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18歳久保が決勝弾! 京都が横浜FMを延長で下し9大会ぶり決勝。元日決戦は京都vsF東京と初のJ2同士の激突へ!

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[12.29 天皇杯準決勝 横浜FM2-4(延長)京都 国立]

 第91回天皇杯の準決勝が29日に行われ、国立競技場では横浜F・マリノス京都サンガF.C.が対戦した。横浜FMが先制し、京都が逆転したが、後半ロスタイムに横浜FMがFW大黒将志の劇的ゴールで2-2とし、延長戦に突入した。その延長戦で京都は、途中出場の18歳FW久保裕也が決勝弾とダメ押し弾をアシストする活躍を見せ、4-2勝利をもたらした。京都は優勝した2002年以来9大会ぶりの決勝進出。元日の頂上決戦は京都vsFC東京と、史上初のJ2同士の激突となった。

 横浜FMは4-4-2システムを採用。GKは飯倉大樹、DFラインは右から小林祐三、栗原勇蔵、中澤佑二、金井貢史。ダブルボランチは小椋祥平と谷口博之が組み、2列目は右に中村俊輔、左に兵藤慎剛が入った。2トップは小野裕二と渡邉千真が組んだ。

 京都はキーマンのMFチョン・ウヨンが出場停止だった。システムは4-4-2を採用しGKは水谷雄一、DFラインは右から安藤淳、秋本倫孝、森下俊、福村貴幸。ダブルボランチは加藤弘堅と中村充孝が組み、2列目は右に工藤浩平、左に中山博貴が入った。2トップは宮吉拓実とドゥトラが組んだ。

 開始するなり、京都は前線から積極的なプレスをかけ、横浜FMに圧力をかけた。横浜FMはやや押しこまれたが、ショートカウンターで反撃。前半2分、右サイドを小野、小椋、そして小野とつなぎ縦に仕掛ける。小野がクロスを入れ、これは相手DFに跳ね返されたが、こぼれ球を小椋がシュート。枠を外したが、ここで流れが切れたことで、横浜FMは落ち着きを取り戻した。

 前半7分にはPA右の混戦で、最後は谷口がゴール前へパス。渡邉が抜け出し丁寧にゴールネットに突き刺したが、これは渡邉の位置がオフサイドの判定で無効となった。その1分後、京都にチャンスが訪れる。右CKのシーンで森下が頭を合わせたが、惜しくも上に外れた。

 京都は前半8分、右クロスからがPA左外に流れ、最後は福村が左足シュートを放ったが、これは上に外れた。同20分、横浜FMはPA左でFKの好機を得る。俊輔の高精度のキックに、ファーサイドで栗原が頭を合わせたが、マークに囲まれてジャストミートできずに外した。

 前半32分、京都がチャンスを作った。ショートカウンターでPA内右に出たスルーパスに宮吉拓実が反応しシュート。これはDFに足を出されてブロックされたが、運良くPA内中央に流れた。これにドゥトラが反応。押し込もうと駆け寄ったが、あと少しのところで横浜FMの元日本代表DF中澤佑二にクリアされ、先制点を逃した。

 この時間、京都がシュートパスをつなぐ攻撃的なサッカーで押し込んだ。そして前半37分、立て続けに決定機を作った。中村充がPA正面やや左からシュートを放ち、これがDFに当たってPA内左の宮吉のもとへ。ダイレクトでシュートを放ったが、GK飯倉の好セーブに阻まれた。これで得た左CKで、京都はファーに流れたボールをヘディングシュート。これもGK飯倉大樹がファインセーブで弾き出した。

 直後、飯倉のセーブしたボールを横浜FM側がクリアしようとしたが、京都側が奪い返し、右クロスを入れる。そのこぼれ球をPA正面から秋本が強烈なミドルシュートを放った。ジャストミートしたが、惜しくもクロスバーを叩き、ゴールならず。さらに前半39分、右クロスからドゥトラがドンピシャのヘディングシュートを放ったが、コースが甘く再びGK飯倉大樹の好セーブに阻まれた。この時間、まさに京都の時間だったが、決定機を決められなかったことで、悪夢が訪れた。

