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福岡大J連破ならず、延長3発の湘南が4回戦へ

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[11.16 天皇杯3回戦 福岡大0-3(延長)湘南 NACK]

 第90回天皇杯全日本サッカー選手権大会3回戦が16日に行われ、大学勢で唯一勝ち残っていた福岡大は埼玉県さいたま市のNACK5スタジアム大宮で湘南ベルマーレと激突。延長戦の末、0-3で敗れて敗退した。勝った湘南は、12月17日の4回戦で川崎フロンターレと戦う。

「善戦では良しとしないと選手に言っていた」と福岡大の乾真寛監督。PK戦にまでもつれ込んだ大宮アルディージャとの3回戦を突破してきた福岡大の次のターゲットはJ2で現在13位の湘南だった。13日に横浜FCと神奈川ダービーを戦っている湘南はMFアジエル、MF坂本紘司、FW田原豊と主力アタッカーたちがベンチスタート。その相手に対して福岡大はU-22日本代表候補DF牟田雄祐串間雄峰の両CBとアンカーのMF假屋健太のトライアングルを中心に湘南にゴールを許さない。

 MF菊池大介を筆頭に縦へのフリーランニングが多く、DF間に飛び込んでくる相手に苦しめられたものの、牟田は「ゴール前での気持ちの部分では上回っていた。120%でやれた」。その言葉通り、14分、19分とPAにボールを運ばれたが、距離を詰めてラストパスを出させず。37分には縦パスで飛び出したFWルーカスにGKがかわされたものの、ラストパスを受けた菊池の左足シュートは串間が身体を張ったブロックでゴールを守った。

 ただ攻撃面ではエースFW石津大介を故障で欠いていることもあり、湘南ディフェンス陣を脅かすことができない。ポゼッションに課題を残すチームは立ち上がりからシンプルに相手SBの背後を狙うものの効果的な展開ができず。インターセプトから速攻を仕掛けてショートパスをつなぐ場面もあったが、ラストパスが乱れるなど前半はわずかシュート2本に終わった。後半は3分にショートカウンターから假屋が攻め上がり、FW山崎凌吾が左足を振り抜くもシュートはゴール左へ外れ、19分に右SB岸田翔平の放った強烈な右足ミドルも枠を捉えることができない。そして23分にはMF田中智大とのワンツーから日本代表MF清武弘嗣の弟、MF清武功暉がPAへ飛び込んだがこれも得点につなげることはできなかった。

 一方の湘南は後半開始から田原、同28分からはアジエルをピッチへ送りだして攻撃の圧力を強める。後半終了間際には波状攻撃で福岡大をゴール前に釘付けにした。ゴール前でエンジの壁となって何とか延長戦に持ち込んだ福岡大だったが、Jクラブ連破を果たすことはできなかった。延長前半4分、湘南は右サイドタッチライン際でボールを持ったFW高山薫がPAへ浮き球を入れると、これをSB鎌田翔雅が反転しながらゴール前へ折り返す。ニアサイドに飛び込んだのは、流れの中でPAにまで駆け上がっていたCB大井健太郎。福岡大の乾監督は「(大井に)最後尾からあの一瞬だけ上手く上がられてしまった。わずかではあっても、あれがプロとアマチュアの差」と認めたように、突如現れた背番号3に対応できなかった福岡大は、大井に痛すぎる先制ゴールを頭で押し込まれてしまった。

 堅守の福岡大に手を焼いたものの、湘南・反町康治監督は「後半の途中くらいから完全にボール運びでアタッキングサードに入っていくのが多くなったので、ジャブのように効いてきて、最後の15分くらいでいけるんじゃないかなというのもあった。(90分間ではなく)120分じゃないと難しいかなと」。思惑通りに延長戦でリードを奪った湘南は、延長後半4分にも右CKを田原が頭でつなぎ高山が右足で2点目のゴール。12分には高山のスルーパスに反応した菊池の獲得したPKを、アジエルが左足で決めて勝負を決定づけた。

 福岡大・乾監督は「悔いはありませんし、きょうは参りました」。大エースFW永井謙佑(現名古屋)が卒業し、チームを一からつくり直してきている福岡大。それでも今大会では大宮を120分間で1ゴールに封じ、この日は90分間湘南を抑え続けた。J相手に手ごたえをつかんだ武器。ゴール裏に小さく掲げられていた「ACL」の大きな夢は果たせなかったものの、選手たちはすでに出場権を獲得している全日本大学選手権へこの経験をつなげる。

(取材・文 吉田太郎)
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