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[ミズノカップIN高知]]プロ候補多数!“浪速の技巧派軍団”興国が広島観音撃破

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[3.31 ミズノカップIN高知 広島観音0-2興国 春野球]

「ミズノカップU-18 IN 高知2012」予選リーグで全国経験のない興国(大阪)が昨年プレミアリーグウエストだった広島観音(広島)に2-0で快勝。2連勝とした。

「野洲、静学には負けない」と意気込む“浪速の技巧派軍団”だ。実績のないチームではあるが、スカウト陣の評価急上昇中の10番FW山本祥輝に加えて古橋匡梧と金容輔の50m走5秒9の快足コンビ、そして「スペインが認めた」逸材MF和田達也、精度の高いパスを操るMF新屋晴輝(全てに新3年)、そして2年生ながらすでにJ注目株となっているCB北谷史孝と前線から最終ラインまで注目選手たちの名が並ぶタレント軍団だ。

 集中力高く、押し込まれても塚川孝輝兼子陽太朗(ともに新3年)の両CBを中心に的確なポジショニングから局面で数的優位をつくる広島観音の堅い守りにややてこずった。それでも山本が意外性十分のドリブルで突っかければ、新屋と和田のホットラインが精度と質・量兼ね備えた動きで広島観音を上回る。後半、左中間から山本が出したラストパスに右サイドから飛び込んだSB水落絢暉が押し込んで先制。試合終盤には右サイドで古橋が2人をかわして縦にえぐると、その折り返しを新屋が押し込んで2-0で勝った。

 興国は毎朝30分間の朝練でドリブル技術の向上を徹底。それも通常のサッカーボールよりも小さなボールを思い通りに扱えるようにこだわって技を磨いている。また放課後はフットサルコート大のグラウンドで「ノンストップで30分間、4対4や3対3をやっています」と内野智章監督がいうように、選手たちは体力が尽きるまでハイプレスをかけ続け、GKやDFまでもがそれをドリブルで剥がすテクニックを身につけている。この日も北谷が再三ディフェンスラインを飛び出してファーストブレイクに成功。相手選手を動かすために運ぶドリブル(ドライブ)によって数的優位を作り出す興国は、そこからの技術と豊富なアイディアで魅力的なサッカーを展開していた。

 毎年12月にスペイン遠征を行うチームに対し、指揮官は「スペインで声を掛けられる選手になろう」とアドバイス。実際、今年は和田がテストの打診を受けて4月に渡欧することが決まっているという。スペインで見せたパフォーマンスは現地から高い評価を得て「何でそんなに走れて、上手いんだ」と逆に質問されることも。内野監督は「まだ全国に出ていないので遠吠えになってしまうかもしれませんが、日本の高校サッカーで勝つためにはリスクを回避すればいい。でもスペインでリアクションをやっていたら、(自分達の守備陣が)相手の攻撃を止められない。それよりも日本人の特性、90分間走れることとテクニックは通用する。現地で香川がなぜ人気なのか教えてもらったのですが、その理由は『彼は南米の選手のようにテクニックがあって、ドイツの選手よりもハードワークしているから』」。視線を海外へ向けてスケールの大きな選手に成長しようとしている成果がタレントたちを生み出している。

 バルセロナのフットサルチームが取り入れているという、ハイプレッシャーの中で体力が尽きるまで続ける3対3、4対4で身につけたどこにも負けない技術と体力とタレントは間違いなく全国レベル。注目の山本は「(今年のチームは)みんな一人ひとりが技術が高くて、1対1の勝負で勝てる強さがある。自分自身は(今年)プロになって世界で通用する選手になりたい」。リスクの大きなサッカーをしているため、奪われてから一気にピンチを迎えることもあった。また決定力の低さは大きな課題。そしてこの日は九州国際大付との予選リーグ最終戦を1-1で引き分け、得失点差によって無敗のまま敗退することが決まったものの、今年全国で驚きを与えても全くおかしくない好チームだった。

(取材・文 吉田太郎)
ミズノカップIN高知2012特設ページ

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