 前半42分、横浜FMが先制点を奪った。横浜FMが中盤でボールを奪って反撃。中央やや右で俊輔がボールを受けてドリブル突進。守備陣に挟まれたが、DFラインの間に走り込んだ渡邉千真にスルーパスを通した。背番号「9」はGK水谷を交わして左足で流し込み、1-0リードをもたらした。前半は横浜FMが1点リードで折り返した。

 後半、ともにメンバー変更なくスタートした。開始5分、京都が目の覚めるような一撃で同点に追いついた。工藤浩平が中央をドリブル突破し、左足を一閃。強烈なミドルシュートをゴールネットに突き刺し、1-1と試合を振り出しに戻した。

 その後、一進一退の攻防が続く。後半18分、横浜FMはカウンター。小野から俊輔につなぎ、司令塔はドリブル突進。ゴール前左で倒されてFKを得るが、これはゴールには繋げられなかった。同22分、PA正面で受けた俊輔がドリブルで左サイドに流れるふりをし、PA内左の兵藤に浮き球パス。これがラインぎりぎりで通り、兵藤は中央へ折り返したが、渡邉のシュートは角度がなかったこともあり、サイドネットだった。

 この時間、やや横浜FMの時間だったが、京都が逆転に成功した。後半27分、PA右を突進したドゥトラが倒され、FKを獲得。これをドゥトラが芸術的な右足キックでニアサイドに直接沈め、2-1の逆転に導いた。横浜FMは直後に選手交代。小野に代えてMF松本怜を投入した。

 京都は後半34分、右サイドを工藤が仕掛けてクロス。中央でドゥトラがトラップからシュートを放ったが、惜しくもクロスバーを叩いた。横浜FMはその1分後、左サイドから俊輔のクロスに兵藤が飛び込んで頭を合わせたが、GK水谷のパンチングでCKに逃げられた。

 横浜FMは後半37分、谷口に代えて元日本代表FW大黒将志を投入した。横浜FMはなりふり構わず、ロングボール戦術に出る。そして同41分には金井に代えてDF青山直晃を入れた。CBの栗原を前線に上げ、総攻撃を仕掛けるシフトを作った。

 京都は後半42分、この試合初の選手交代を行った。中村充に代えてMF駒井善成を投入した。さらにその2分後、秋本に代えてDF内野貴志を入れた。ロスタイムは4分だった。横浜FMは徹底したハイボールをで仕掛けたが、これが終了間際にようやく実った。

 50分、左サイドから俊輔がクロスをボールを入れると、ファーサイドで栗原勇蔵がヘディングで競り勝ち、中澤佑二がシュート。これはGK水谷に阻まれたが、こぼれ球を中澤と大黒が反応。これに一瞬早く大黒将志が触ってゴールネットに突き刺し、土壇場で横浜FMが2-2の同点に追いついた。直後に笛がなり、試合は延長戦に突入した。

 延長前半、横浜FMは青山が左SBに入り、栗原がCBに戻る形で一旦、4-4-2に戻した。横浜FMはピッチを広く使い、俊輔を起点に攻撃陣がスペースに走る。京都は、前半と同様に前線からの守備とショートパスをつなぐサッカーでゴールを奪いに行った。9分、俊輔の斜めのパスから、左サイドの松本が快足を活かして仕掛けてシュートを放ったが、GK水谷の正面だった。京都は14分、ドゥトラに代えてFW久保裕也を送り出した。延長前半は2-2のまま折り返した。

 延長後半、横浜FMがサイドからの徹底したクロスでリズムをつかむ。京都は森下を中心に何とか跳ね返し、攻撃につなげようとした。横浜FMは7分、俊輔がPA左外で倒されてFKをつかんだ。同8分、俊輔のキックに大黒が頭を合わせたが、クロスバーを叩いてしまった。

 延長後半10分、京都が勝ち越しゴールを奪った。中央やや右で工藤浩平がうまくスルーパスを通し、FW久保裕也が抜け出して突進し右足で流し込んだ。まだ2種登録の18歳が大きな仕事を成し遂げた。そしてこの直後、また18歳が魅せた。15分、左サイドをドリブルで仕掛けて中央へラストパス。4-2とするMF駒井善成のゴールを導き出した。試合はそのまま4-2で終了。京都が優勝した2002年以来、9大会ぶりの決勝進出を果たした。

(取材・文 近藤安弘)

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