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J2降格のG大阪が完封勝利で3大会ぶり決勝へ!!

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[12.29 天皇杯準決勝 G大阪 1-0 鹿島 エコパ]

 天皇杯は29日に準決勝を行い、ガンバ大阪(J1)は鹿島アントラーズ(J1)と対戦した。前半23分にショートコーナーからMF遠藤保仁のゴールで先制したG大阪は、その後もチャンスをつくったが、追加点は挙げられないまま前半を1-0で折り返す。後半に入ると、鹿島に押し込まれる展開となったが、G大阪は最後まで集中した守備を見せた。今季のリーグ戦では守備が踏ん張れずに勝てない試合が続き、J2降格の決まったG大阪。しかし、2012年最後の試合で見事に鹿島を完封し、優勝した第89回大会以来、3大会ぶりとなる決勝に駒を進めた。

 G大阪は準々決勝のC大阪戦(2-1)で警告を受け、出場停止となったFWレアンドロに代わり、家長昭博が1トップに入った。また、中盤ではMF明神智和、MF佐々木勇人に代わりMF武井択也と出場停止明けのMF倉田秋が先発に名を連ねた。対する鹿島は準決勝の千葉戦(1-0)と同じメンバー、同じ4-2-3-1の布陣で準決勝に臨んでいる。
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 開始2分、鹿島はMF柴崎岳がハーフウェーライン付近から超ロングシュートを放つ。枠を捉えたシュートを慌てて処理したGK武田洋平が、辛うじてパンチングで枠外へ弾いた。ところが試合はゴールキックからのリスタートとなってしまう。開始早々のミスジャッジだったが、鹿島は動じない。同4分にはMFドゥトラがマイナスに折り返したボールをMFジュニーニョがシュート。しかし、これは枠を捉えられなかった。

 徐々にG大阪もボールを回して反撃に出る。11分、左サイドで快速を飛ばして駆け上がったDF藤春廣輝が、ゴール前にクロスを入れる。これを受けた遠藤が左足でシュートを放ったが、ボールはGK曽ヶ端準の正面に飛び、決定機を生かせなかった。

 風下に立つ鹿島は、距離のある位置からでも積極的にシュートを狙う。前半18分には速攻から生じたこぼれ球を拾ったFW大迫勇也が、思い切りよくシュートを放つ。その1分後にもMF小笠原満男がDFのクリアーしたボールをダイレクトで叩いたが、いずれもクロスバーを越えて行った。

 ボールを保持しても、なかなかシュートに持ち込めなかったG大阪だったが、前半23分に先制点を挙げる。左CKを得ると、遠藤は近寄ってきたMF二川孝広にボールを預ける。二川が遠藤にボールを戻すと、背番号7は右足を振り抜く。きれいな放物線を描いたボールは、そのままゴールに吸い込まれていった。司令塔のゴールで先制し、勢いに乗るG大阪は同25分にもPA内で家長がシュートを放ったが、これはクロスバーに嫌われた。

 攻め続けるG大阪は27分にも、遠藤の浮き球のパスがDFに当たってPA内にこぼれたところを今野が右足で叩く。ボールはゴールマウスに飛んだが、GK曽ヶ端に枠外へ弾き出された。さらに34分にも左サイドでFKを得ると、遠藤が直接ゴールを狙う。GK曽ヶ端が前に弾いたボールに家長が詰めたが、シュートは相手に当たり2点目は挙げられなかった。

 前半35分には鹿島も大迫のドリブルからパスを受けたMF遠藤康がシュート。鋭いボールがゴールに飛んだが、GK武田の正面を突いた。同44分にも、ジュニーニョからのロングパスを前線で受けた大迫が、キープしてから走り込んだ味方にパス。そこから、こぼれたボールを大迫がループシュートを放ったが、ボールはクロスバーを越えて行った。ロスタイムにも小笠原のCKを大迫がヘッドで合わせたが、ボールは右ポストを叩き、同点に追いつくことはできなかった。

 後半の開始と同時に、鹿島は遠藤を下げて、MFレナトを起用する。2列目はジュニーニョ、レナト、ドゥトラとブラジル人が3人並ぶ形になった。後半3分には左サイドを崩し左SB新井場徹がクロスを入れる。右SB西大伍がボールを受けたが、シュートは二川にブロックされた。その後も鹿島は高い位置からのプレッシングが機能し、G大阪陣内で試合を進める。前半はほとんどなかったショートカウンターも見られるようになった。

 後半15分にはG大阪にアクシデントが起こる。最終ラインの裏に出されたボールに反応したレナトを追ったDF中澤聡太が負傷。プレー続行は不可能となり、DF丹羽大輝との交代を強いられた。直後の17分には、鹿島もジュニーニョを下げて、FW興梠慎三をピッチに送り出した。同19分には興梠が強烈なシュートを放ったが、ボールはわずかに左へ外れる。その2分後にもドゥトラがボールを持ち込み、シュートを放ったがDFにブロックされた。

 後半23分にはG大阪の松波正信監督が動く。倉田を下げ、MF佐々木勇人を起用した。鹿島が押し込む展開は変わらず、同27分には大迫がドリブルからシュートを放ったが、ボールはGK武田にキャッチされる。後半32分には鹿島のジョルジーニョ監督が動いた。ドゥトラを下げてMF本田拓也をボランチに起用し、柴崎を2列目に上げる。同34分には周囲のフリーランニングもあり、シュートチャンスを得たレナトがPA外から左足でシュート。しかし、これもGK武田の正面に飛び、ゴールを挙げられない。

 残り10分、G大阪は二川に代えてMF大森晃太郎を起用し、交代枠を使い切った。スピードのある選手を入れて速攻を狙うG大阪は、なかなかボールを保持できない。それでも、最後まで守備が踏ん張ったG大阪は、鹿島に得点を与えることなく90分を終え、1-0で元日の決勝戦進出を決めた。3度目の天皇杯制覇を目指す蒼黒軍団は、この後に行われる横浜Fマリノス対柏レイソル戦の勝者と、2013年1月1日の決勝で対戦する。
(取材・文 河合拓)

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