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[選手権]「僕らが“おまけ”にならないように」。京都サンガ提携の立命館宇治が苦しみながらも勝利

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[1.2 全国高校選手権2回戦 東京都市大塩尻0-1立命館宇治 柏の葉]

 第90回全国高校サッカー選手権は2日に各地で2回戦を行い、柏の葉公園総合競技場の第2試合では、3年ぶり2回目出場の東京都市大塩尻(長野)と2年ぶり2回目出場の立命館宇治(京都)が対戦した。ともにこれが初戦とあって硬さが見られた中、立命館宇治は後半25分にMF小中優樹(3年)が決めた1得点を守り抜き、1-0勝利を果たした。3日の3回戦では強豪の四日市中央工(三重)と戦う。

 粘りのある守備と集中力が武器の東京都市大塩尻と、京都サンガF.C.のU-15出身者が先発に3人(控え3人)いるなどテクニックが売りの立命館宇治。しかし、試合は立命館宇治にミスが多かったこともあり、立ち上がりから一進一退の攻防が続いた。両チームとも前半は大きな決定機がなく、0-0で前半を折り返した。

 ハーフタイム。立命館宇治の梁相弘監督がゲキを飛ばした。「うちはこういう試合をするために来たんじゃない。しっかりパスを回して、サイドから抉ろうや。全国大会に来たのに、楽しんで積極的にやろう」。これで少し、選手にスイッチが入った。決定機こそ作れなかったが、サイド攻撃が増えてくる。そして後半25分に均衡を破った。左サイドから京都サンガF.C.U-15出身のMF北岡慧悟(3年)がクロスを入れる。相手のクリアをMF小中優樹(3年)が拾って左足で丁寧にゴール右下に沈めた。

 その後、29分にエースFW谷口純基(3年)が肩を怪我してFW上羽陽平(1年)に途中交代するアクシデントがあったが、ペースを乱さずにプレーを続けた。後半38分にMF永井健人(2年)に代えてMF藤井隼人(2年)を、同40分にDF芦田成利(3年)を入れ、粘り強い東京都市大塩尻の攻撃を防いだ。ロスタイム2分の終わりごろ、ゴール前で直接FKを与えるなど苦しんだが、何とか1-0勝利をつかんだ。指揮官は「今日はほんとにかんばしくなかったですね。緊張してたかもしれない。初戦ということで硬さがあった。30点です」と納得のいかない表情だった。

 選手たちは、初戦を突破して安堵の表情を浮かべた。前年度大会では、京都代表の久御山が準優勝しており、背番号「10」を背負うFW樋口尚紀(3年)は「今年の京都は弱いと言われないようにしたかった。京都のライバルたちにも、なんでこいつらが代表やねんと思われないようにしたかった」と明かす。だからこそ、何が何でも初戦で負けるわけにはいかなかった。樋口は「勝ててほっとしました」と吐露した。

 自分たちも全国で活躍したい-。そこにはもう一つの思いが隠されている。「久保くんに、帰らずに見に来てよと言ったんですけどね。さすがに忙しいので帰りました(苦笑)」と梁監督。“久保くん”とは、元日の天皇杯決勝・FC東京戦でゴールを決めたほか、今季はJ2リーグ戦で10得点を記録した京都サンガF.C.の“スーパー高校生”FW久保裕也。立命館宇治は、その久保が通う学校だ。京都サンガF.C.は2006年から提携しており、ユースの選手は同校に通っている。この日のチームメイトの中には、クラスメートもいる。

 学校には、ユース世代の強豪で、日本代表も5選手を輩出する京都サンガF.C.U-18の選手がおり、こちらが脚光を浴びているという。決勝点を決めた小中は「普通、全国に出たので『サッカー部は凄い』と言われると思うんですけど、ユースの選手たちが凄すぎるんで、下に見られている」と明かす。練習試合をしても「サンガの応援が8割です」。樋口も「学校に日本代表が5人いて、J2で10点取っているやつもいるんですからね」と苦笑いを浮かべる。

 そもそも、京都のジュニアユースにいて、昇格を逃した選手も多数在籍している。それだけに、京都サンガF.C.U-18のクラスメートや後輩たちに、負けたくない思いがあるのだ。樋口は「僕らが“おまけ”にならないようにしたい」と意気込む。ただ、敵視しているわけではない。「同じ高校生で、あれだけやれるやつがいるんですから、刺激になっています。自分たちも、という思いはある。まずは1試合1試合、勝っていきたい」と決意を語った。久御山やサンガのように-。立命館宇治はこの日は本来の力を出せなかったが、3回戦の四中工戦では本来の攻撃サッカーを見せるつもりだ。

(写真提供『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 近藤安弘)

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