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京都GK水谷が再三の好セーブで完封に導く。雄叫びも連発し「変なGKがいるなと思ってもらえれば」

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[12.24 天皇杯準々決勝 湘南0-1京都 等々力]
 守護神がゴールマウスに鍵をかけた。セーブするごとに何度も雄叫びを上げ、最後尾からチームを盛り上げた。1-0の完封勝利をつかんだ京都サンガF.C.だが、後半は湘南に攻め込まれ、大きなピンチを何度か迎えた。そのたびにGK水谷雄一がファインセーブで救った。
 後半27分、京都はスルーパスを通され、水谷は湘南の右WB臼井幸平と1対1となったが、タイミングよく飛び出してシュートを足でセーブ。同30分にはクロスから長身のFW田原豊にヘディングシュートを打たれたが、これは鋭く飛びつきパンチング。ロスタイムにはカウンターからシュートを打たれたが、冷静にキャッチした。まさに守護神らしい活躍だった。
「相手がどこかであろうと、自分たちのことを意識してやっていた。いつもどおりDF陣がうまくカバーしたり、体を張ったりしてくれた。ほんと助けてもらった感じです。ファインセーブの連発? 自分が目立つのは良くないんですけど、1試合のうちにピンチは何回かある。そこは自分の仕事なので自信を持ってやっている」
 水谷は謙遜気味に話したが、さすがのプレーだった。2、3点を食い止めたと言っても過言ではない。大木武監督も「常に声を出してくれる。年齢的なこともあるでしょうが、例えば連敗をしているときや、なかなかリーグ戦で勝てなかったときは、例えば練習が午後からなのに、彼はアダウトGKコーチと午前から練習している。私が止めろというぐらいやるんです。素晴らしい選手だと思う。そういうところがゲームの中で、練習の中で、チームに伝わっていると思う」と最大級の賛辞を送った。
 指揮官の評価を聞かされた本人は「練習が楽しいんですよ。それだけです。ホントは止めたくないんですけどね、ボスに言われたら止めないといけないですから。自分は若いと思ってやっていますからね。まあ、プレーできている喜びがあります」と照れ笑いを見せたが、まさに“努力は裏切らない”ということを体現してみせた。こんな頼もしい守護神がいれば、フィールドプレーヤーは安心して戦えるだろう。
 セーブ後は、オーバーアクションといえるくらいの雄叫びを上げるなど、存在感を発揮した水谷。「自分がアクションを起こすことで、チームが点を取に行ってくれたりすればいいなというアクションでした。大袈裟くらいにやった。海外のGKはよくやることですけど、日本のGKはおとなしい。こうやって(天皇杯は)テレビで放送してもらったりしますけど、変なGKがいるなと思ってもらえれば」。29日の準決勝は横浜FMと対戦する。「またJ1が相手で嬉しい。チャレンジャー精神で頑張りたい」と守護神は目をギラリと光らせた。
(取材・文 近藤安弘)

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