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日本代表選手輩出、関東1部10年残留…強豪校になった桐蔭横浜大が重視する「1対1」「人間性」

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桐蔭横浜大は1回戦で立正大と対戦する

[5.8 神奈川県サッカー選手権決勝 相模原0-3桐蔭横浜大 ニッパツ]

 この日も1対1を意識することで、プロクラブであるSC相模原を上回った。「ハードワークをして、まずは守備で圧倒しよう」を合言葉に戦った桐蔭横浜大は、前半13分に相手への鋭いチェックからボールを奪ったMF楠大樹(4年=桐生一高)が先制点を記録。狙い通りのプレーから先制点が決まると、その後も走力で圧倒。後半には2得点を決めて突き放し、完勝した。

■1対1で上回り続け

 個を育てることを一番に意識しているという。「11人が1対1で上回り続ければ、相手が戦術で上回ることはあり得ない」。これは1998年に本格強化を始めた当時の監督だった風間八宏氏の言葉。2期生として入学した安武亨監督は、その教えを忠実に守りながら指導にあたっている。

 また安武監督は人間性の部分を鍛えることも重要になると力説する。「サッカー選手である前にいち社会人であれ」。これは安武監督がプロで在籍したサンフレッチェ広島時代に、顧問を務めていた今西和男氏の言葉。「人間性がない人は何をやってもダメ」。ハイブリッドな考えを持つ指揮官も下、桐蔭横浜大は確実に強豪校への階段を上っている。

■新鋭から強豪へ

 桐蔭横浜大が関東大学リーグ1部に初昇格したのが2013年。そこから10年間、一度も降格がない。さらにOBのDF山根視来(川崎F)が日本代表の常連になり、MF橘田健人やDF大崎玲央がJ1クラブで中心選手として活躍。そして今季はすでにすでに主将DF中野就斗(4年=桐生一高/広島内定)と10番MF水野颯太(4年=常葉大橘高/甲府内定)がJクラブ入りを内定させるなど、勢いはとどまることを知らない。

 加えて今季はさらにJリーグ入りが期待される選手が多数いる。FW山田新(4年=川崎U-18)がもちろん、MF高吉正真(4年=川崎U-18)、GK北村海チディ(4年=関東一高)、DF羽田一平(4年=作陽高)、FW寺沼星文(4年=FCトリプレッタユース)、FW左部開斗(4年=流通経済大柏高)といった選手の進路に注目が集まっている。

 プロへのアピールという意味で、天皇杯出場はこの上ないチャンスとなる。安武監督は「山根なんか(天皇杯で)ベルマーレとやれたことで入れて、フロンターレに行って、今では日本代表でやっている。我々はストーリーを持っている。まずは次(立正大戦)に勝って、(2回戦で)コンサドーレさんと試合が出来ればいい。全力を尽くして勝つことが出来れば、周りの皆さんに評価してもらえると思う」と意識を十分にすると、すでに甲府内定を決める水野も「J1とはなかなか対戦できない。コンサドーレ戦まで行けるように頑張りたい」と仲間への“アシスト”を約束した。

(取材・文 児玉幸洋)

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