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[MOM564]四日市中央工MF國吉祐介(3年)_出場停止の決勝を仲間に託したキャプテン

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.7 全国高校選手権準決勝 尚志1-6四日市中央工 国立]

 思わず天を見上げた。2-0の後半16分、四日市中央工(三重)のMF國吉祐介主将(3年)がイエローカードを提示される。羽黒との1回戦に続く今大会2度目の警告。このまま勝ち上がっても、決勝戦は累積警告により出場停止となることが決まった。

「この試合が最後になったので、悔いなくやろうと思った」。必死に気持ちを切り替え、チームの勝利のために全力を尽くした。4-0の後半36分にDF坂圭祐(1年)が交代すると、ボランチからCBにポジションを下げる。「去年まではCBをやっていたので。相手がパワープレーに出てきたので、自分が跳ね返そうと思った」。尚志の反撃を1点に食い止め、6-1の大勝で20大会ぶりの決勝進出を決めた。

 樋口士郎監督が「うちにとっては心臓以上の存在」と言う大黒柱のキャプテンが、先発11人に2年生6人、1年生2人が並ぶ若いチームをまとめてきた。「上下関係がなく、一体感がある」(樋口監督)チームをつくりあげたのが國吉だった。

「自分はキャプテンという柄でもないし、チームを盛り上げて、明るくすることを心掛けていた。メンバーに2年生が多いし、上下関係が厳しかったら、後輩が自由にプレーできない。上下関係を緩くしたというか、僕らは後輩にあたることもないし、自然とそういう雰囲気ができた」

 小倉隆史氏以降、四中工のエースナンバーとなった背番号17を中盤の選手で初めて任された。「新人戦のときに監督から言われて、最初はビックリした。エースの柄じゃないし、戸惑いもあった。その代のエースの人が付ける番号だし、小倉さんからずっとFWの選手が付けていたから」。伝統の17番を背負い、キャプテンとしての重責を担い、小倉氏が高校3年だった91年度大会以来の国立、そして決勝へ導いた。

 試合後、3年生からは「3年間、お疲れさま」、後輩からは「僕たちががんばるので」と声をかけられたという國吉は「応援席で信じて応援している」と返し、DF西脇崇司(3年)にキャプテンマークを手渡した。

 20大会ぶりの優勝を懸けた市立船橋との決勝戦。「仲間を信じるだけです」。たとえピッチに立つことはできなくても、気持ちは一つだ。初の単独Vで四中工の歴史を塗り替えたとき、日本一のキャプテンとして國吉の名前も高校サッカーの歴史に名を刻むことになる。

(取材・文 西山紘平)

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