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首位の柏は“鬼門4連破”で今季初の4連勝。ACL出場の3位以内が確定も「優勝というもっと大きな目標がある」

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[11.3 J1第31節 柏4-0新潟 柏]

 首位の柏レイソルが新潟に4-0勝利し、今季初の4連勝をつかんだ。勝ち点を65に伸ばして首位をキープすると共に、残り3試合で4位の横浜FMと勝ち点差を10とし、3位以内が確定。来年のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の出場権を獲得した。

 3連勝同士の対戦だったが、前半8分にMFレアンドロ・ドミンゲスがPKを決めて先制すると、前半34分にレアンドロが1点を追加。後半にはMFジョルジ・ワグネル、FW田中順也が追加点を決めて4-0の完封勝ち。出場停止と怪我で離脱し、3試合ぶりに復帰して2得点の活躍を見せたレアンドロはお立ち台で「チームの勝利に貢献できて嬉しい。勝てているのは、サポーターの人が変わらずに応援してくれているからだ。サポーターの方にありがとうと言いたい」と笑顔を浮かべた。

 史上初となるJ1昇格初年度の優勝に向け、プレッシャーのかかる試合が続いているが、4試合連続で“鬼門”を打ち破った。10月2日の鹿島戦では1-0でカシマスタジアム初勝利。次戦同16日の山形戦は、1-0でJ1での対戦で初白星を果たした。続く同22日の広島戦では、3-1で98年以来となる広島ビッグアーチでの勝利。そしてこの日の新潟は、リーグ戦のホームゲームで3分2敗と白星がない難敵だったが、4-0の完勝を収めた。

「みなさんから言われて気づくだけで、僕らは意識していなかった。僕は(柏でのプレーが)長いので、カシマスタジアムでは勝ってないなとか思いましたけど、若い選手が多いので、他は気にしていないと思う」と主将のMF大谷秀和。FW北嶋秀朗は「勝つことに慣れてきているのはある。勝つことを前提に全てのことを考えている。そういうメンタリティーがある」と力説。FW工藤壮人も「勝ちの味がチームに染み付いてきている。サポーターの人も、勝って当然という目に変わっている。そういう中で試合をやれるのは幸せなこと」と語り、いまの柏には“鬼門”は関係ないことを強調した。

 3位以内が確定し、例年通りの規定ならACLの出場権が得られる。しかし、選手たちは喜んでいない。優勝以外は見ていないからだ。「サポーターの方が試合後に『祝ACL』みたいなのを掲げてくれて『あっそうか、決まったんだな』と思ったくらい。いまはACLという目標よりも、優勝というもっと大きな目標がある」と大谷。工藤も「ACLは目標でしたけど、いまは次の目標がある。それに向かってやるだけです」とサバサバしていた。試合後のロッカールームでも、ACL出場権が獲得できたことは話題になったが、誰一人、大騒ぎするようなことはなかったという。

 この日、2位のG大阪、3位の名古屋も勝利し、G大阪とは勝ち点2差、名古屋とは同3差と今後も接戦が続く。日本代表のW杯予選と天皇杯でしばらくリーグ戦は中断となるが、残り3試合で柏は清水(11月20日)、C大阪(同26日)、浦和(11月3日)と対戦する。順位は下だが、いずれも侮れない相手ばかりだ。それに柏には、G大阪や名古屋と違ってリーグ優勝の経験はなく、これからさらに心身ともに“未知の領域”に入る。だが、北嶋は「それはどこも通る道」と気にしていない。

 大谷は「残り3試合、特別なことをするのではなく、今まで通りトレーニングをして、試合に向けた準備をするだけ。プレッシャーといわれますが、残留争いのプレッシャーほどしんどいものはない。上位にいると注目されるし、優勝を争えるというのは幸せなこと」と“追われる状況”を楽しんでいることを強調した。残り3試合。楽しみ、幸せを感じながら1戦必勝、そして優勝をつかむ。

(取材・文 近藤安弘)

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