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[国体少年男子]「王者ではなくチャレンジャー」タフに、泥臭く戦う王国・静岡が7年ぶりV王手!

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[10.5 山口国体少年男子準決勝 静岡3-1大阪 おのだサッカー交流公園]

 第66回国民体育大会「おいでませ!山口国体」サッカー競技少年男子は5日、山口県のおのだサッカー交流公園サッカー場で準決勝を行い、静岡対大阪は静岡が3-1で勝利。優勝した04年以来となる決勝進出を果たした。静岡はあす6日の決勝で千葉と戦う。

 今大会の参加チーム中、最も集中力を発揮しているチームだ。静岡は沖縄との初戦では前半4分、大分との2回戦は後半4分、そして宮崎との準々決勝は前半4分にそれぞれ立ち上がりに先制ゴール。「ゲームの入りが本大会に入ってとてもいい。最初のチャンスを確実に決めてくれている」と廿日岩亮監督(気賀高)は目を細めていたが、静岡は大阪戦でも開始直後の鮮やかな先制パンチで強豪を沈めた。

 前半3分、静岡は左サイドのスペースを突いたFW中野誠也(磐田U-18)の左クロスをファーサイドでフリーとなったFW梅村晴貴(磐田U-18)が中央へ折り返す。これに走りこんだMF北川滉平(磐田U-18)が右足ダイレクトで先制ゴールを押し込む。大きな揺さぶりで大阪ディフェンス陣を崩して奪ったアドバンテージ。さらに静岡は5分にも中野を起点に右MF金原唯斗(磐田U-18)がクロスを上げる。中盤の底の位置から走りこんだMF佐藤飛天主将(清水ユース)が頭で押し込み、2-0へ突き放した。

 静岡はこの後も自陣からショートパスを次々と通して大阪のプレッシャーを掻い潜っていく。5分にスルーパスで抜け出した中野の右足シュートはゴール左へ外れ、12分にゴール前のこぼれ球から金原が放った右足シュートはクロスバーを叩いてしまったものの、試合を支配していたのは静岡だった。

 それでも大阪のプレスは強烈。2点を先取されて取り返すしかなくなったチームは相手GKにまでプレッシャーをかけるなど、アグレッシブに静岡ゴールを目指してきた。またFW大津耀誠(C大阪U-18)を筆頭にコンタクトが厳しく、静岡は抜群のスピードを誇るFW魚里直哉(C大阪U-18)に局面を打開される場面もあった。それでも静岡はまたもや立ち上がりのゴールでライバルを突き放す。後半開始直後の2分、静岡は左サイドの北川の鮮やかな突破から最後は中野が決めて勝負の行方を大きく傾けた。大阪は後半27分に中央からのパスワークで静岡の守備を攻略して最後はMF薮内健人(G大阪ユース)が追撃ゴールを決めたが、その後にDF内田裕斗主将(G大阪ユース)の放った右足シュートがクロスバーを叩くなど静岡を追い詰めることができなかった。

 2位・千葉(7回)に12回の大差をつける通算19回の優勝を果たしているサッカー王国・静岡。「静岡の誇り」を胸に戦うがあくまで「王者ではなくチャレンジャー」(廿日岩監督)だ。東海予選で愛知に5点を奪われ、国体本大会直前の千葉との練習試合では完敗した。決してずば抜けたタレントがいる訳でもない。気を抜けば、戦う姿勢が欠ければやられることを体感しているだけに、自滅することはない。常にモチベーションの高い状態で試合に臨んでいることが、立ち上がりのゴールにもつながっている。

 佐藤主将は「自分たちのサッカーで歴史を塗り替えたい」。“横綱のサッカー”をするのではなく、泥臭く、一丸となって戦うこのチームの姿はどこか「静岡らしくない」ように映るが、7年間日本一から遠ざかる「暗黒の時代」に成し遂げることのできなかった決勝進出を果たした11年版静岡選抜のこの姿勢は、決勝でも変わる事はない。

[写真]前半3分、静岡MF北川(中央)が先制ゴール 
(取材・文 吉田太郎)

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