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[選手権予選]不調に苦しんだ滝川二、2年ぶり全国へ:兵庫

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[11.11 全国高校選手権兵庫県大会決勝 滝川二4-1神戸弘陵 ホムスタ]

 第91回全国高校サッカー選手権大会の兵庫県大会は11日にホームズスタジアム神戸で決勝を行い、滝川二が4-1で神戸弘陵を下し、2年ぶり17回目の全国大会出場を決めた。

 序盤は後方からのロングボールで相手DFの背後を狙う滝川二が試合を支配。6分、GK中村正識がキャッチから素早く前線へフィードを送り、前線のFW谷本優へ。素早く左サイドのスペースへスルーパスを送り、フリーで抜け出したFW星野遼河が反応するも、神戸弘陵のGK鈴木雄大が前に飛び出しセーブした。その後も滝川二は左サイドのDF山本和也を起点にゴールを伺うも、神戸弘陵DFの前に防がれてしまう。

 1点が奪えない苦しい状況の中、流れは次第にロングボールのセカンドをうまく拾い始めた神戸弘陵へと傾いていく。34分、左サイドでMF江坂巧がボールを持つと、ドリブルで中へ切り込みゴール前へとスルーパス。このパスをMF南貴之がPA中央で受けて、シュートを狙うもGKの正面を突いた。

 神戸弘陵の流れのまま前半が終わるかと思われたが、アディショナルタイム突入後の41分、滝川二は中央のMF太田皐介から左に開いたFW寺田凌へとパス。対応が遅れたDFの一瞬の隙を突いたミドルシュートがネットを揺らし、滝川二がリードを奪い、前半を終了する。

「前半の終わり際のあのゴールはめちゃくちゃ大きかった。あの1点で相手の勢いを削ぐことが出来た」。栫裕保監督がそう振り返る一撃で息を吹き返した滝川二は後半に入ると、攻撃のスイッチを全開に。7分には右サイドからのクロスが反対へと流れた所をMF高畑智也が拾って中へと再びクロス。一度はDFにクリアされるも、こぼれ球を山本が豪快に決めて、2点目をゲット。12分には太田のスルーパスから谷本が抜け出して3点目。続く54分にも寺田、星野と左サイドを繋いだボールを途中出場のMF木下稜介が決めて神戸弘陵を突き放す。その後、神戸弘陵は反撃に出て35分、右サイドの突破からFW松崎翼が1点をあげるも、滝川二DFの粘り強いDFの前を崩しきれず試合終了。滝川二が2年ぶりとなる全国行きの切符を掴んだ。

 栫監督が「非常にエンジンがかかるのが遅すぎた。マラソンで言うと最後のスタジアムでやっと走ってくれた感じ。最後の最後でやっとかかってくれた」と振り返ったように今年は非常に苦しい一年だった。新チーム立ち上げ直後の2月に新人戦こそ制したものの、その後は怪我人が相次ぎベストメンバーが揃わず、高校総体では県のベスト8止まり。プリンスリーグでも2部降格という結果に終わっていた。DF佐々木慎太郎、キャプテンのMF太田皐介ら主軸が戻った今大会も決して順調ではなかった。ベスト16の関西学院戦、ベスト8の三田戦はともに延長戦の末、かろうじで掴んだ勝利。準決勝の神戸科学技術戦も1点を守っての勝利と苦しい試合の連続だったが、「激戦を続けたことで選手たちが伸びたし、チームが絞れた。対戦相手に伸ばしてもらってここまで来られたと思う」(栫監督)と劇的な成長の糧となった。FW樋口寛規(現・岐阜)らを擁した前回の出場時には全国の頂点に立った。栄光の再現にも期待が集まるが、栫監督は「絶対、ムリです!(目標も)行けると思ってなかったら、何も考えてない」と笑っておどける。だが、選手たちは「目標は優勝」と声を揃えたように県大会の中で、手応えを掴んでいる。厳しさを乗り越え大きく成長したイレブンが先輩たちの栄光に続けるか、注目だ。

(取材・文 森田将義)
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