の自信を持っていた修徳が徐々に成立学園のパスワークを乱していく。今年就任した岩本慎一郎監督は「トーナメントなので勝ってなんぼ。力的には成立の方が上なので、弱者の戦い方をしました」。前線からプレッシャーをかけ続ければ成立学園のリズムを狂わせることができるのは分かっていた。前線の3トップたちが走り回ると、3バックも必死のディフェンス。そして1年生GKの獅子奮迅の活躍で耐えると、抜群のフィジカルを持つ間島や鋭いドリブルが武器のゲーム主将・西野隼人がゴールへ迫る回数を増やしてゆく。またFW野澤克之やMF城ヶ龍大地(ともに2年)といった交代のカードも機能して流れを引き寄せた。そして後半27分、野澤が西野の前方へ絶妙なパスを通すと、これを左サイドで受けた西野が中央へ切れ込み右足を一閃。これが鮮やかな弧を描いてゴール右隅へ吸い込まれ、同点ゴールとなった。

 負傷のためベンチからも外れているFW根本直弥主将(3年)は「(過密日程の)成立に比べて自分たちは準備期間があるし、有利だと思っていた。1点やられた時は『ヤバイ』と思ったけれど、絶対逆転してくれると思っていた」。その期待に応える一撃。勢いづいた修徳はカウンターからの右クロスにMF本橋瑞基(2年)が決定的な形で飛び込み、40分には右サイドで2人を置き去りにした西野のシュートがゴールを襲う。そして1-1で突入した延長戦の前半2分には、左サイドから仕掛けた間島の突破をファウルで止めた成立学園SB用之丸将也(3年)が2枚目の警告で退場。数的優位を得た。

 10人となった成立学園だが、それでも攻撃力は十分。交代出場のFW田村亮太(3年)のドリブル突破などから強引に勝ち越しを目指す。だが延長後半2分、5分と飯田からのスルーパスでFW千葉嘉人(2年)が抜け出すが、シュートはGK高橋がまたもやビッグセーブ。また左CKからFW田中達也(3年)が放ったヘディングシュートがGKの逆をついてゴール左隅を捉えるが、ここでも集中力を切らさない修徳はゴールライン上でDFがクリアして守り切った。修徳はPK戦でも常に成立学園が先行するプレッシャーのかかる状況におかれながらも、全員が決めて勝利。選手たちは優勝候補からの勝利の喜びを身体全体で表現していた。

 PK戦の末に敗退した成立学園だが、プリンスリーグの公式戦を5試合残す3年生は引退を先送りにするとのこと。「プリンスリーグやります。プリンスビリで選手権も負けた。このままでは何も残らない状態。1、2年生に何か残してあげられたら、それを活かしてくれたら十分だと思います」と前向きに語った飯田主将は悪夢のような敗戦に「負けは負け。自分たちの課題を知ってから、これから勝者の側にまわりたい」と必死に言葉を搾り出した。一方、前評判を覆して6年ぶりの全国へ前進した修徳の西野は「粘れるチームになってきた。自信になるし、次につなげないといけない」。優勝候補との死闘を制した自信を胸に混戦の東京予選を駆け抜ける。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
【特設】高校選手権2011

TOP