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[大学選手権]慶應義塾大が延長戦の末、福岡大に逆転勝利!!

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[12.18 全日本大学選手権1回戦 福岡大1-2(延長)慶應義塾大 足利]

 冬の大学日本一決定戦である第60回全日本大学選手権大会が18日に開幕した。栃木県・足利市総合運動公園陸上競技場で行われた第1試合では、福岡大(九州2)と慶應義塾大(関東3)が対戦。1-1でもつれ込んだ延長戦の末、途中出場のFW森田達見(3年=川崎F U-18)が延長前半5分に決めたゴールが決勝点となり、慶應義塾大が2-1で勝利した。9年ぶりの出場で8強入り。23日に行われる準々決勝では、関西王者・桃山学院大と対戦する。

 試合は前半4分、早くも福岡大が先制に成功した。右サイドからFW清武功暉(3年=大分U-18)のロングスロー。PA内中央まで伸びたボールをDF串間雄峰(4年=東福岡高)が頭で落とす。これをPA内右で拾った、ルーキーFW山崎凌吾(1年=玉野光南高)が冷静なトラップから、左足を一閃。幸先良く先制した。

 天皇杯では、持ち前の守備力の高さを武器にJ1・大宮を撃破した福岡大。この日も早い時間の先制点を守り切り、逃げ切りたいところだった。しかし、試合後に乾真寛監督が「守りに自信があっただけに、1点を取ってから守りに入りすぎてしまった」と話し、U-22代表候補のDF牟田雄祐(3年=筑陽学園高)が「(天皇杯では)J1、J2と戦って、あれだけの守備ができて。今日は守備に重きを置きすぎた」と悔やんだように、J1勢を撃破した“自信”が裏目に出てしまった。先制後は、攻撃に出る場面は少なく、ひたすら守備に回る時間が続いた。

 対する慶應義塾大は、福岡大の守備を警戒はしていたものの、早い時間の失点にも慌てずにゲームを展開する。開始14分までシュートは打てなかったが、徐々にサイドから攻撃を組み立てるとチャンスを演出。来季プロ入りの両翼、左SB黄大城(4年=桐生一高)と右SB田中奏一(4年=F東京U-18)が積極的に仕掛け、右サイドからはFW風間荘志(4年=暁星高)がドリブルで粘り強く仕掛けた。FW河井陽介(4年=藤枝東)の中盤からのパスに2列目から次々と選手が飛び出し、敵陣に襲い掛かった。それでもゴールは奪えずに、前半は福岡大リードの1-0で折り返した。

 前半終了間際から、激しいボディコンタクトがあり、荒れつつあった試合は、後半に入っても変わらない。審判のジャッジに苛立つ選手たち、プレーとは別のところで激しいやり合いが続いた。それでも、最後尾からチームを支える慶應義塾大の守護神・中川翔太(4年=國學院久我山高)は慌てない。後半18分には、判定に熱くなった両チームが激しく言い争うが守護神は「自分たちのサッカーをやれよ!落ち着いて!」とクールに一言。冷静にチームを鼓舞した。

 すると、ぎりぎりのところで集中力を切らせなかった慶應義塾大にゴールが生まれる。直後の後半20分、MF藤田息吹(3年=藤枝東高)からのパスを受けたMF日高慶太(4年=桐蔭学園高)が冷静にPA左から左足シュート。1-1と同点に追いついた。その後もポゼッションで上回る慶應義塾大がサイドからの攻撃で、福岡大の体力を削る。それでも得点は生まれずに1-1で試合は10分ハーフの延長戦にもつれ込んだ。

 延長戦では、福岡大の運動量が徐々に落ち始める。序盤から相手のサイド攻撃に引きずり回されていた選手たちには疲労の色が見え始めた。試合後、慶應義塾大の須田芳正監督が「PK戦、延長戦も含めてのゲームプランを最初から立てていた。ボールをワイドに取って、相手を動かし、サイドから攻めようというプランを取っていた」と明かしたように、粘り強いサイド攻撃に対応していた影響が、延長戦に大きく響いてきた。

 そして延長前半5分、途中出場の森田が大きな仕事をやってのけた。右サイドから田中、風間とつなぐと、最後は森田がPA内右からドリブルで切れ込み、右足を一閃。放ったシュートはゴールネットを揺らした。慶應義塾大が2-1と逆転に成功した。

 なんとか追い上げたい福岡大は、延長前半7分に故障明けのFW石津大介(4年=福岡大大濠高)を投入する。左足第五中足骨故障の影響で、出場時間が15~20分に限られていたエースFWをピッチへ送った。それでも追いつくことはできず。試合はそのまま終了。慶應義塾大が逆転勝利で準々決勝進出を果たした。

 勝利した慶應義塾大だが、この日の試合で日高が鼻を負傷。おそらく骨折しているため、23日に間に合うかは微妙なところ。選手たちのコンディションには不安が残る。それでもDF笠松亮太(4年=東京Vユース)主将は「きょうは自分たちのサッカーができた」と手ごたえを話すと、「目標は日本一なので、まずは次の1試合1試合をしっかり戦いたい」と力を込めた。

 一方の福岡大は、夏の総理大臣杯に続いて、冬のインカレでも初戦敗退となってしまった。乾監督は「トータル内容。完成度の差でやられた。納得せざるをえない結果」とコメント。それでも「チームとしては来季へ向けて、天皇杯でも多くの経験ができたし、もう一段上を目指せるきっかけはつかめたかな」と前を向いた。

(取材・文 片岡涼)

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