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俊輔、準々決勝敗退も表情明るく「ジュビロとして得たものは大きい」

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天皇杯初先発となったMF中村俊輔

[10.25 天皇杯準々決勝 横浜FM1-0磐田 ニッパツ]

 あと一歩届かなかった。ジュビロ磐田は若手主体で天皇杯を勝ち進んできたが、名波浩監督はこの大一番でMF中村俊輔をスタメンに起用。2003年度以来、14大会ぶりのタイトルを目指しての抜擢だったが、惜しくも準々決勝敗退。指揮官は「失点するまでは明らかに我々の試合だった」と唇を噛んだ。

 ブーイングも浴びた古巣戦、前半終了間際の44分には“伝家の宝刀”で観衆を唸らせた。約40mの位置で得たFKのチャンス。中村が左足で直接狙うと、精度の高い弾丸シュートは枠を捉え、ゴール上部に向かって伸びたが、GK飯倉大樹のファインセーブに阻まれた。

 スコアレスで折り返した後半も攻守に魅せた。後半9分、横浜FMはMFダビド・バブンスキーが蹴り込んだ右CKをFW富樫敬真がヘディングで叩いたが、ゴールライン際でカバーに入った中村がスーパークリア。後半15分にはワンツーの形で抜け出し、左足で浮かせたミドルシュートを狙ったが、わずかにクロスバーを越えた。

 試合中は若手選手に積極的に声をかけ、後半31分までプレー。しかし、交代直後の後半36分に痛恨のオウンゴールを喫し、チームはそのまま0-1で敗戦。試合を振り返った中村は明るい表情で「ジュビロとして得たものは大きい」と、この一戦の意義を説いた。

「普段出られない選手が躍動していた。一緒に出ることがない選手と70分試合に出た。試合でしか習得できないものがある。彼らにとってもジュビロにとっても大きい90分だったと思う。マリノスもいい選手が揃っているけど、僕らも僕らでしっかり足元を見ている。勝てなかったけど得たものはすごく大きかったと思う」

 チームとしての“収穫”を提げ、中3日で迎える29日のJ1第31節では再び横浜FMと対戦する。「この悔しさを次にぶつける。逆に時間がなくていい。リーグ戦はあと少し、ジュビロとして前に進む道はできている。あとはどう進むかだけ」。背番号10は終始すがすがしい表情で前だけを見据えていた。

(取材・文 佐藤亜希子)
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