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[プレミアリーグEAST]「この勢いは止まらない」東京Vユースが失速・清水ユースに5発快勝

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[4.28 プレミアリーグEAST第3節 東京Vユース5-0清水ユース ヴェルディグラウンド]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2012 プレミアリーグEASTは28日、第3節1日目の4試合を行い、2位・東京ヴェルディユースは11年U-17W杯日本代表MF中島翔哉(3年)の先制FKなど5-0で9位の清水エスパルスに快勝し、暫定首位に立った。

 2得点を挙げて得点ランキングトップを走る中島とMF山口陽一朗(2年)のダブルボランチを中心に試合を支配し続けた東京Vが、強豪対決を5-0で制した。CB吉野恭平主将(3年)をU-18日本代表のスロバキア遠征で欠く東京Vユースは、MF楠美圭史(3年)を3バックの中央に入れた3-4-1-2システムで対応。ドリブラー揃うチームは時にドリブルでマークを外しながらボールを散らすと、再三スペースへ飛び出した右の安西幸輝(2年)、左の品田賢祐(2年)の両ワイドから攻撃のギアを上げていった。

 一方、トップチームに帯同してユースチームの練習に参加していないU-19日本代表MF石毛秀樹(3年)と、怪我のFW加賀美翔(3年)を欠く清水は左SB水谷拓磨、MF宮本航汰の注目ルーキー2人を先発起用。水谷拓が対人能力の高さを披露したほか、相手の連係の乱れを逃さずにインターセプトしたチームは鋭いカウンターから一気にシュートまで持ち込んでいった。8分には右サイドを突いたFW水谷和磨(3年)の折り返しからFW鈴木聖矢(2年)が左足シュート。9分にもMF佐藤飛天(3年)の左足シュートがゴールマウスを捉えた。12分にキーマンのMF藤嵜智貴(3年)が膝の負傷で交代するアクシデントに見舞われたが、中央を固め、ドリブルで仕掛けてくる相手に食らいつき、決定的なシュートを撃たせなかった。

 ただ、冨樫剛一監督が「とにかくボールを走らせ続けること、運動量も全員が均等にやろうとしていた」という東京Vは、自分たちで上手くペース配分しながらボールを支配。ショートパスで左右にボールを動かしながら、局面でのドリブル突破、サイドのスペースへのスルーパスで相手に圧力をかけると同時に、夏日となった暑さの中で相手を振り回して体力を削り取っていった。思い通りの展開で試合を進めたチームは、前半終了間際に10番の鮮やかな一撃でスコアを動かす。42分、東京VはFW菅嶋弘希(2年)がゴール正面左寄り、PAやや外側の位置でFKを獲得。これを「壁を越えれば入ると思っていた」という中島が短い助走から右足シュートをゴール左隅へ難なく沈めてリードを奪った。

 対して清水は後半4分にドリブル突破を仕掛けた鈴木聖がPAで相手DFと交錯。この際に脳震盪を起こしてそのままピッチを後にしてしまう。2度のアクシデントに加えて、気温28.2度の暑さ、そして相手にボールを支配されて走らされたチームは後半、一気に失速してしまった。

 後半のシュート数は14-1。後半は揺さぶりについてこれなくなった相手に全くボールを触らせなかった東京Vのゴールラッシュとなった。まずは5分、左サイドを駆け上がった品田のラストパスを中央へ飛び込んだFW高木大輔(2年)が右足ダイレクトで押し込んで2-0。さらに11分には中盤でのインターセプトからドリブルで持ち込んだFW前田直輝(3年)が、豪快な左足シュートをゴール右隅へ叩き込んで3点差とする。さらに選手3人を入れ替えた後の27分には中央から切れ込んだ中島がミドルレンジから右足シュートをゴール左隅へ叩き込むファインゴール。そして34分、スルーパスから1年生FW中野雅臣が左足シュートを決めてゴールラッシュを締めくくった。

 清水は前線で水谷和がプレッシャーをかけ続け、CB西村佳祐(3年)らが何とか攻撃を跳ね返していたが、後半は全くボールに触ることができず、球際での厳しさも欠いた。やや戦意を失っているようにも映ったプレーに対し、サポーターからは「もっとやる気出せよ。応援してんだから気持ち見せろよ!」と厳しいゲキ。大榎克巳監督は「一人ひとりがやれて(戦えて)いない訳ではない」と説明したが「チームとして機能していない。(現時点では)チームとして、個人としてこのくらいの力の差はある」と完敗を認めていた。

 一方、東京Vの冨樫監督は「エスパルスは石毛クン(トップチームに帯同しているため)がいない。(5-0で勝ったが)下部組織としてはエスパルスの方がいいかなと思う。ウチも1人でも2人でも(トップチームに昇格して)いなくなるようにしたいですね」と快勝したこと以上に選手育成の重要性を説く。試合直後に中島とGKポープ・ウィリアムス(3年)がトップチームの練習試合へ向かったように、チャンスがあればどんどんトップチームに選手を送る考え。今後トップチームの活動を優先して公式戦を欠場する選手も出てくるかもしれない。ただ、この日1年生FW中野が結果を出したように、層の厚さはライバルたちを上回るだけに不安はなさそうだ。

 前線の選手が競い合うように得点を重ねた攻撃力はやはり脅威。3戦13発はライバルたちに大きく差をつけている。高木は「新人戦で優勝してからの勢いを継続できているので、この勢いを1年間継続する。(中島、前田、菅嶋ら前線の)競争意識があれば、きょうのようにたくさん点につながる。みんなの競争意識があれば、この勢いは止まらないんじゃないかなと思います」。昨年、一昨年と夏の日本クラブユース選手権を制しながら、その後勢いを継続することができなかった。ただ今年は勢い十分の前線中心に勢いを12月まで継続させる。

[写真]5発快勝の東京Vユース。前田は3試合連続ゴール
(取材・文 吉田太郎)
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