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[天皇杯]前回王者が大苦戦!鹿島はPK戦の末、国士舘を振り切る

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[11.2 天皇杯4回戦 鹿島2-2(PK3-0)国士舘大 カシマ]

 第88回天皇杯全日本サッカー選手権大会は2日、各地で4回戦を行い、J1勢が登場。カシマスタジアムでは前回王者の鹿島アントラーズと国士舘大が対戦し、2-2のまま延長戦でも決着が付かず、PK戦の末、鹿島が3-0で勝った。15日の5回戦では5日に行われる清水対千葉の勝者と対戦する。

 鹿島は腰痛のMF本山雅志が欠場した以外はベストメンバーを組んだ。システムは4-4-2で、GK曽ヶ端準、4バックは右から内田篤人、岩政大樹、伊野波雅彦、新井場徹。中盤は青木剛と中後雅喜のダブルボランチで、右にダニーロ、左にマルシーニョが入り、2トップはマルキーニョスと興梠慎三だった。

 国士舘大は高い位置からのプレスとファウルを辞さない激しいチェックで鹿島にプレッシャーをかけた。奪ってからの速攻もシンプルながら効果的で、最初の決定機も大学チームがつくった。前半15分、自陣ゴール前での相手FKからカウンターを仕掛けると、右クロスのこぼれ球をFW武岡優斗がつなぎ、ゴール正面でフリーのMF大竹隆人が右足でシュートを打ったが、GK曽ヶ端が身を挺してセーブ。国士舘は絶好の先制機を逃した。
 個の能力で上回る鹿島はボール支配率を高め、着実にチャンスをつくっていく。前半18分には青木のサイドチェンジから興梠が落とし、ダニーロが右足ボレーで狙うがクロスバー。同31分には中後のスルーパスに抜け出した青木が、同32分には左サイドを突破した興梠のパスを受けたマルシーニョが決定機を迎えるが、ともにゴールの枠を捉えきれない。
 必死の守備で鹿島の攻勢に耐えた国士舘は前半39分、相手GKのキックをカットしたMF小島暢明がFW高橋大につなぐと、高橋が左足で目の覚めるような弾丸ミドルを叩き込み、先制に成功した。
 しかし鹿島も前半43分、中後の左FKをダニーロがバックヘッドで沈め1-1の同点。狙い通りの試合展開で、そのまま1-0で前半を折り返したかった国士舘にとってはセットプレーからの悔やまれる失点となった。

 後半に入っても国士舘の運動量は落ちず、球際でも激しく戦った。鹿島はマルシーニョが決定機にシュートミスをするなど拙攻が続く。そして後半14分、またしても国士舘がリードを奪う。右サイドからのクロスに左サイドバックのDF天野恒太が猛然と駆け上がり、左足ダイレクトでニアサイドを破った。
 再び勝ち越された鹿島は後半17分、完全にブレーキになっていたマルシーニョをMF野沢拓也に交代。しかし同23分、興梠のヒールパスを受けた野沢のシュートもGK山田賢二が素晴らしい反応でCKに逃れた。
 興梠に代えてFW田代有三を投入した鹿島はなりふり構わずゴールに迫る。すると後半27分、PA内に突進したマルキーニョスがGKに倒され、PKを獲得。これを自らゴール左に叩き込み、2-2の同点に追いついた。
 それでも国士舘は気落ちすることなく、積極的なプレーを続けた。連動したプレスを続け、攻撃でもサイドを崩してチャンスをつくった。後半33分にはDFをかわした武岡が決定的な右足シュートを放った。守っても後半44分、マルキーニョスのスルーパスに田代が抜け出しかけたところでGK山田が鋭い飛び出しでピンチを防ぐ。後半ロスタイムにはロングフィードに途中出場のFW松本祐樹が抜け出し、DFと競り合いながら左足で狙ったが、シュートは惜しくもゴール右へそれた。

 試合は2-2のまま延長戦に突入。鹿島は延長前半8分、立て続けに決定機をつかむが、これを生かせない。野沢のシュートがGKにはじかれると、こぼれ球を押し込もうとした田代のシュートもDFが体を張って防いだ。その直後にはマルキーニョスが右サイドを突破し、野沢からフリーの田代にパスが回ったが、田代のシュートはゴール右に外れてしまう。
 延長後半に入ると、さすがに国士舘の運動量も落ち、防戦一方となる。それでもゴール前では体を張った粘り強いディフェンスを続け、最後までゴールを許さず、PK戦に持ち込んだ。

 しかし、国士舘の粘りもここまでだった。PK戦では先攻の国士舘が1~3人目まで全員がGK曽ヶ端に止められ、逆に後攻の鹿島はマルキーニョス、野沢、ダニーロと全員が成功し、3-0で国士舘を振り切った。

<写真>鹿島・曽ヶ端が国士舘・武岡のPKをストップ!曽ヶ端は3本全てを止め、勝利の立役者に
(取材・文 西山紘平)

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